日産サクラ/三菱eKクロスEV 補助金枯渇が心配だけど、ニッポンのクルマのトレンドを変えるモデル【’22上期、最も刺さったこの1台】

日産サクラ
2022年上半期、Motor-Fan.jpを統括する局長スズキにとって、最も刺さったこの1台は、軽のBEV、日産サクラ/三菱eKクロスEVだった。乗り味もいいし、どんなシチュエーションでも静かで力強い走りもいい。航続距離180kmという割り切りで実現した、絶妙な「シティコミューター」なのだ。

うーん、ガソリン、相変わらず高い

今年(2022年)1月17日のレギュラーガソリン価格は168.4円/ℓだった。
8月8日は170.1円/ℓだ。

ガソリン価格は、2022年1月24日に全国平均が170.2円/ℓになって、「激変緩和対策事業の発動」要件の170円/ℓと超えたために、「燃料油価格激変緩和補助金」が石油元売に対して支給されることになった。グラフ:資源エネルギー庁

一見、あまり変わっていないように見えるが、8月8日には、38.3円/ℓの国から補助金が出ているから、本来なら208.4円/ℓだったのだ。グラフによれば、5月16日から(補助金なしだと)200円/ℓを超えている。

うーん、ガソリン、相変わらず高い。

というのは、長い前振り。ワタクシ、Motor-Fanの統括する局長スズキの「今年上半期にもっとも刺さったこの1台」は、日産サクラ/三菱eKクロスEVだ。つまりガソリンスタンドに行かなくていいクルマである。

2022年に入って、BEV(電気自動車)の新車が俄然増えてきた。今年、試乗したBEVはHonda e、トヨタbZ4X、スバル・ソルテラ、ヒョンデIONIQ5、日産アリア、アウディQ4、メルセデスEQBなど。どのBEVも出来がよくて、「ああ、BEVも新世代になったんだな」と思った。

そのなかで一番刺さったのは、日産サクラ/三菱eKクロスEVだ。

日産サクラ

日本のクルマのトレンドを変えるきっかけになる

三菱eKクロスEV

バッテリー容量20kWhで一充電走行距離がWLTCモードで180kmのBEV。180kmの航続距離はシティコミューターとして充分。BEVは現在のところ、街中を走るシティコミューターこそが相応しいと常々考えていたから、サクラ/eKクロスEVはドンピシャなのだ。

ワタクシ、自動車評論家やジャーナリストではないから、短い試乗でクルマの善し悪しがわかるセンサーは持ち合わせいない。だから、なるべく数日間、できれば1週間は生活をともにして、普通に走ってみて燃費や使い勝手をチェックするようにしている。日産サクラも数日間、お借りして通勤やドライブに使ってみた。

急速充電の能力は30kW。

航続距離は、カタログ上は180kmだが、実際に使ったらエアコンONで150km程度だろう。通勤は片道15kmに満たないからまったく問題なし。毎日帰宅して自宅ガレージで200V普通充電(1時間に3kWh弱充電できる)すれば、翌朝にはフル充電になっている。

これがキモチイイ。

問題になるとしたら、片道70kmを超えるドライブをするケース。日常的に往復140km以上のドライブをする人には勧められないが、月に1~2度程度ならまったく問題ないと思う。

BEVの電費は、ガソリン代より安い。これもいい。

でも、一番いいのは、乗り味だ。狭い道でも自信を持って入っていけるのは、軽自動車規格のサイズだから。最大トルク195Nmのモーターは、急坂を登るような場合でもまったく問題ない。サクラ/eKクロスEVが走れない道は、どのクルマでも走れない(ジムニーやランクルが得意とするオフロードは除く)。

坂道もスイスイ。アクセルを踏み込んでもエンジンが唸らないのが本当にいい!

東京の街は思いの外、坂道が多い。狭い道も多い。実家のある三浦半島は、さらに坂が多いが、サクラ/eKクロスEVならスイスイと走れる。

もちろん、「補助金」の魅力もある

もちろん、「補助金」の魅力もある。

ワタクシが、サクラ/eKクロスEVを買うとしたら、

Xグレード(239万9100円)ボディカラーはブロッサムピンク/ブラックの2トーン、内装色はベージュ、オプションで、オートレベライザー+アダプティブLEDヘッドライト+SRSニーエアバッグ+ロードリミッター付きップリテンショナーシートベルト(後席)3万5200円、EVベーシックパックで246万7353円

ナビはAppleCarPlayで手持ちのスマホで代用する。

補助金は
国の補助金が55万円
東京都の補助金が60万円(再エネ電力導入の場合)
合計115万円だから(東京都在住です)

246万7353円ー115万円=131万7353円
となり
なんと、131万7353円で買えてしまうのだ。

問題は、今年度の補助金の財源がいつまでもつか。

8月2日に次世代自動車振興センターが出したプレスリリースには

「令和3年度補正予算及び令和4年度当初予算で実施している、電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車等の導入補助事業につきまして、昨今、補助金の残高についての問い合わせが増加していることから、下記のとおり、残高・申請受付終了見込み時期をお知らせいたします。

今後も、執行状況を踏まえて残高・申請受付終了見込みを更新する予定ですので、本HPをご確認ください。
残高・申請受付終了見込み(7月25日時点)
予算残高:約177億円
終了見込み時期:10月末目処
※本情報は車両、V2H充放電設備/外部給電器が対象です。充電インフラの申請期限は従来と変わらず9月30日となります。
※終了見込みについては、今後の申請状況や予算残額等により、前後する可能性があります。
※申請書はセンターへの到着日で先着順の受付となり、予算額に達した場合は、予算額に達した日の前日をもって申請受付は終了となります。
 
http://www.cev-pc.or.jp

もし、尽きてしまったら……来年度の補助金が決まるまで待つか。でも、サクラ/eKクロスEVともに、補助金なしでも充分にお値段以上の価値があるクルマに仕上がっている。

こちらは、サクラの上級グレードG(車両本体価格:294万300円)の内装。

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…