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この秋、トヨタとホンダからホットなスポーツモデルが街を走り出す。トヨタはGRカローラ、ホンダはシビック タイプRである。タイプRは9月2日発売、GRカローラもこの秋には発売となる。
ハイブリッドではない純エンジン車としてのハイパフォーマンスカーは、今後生き残りにくい状況だ。そんななかで、日産フェアレディZと並んで、「最後のピュアエンジン・スポーツカー」として、ファンが熱い視線を送るのが、GRカローラとシビック タイプRである。
ラリーでもサーキットでも実績の残してきたカローラと、「ニュルブルクリンクFF車世界最速」の称号を競ってきたシビック タイプR。どちらも比較的コンパクトなボディにハイパワーターボエンジンを載せたスーパーホットモデルである。
価格は、どちらも500万円オーバーが予想される。ちなみに、前型のシビック タイプRは475万2000円、リミテッドエディションは550万円だった。と思われたが、なんと、発表された金額は、499万7300円。思いの外リーズナブルという印象だ。
GRカローラと同じパワー/ドライブトレーンを持つGRヤリスはRZハイパフォーマンスの価格が456万円だ。GRカローラはそれより高価になりそうだ。
それでも欲しい! というのがこの2台だろう。実際、すでにディーラーには多くの問い合わせが寄せられており、予約も入っているという。
とはいえ、両モデルはキャラクターが大きく異なる。
GRカローラは、WRCに直結するモデルであるGRヤリスのパワートレーン/ドライブトレーンをカローラスポーツに移植したモデルで。トランスミッションは6速MTで、駆動方式はスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を採用している。エンジンは、GRヤリスが搭載する直列3気筒1.6ℓターボ「G16E-GTS」型エンジンをさらに強化して搭載。最高出力304ps/6500rpm、最大トルク370Nm/3000-5550rpmを発生し、GRヤリスの272psから32ps向上している。
対するシビック タイプRは、先代タイプRにも搭載していた名機K20C型2.0ℓ直列4気筒VTECターボを積む。パワースペックは先代の320ps/400Nmからさらにパワーアップして、330ps/420Nmのスペック。現代屈指のハイパワーユニットだ。
駆動方式はFF。もっとも輝くステージは、ニュルブルクリンク北コースであり、サーキットである。こちらも、おそらく「純エンジンの最後のタイプR」と予想され、人気が過熱している状態だ。
ボディサイズ比較
まず、ボディサイズが公表されているGRカローラから。
GRカローラ RZ
全長×全幅×全高:4410mm×1850mm×1480mm
ホイールベース:2640mm
車重:1470kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rダブルウィッシュボーン式
となっている。
もちろん、ベースとなっているのはカローラスポーツだがブリスターフェンダーが装着されフロント60mm・リヤ85mmワイドトレッド化している。全幅もカローラスポーツから60mmワイドになって1850mmとなっている。
元町工場GR Factoryで生産することで実現する高剛性基本骨格に加え、 リヤホイールハウス間や床下トンネル・タンク前の床下にブレースを追加することで操縦安定性能も大幅に向上している。
シビック タイプRのスペックは、
新型シビックTYPE R
全長×全幅×全高:4595mm×1890mm×1405mm
ホイールベース:2735mm
車重:1430kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク
全長と全高はベースになっているシビックに対し、全長+45mm、全高−10mm。ホイールベースは2735mm。全幅は左右それぞれ45mmブリスターフェンダー化され、標準のシビック(1800mm)から90mmワイドになった1890mmだ。
インテリアはどちらもストイック
インテリアはどちらもスポーツドライビングに特化した専用シートが奢られ、レーシーな雰囲気に満ちている。トランスミッションはもちろん6速MT。パーキングブレーキは、GRカローラがトラディショナルなレバー式なのに対して、シビック タイプRは電動式だ。
GRカローラにはリヤシートを取り払って軽量化したうえに、もともとハイパワーなエンジンをさらにチューンして最大トルクをRZグレードから30Nmも上積みした「モリゾウエディション」を設定している。モリゾウエディションは、構造用接着剤を3.3m追加で塗布し、ボディ補強ブレースを追加し、ボディ剛性をRZよりもさらに向上。また、ディファレンシャルギヤのローギアード化&1~3速のクロスギヤレシオ化により動力性能の向上と気持ちのよいギヤのつながりを実現している。
こちらは台数限定でこの冬に発売予定ということだが、販売台数は発表されていない。
ともにBMEP25bar超えの強心臓を搭載
新型シビック タイプRは前型から踏襲するK20C型を搭載する。このK20C型は、いわば究極の内燃機関。出力もフィーリングも極上のエンジンだ。スペックは以下のとおり。
新型シビックタイプR
エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ
エンジン型式:K20C
排気量:1995cc
ボア×ストローク:86.0mm×85.9mm
圧縮比:9.8
最高出力:330ps(243kW)/6500rpm
最大トルク:420Nm/2600-4000rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
GRカローラ
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
型式:G16E-GTS
排気量:1618cc
ボア×ストローク:87.5mm×89.7mm
圧縮比:10.5
最高出力:304ps(224kW)/6,500rpm
最大トルク:400[Nm/3,250~4600rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:50ℓ
排気量も気筒数も違う両エンジンを比較するためにBMEP(正味平均有効圧)という数値を見てみよう。BMEPは最大トルク÷排気量×4π×10で求められ、単位は「bar」である。現代のエンジンではガソリンNAは10-13bar程度、ガソリンターボは18-24bar程度、ディーゼルターボでは、18から30barを超えるものまである。
GRカローラが370Nm/1618cc
シビックTYPE Rが420Nm/1995cc
なので、BMEP(Brake Mean Effective Pressure=正味平均有効圧)は
GRカローラが28.7bar
シビックTYPE Rが26.4bar
どちらも国産エンジンきっての高効率エンジンだ。
さらに言えばモリゾウエディションは
BMEP=31.1barという、とてつもない数字になる。