電気自動車のための1980年代日本の3大発明
20世紀に生まれ、原子、電子、光のことを理解するための科学が量子力学だった。その最初の応用が原子1個だけの理解で行なうことができた原子力の利用だった。
その後、半導体への応用が始まり、ダイオードとトランジスタが発明され、20世紀後半以後の人々の生活そのものを変えた。これらはアメリカでの成果だった。
1945年に第二次世界大戦が終わり、日本では経済と産業の発展はもとより、教育にも以前に増して力が入れられるようになった。このような発展の結果、1980年代に日本人による電気自動車の大きな発明があった。この頃、日本はバブル景気の時代で、それが弾けたことで否定的な見方があるが、今にして思うと、日本の科学と技術が大きく発展できる時代でもあった。戦後に教育を受けた優秀な人たちがいて、経済は豊かで研究、開発に使える費用も豊富だった。工業力が大きくなったことで発明を実用化するための技術も揃っていた。
この時代に大きな発明があった。1つはリチウムイオン電池、2つ目はモーター用の強力な磁石であるネオジム-鉄-ホウ素(希土類磁石)技術、そして3つ目はGaN(ガリウムナイトライド)の結晶化の成功による青色発光ダイオードとGaNトランジスタの発明である。
以後の連載ではこれら3つの発明とその後の発展について述べていくが、今回はその導入である。
リチウムイオン電池は今ではほとんどの電子機器に使われている。これは今までの電池に比べて、重量当りの電力が貯えることができることが最大の特徴である。
希土類磁石は周期律表の希土類に属する17の元素のうちの1つのネオジムと鉄とホウ素の化合物を用いた磁石で、これまでの磁石に比べて圧倒的に磁力が強いことが特徴である。
GaNは長年期待されていた半導体であったが、結晶化することがとても難しかった技術である。これの半導体化に成功し、まず発光ダイオードに応用され、現在のLEDの時代になっている。またこれをトランジスタとすることで損失がとても少なくすることができ、これをモーターの速度を制御するためのインバーターのトランジスタとすることで非常に高い効率のインバーターを作ることができる。
これら3つの発明のうち、リチウムイオン電池とGaN半導体はすでにノーベル賞を受賞しており、希土類磁石もいずれ受賞することとなると考えている。
1980年代という時代背景のもとで、3つの大きな発明がなされ、電気自動車時代を迎えようとしている今、これらの実用化を可能とした技術としてなくてはならないものとなっている。
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