1オーナー極上車だからライトにカスタム!

MAZDA CAROL DELUXE |いつだって全開!! サブロク倶楽部 マツダ・キャロル デラックス

誰にだって自動車の初体験があるはず。それは両親が乗っていたクルマの場合が多く、幼い頃の思い出を追い続ける人もいる。今回は50代になってその願いを叶えた人の登場だ!

アメ車好きだったがいつしか夢のキャロルへ

昔の日本は貧しかった。クルマが一家に一台あるようになるのは昭和50年代以降の話で、それ以前は軽自動車が主流。当時の軽といえばサブロクで、この頃に幼少期を過ごした人ならサブロクが最も身近な存在だったのだ。


適度なカスタムが施されたキャロルのオーナーもそんな一人。現在60歳で幼い記憶にあるマイカーがキャロル。お父さんが運転するキャロルに乗せてもらっていたが、当時はお父さんが吸うタバコの匂いと乗り心地がミックスされ、すぐに酔ってしまう少年だったとか。


免許を取ってクルマやバイクに目覚めると、アメ車に乗ることが多くなった。同時にホンダCBナナハンやカワサキZを乗り継ぐほどバイクにも熱中。でも、いつかはキャロルに乗りたかった。


幼少期の記憶はそれほど強いもので、ハコスカやS30Zに乗ってみたものの手放し、バイクはハーレーになったがキャロルを探し続けてきた。今から6年ほど前、運命の出会いが待っていた。

1962年に発売されたキャロルはR360クーペにつぐマツダ軽乗用車の第二弾。R360クーペの空冷V型2気筒エンジンではなく水冷4気筒OHVエンジンを新開発。360ccで4気筒なのは後にも先にもキャロルだけ。RR方式を採用するも重さがネックで走りはイマイチ。当初は2ドアセダンだけで63年に4ドアを追加。66年にマイナーチェンジ。走行性能向上のため後継車のシャンテは2ストエンジンに大転換。

SUSPENSION

FRONT
J不明-10+5.20-10
ローダウンした足まわりに履く純正ホイール。合わせタイプなので裏と裏を組み合わせてワイド化。
REAR
J不明-10+5.20-10
リヤも合わせの裏+裏でワイド化。G5タイヤだがホワイトリボンをつけて正体不明にしている。

ENGINE

30年不動だったエンジンは水まわりにアルミのサビが回り悲惨なことに。水路と燃料系を直して復活させたからノーマルのまま。
フロント!
入れ替え!
燃料タンクはフロントフード内。丸いのはスペアタイヤを置くため
ラジエターの中もアルミ粉でオジャン。業者に作り替えてもらった。

極上車だったから元に戻せるカスタム

残存するキャロルは後期型が多いけれど、これは希少な前期。さらに新車時塗装のままという奇跡の1台だからボディは基本ノーマル。前期だとリヤのグリルはアルミ色ではなくボディ同色になる。

キャロルを見つけたのはインターネットオークション。新潟で数台の旧車をまとめて出品した人がいて、その中の1台だった。30年ほど不動だったがボディの程度が抜群だったため、実車を見ないで即決。でもこれが正解だった。


というのも石橋さんはプロの板金塗装職人。旧車はボディが命だと思っているので、新車時塗装が残るキャロルの価値は誰よりも知っている。だが、やはり苦労することに。キャロルの4気筒はアルミ製なので、白く粉を吹く。それが水路全体に回りサーモは跡形もないほどになっていた。


水まわりを修理してキャブをオーバーホール、燃料ポンプを社外品に付け替えるとエンジンは復活。そこでバイク用マフラーを作っている友人に頼み、ステンレスで集合タイプを作ってもらった。でもエンジンはノーマルなので、排気音は勇ましいが上り坂は苦手。


フロントのリップは手作りだがボディに穴を開けたくないので、ノーマルの穴に合わせてステーを製作。トーションバーの抜き差しでローダウンすると、純正の合わせの裏側を組み合わせたワイドホイール仕様を履いて完成だ。

室内

ダッシュに割れがない極上コンディション。前から巻かれていたハンドルカバーはそのままでインテリアはノーマル。
1周しているかどうか不明のオドメーター。タコメーターはもちろんない。
このマツダ・キャロルの記事は2022年9/21発売の、令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2022年11月号に掲載されたものです。

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