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ホンダZ輸出仕様にクーラーを付けた!
サブロクこと360cc時代の軽自動車を扱う当コーナーだが、同じボディで600ccなど排気量の大きなモデルも存在する。ホンダならNやZ、マツダならキャロル、スバル450などが存在するけれど、残存数が極端に少なく、サブロク倶楽部を名乗る当コーナーでも扱いが難しい。ところが今回のホンダZはぜひ参考にしたいカスタムが盛り込まれているので番外編としてお伝えしたい。
見た目はノーマルだから「どこがカスタム?」と思われるかもしれない。なんとこのホンダZにはクーラーが搭載されているのだ! しかもクランクから出力を得る通常のタイプではなく、電気で駆動するクーラー。一体なんだそれ? と誰もが思うはず。
その正体は電気自動車でも使えるように開発されたコンプレッサーやインバーターを使ったものでネット通販でも購入可能。しかも中国製だから値段も格安で10万円以内でキットが買える。これを使えないかと考えたのがこのホンダZのオーナーなのだ。
ホンダN360はライバルであるスバル360同様に排気量の大きなモデルを開発してアメリカ市場へ輸出を開始。N400やN600がそれで、ヨーロッパにも輸出された。N360ベースでクーペボディとされたZ360にも同じように600ccエンジン搭載車が作られ、同様に輸出されている。N600は国内販売もされたがZ600は輸出のみでアメリカではホンダクーペ600、ヨーロッパではホンダZとして販売された。
ENGINE
バッテリー置き場の台座を利用してコンプレッサーを固定している。 コンプレッサーの上にインバーターを設置。今ならもう少し小型化されている。
バッテリー容量だけの時間限定使用ならOK
クーラーが付いて万々歳かといえば問題も残る。容量の小さなエンジンでありスペースの問題もあってクーラー用バッテリーを充電するだけのオルタネーターが付けられない。そこでバッテリーが使える間だけクーラーを使用すると割り切ったのだ。
75から80Aサイズが必要なバッテリーは充電できないため90サイズを搭載。ガレージで満充電にして出かけ、これまで3時間のクーラーと1時間の送風機能が維持できると確認できた。ちなみに満充電まで4日かかるとか。
さらに問題は通販キットのコンデンサーが大きく使えなかったため、旧ミニ用を流用した点。真夏の効きは確認できていないが、気温30度前後で3時間使えたのだからヨシとすべきだ。今後は断熱のガラスフィルムを施工して効率アップを目論んでいるそうだ。
ホンダの空冷2気筒はセルダイナモなので無理だったが、通常のセルとオルタが別のモデルであれば、サブロクでもクーラーが使える可能性がある。ぜひ参考にしてチャレンジしていただきたい。
このZ600の記事は2022年8/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2022年10月号に掲載されたものです。