デートカー(死語)からDOHCの軽トラまで…昭和のホンダは記憶に残る名車ぞろい!

第2回ホンダクラシックミーティング
第2回ホンダクラシックミーティング
ホンダの旧車を専門に扱う埼玉県さいたま市のガレージサイコーが主催する「ホンダクラシックミーティング」の2回目が1月30日(日)に開催された。2021年は緊急事態宣言を受けて開催が中止されたため、ホンダファン待望のイベントとなった。寒さが厳しかった開催日だが、参加者の熱気に包まれた会場の模様をお伝えしよう。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

バモスホンダ、ステップバン、シティターボ、プレリュードも!【第2回ホンダクラシックミーティング】

年末年始は収まっていたかのように思えた新型ウイルスの感染拡大は、2022年が始まると間もなく第6波となってぶり返してしまった。開催が予定されている旧車イベントの多くが見直しを迫られるなか、2021年の開催が中止になったホンダクラシックミーティングが1月30日に開催された。屋外であること・マスク着用のこと・大声を出さず相手との距離を保つことなどを徹底することで開催に漕ぎ着けた主催者は、ホンダ製旧型4輪を専門に扱うガレージサイコーだ。

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第2回ホンダクラシックミーティングの会場風景。

今回のテーマはサブロクこと360cc時代に生産された軽自動車たち。ホンダ初の4輪車として1963年に発売されたT360は4気筒DOHCエンジンを搭載する圧巻の軽トラックだ。初期型では4連キャブレターを装備するなどスポーツカー顔負けの高性能車だったこともあり、今なおマニアの間で大事に維持されている個体が多い。

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ホンダT360。

続く軽自動車は1967年に発売されたホンダN360。それまで軽自動車といえばスバル360が圧倒的シェアを誇っていたが、N360は低価格・高性能を武器に市場を席巻。瞬く間に軽自動車トップの座に躍り出るのだ。今回はホンダN360エンジョイ・クラブが開催に協力したこともあり、初期型からマイナーチェンジ後のNIIIまで顔を揃えていた。

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ホンダN360。

好調に売れたN360は言われなき中傷により販売面に影を落とす。そんな1970年にNIII360をベースにクーペスタイルを採用するホンダZが発売された。初期モデルはNIIIと同じ空冷2気筒エンジンだったが、71年にはNIIIがライフへモデルチェンジしたことを受けてベースモデルをライフへ変更、それに伴ってエンジンが水冷2気筒になった。この日は水冷モデルが並んだが、右手前はクーペで左は72年に発売されたハードトップ。

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ホンダZ。

軽トラックの歴史も続き、T360の後継車として1967年にTN360が発売された。TN360では車名にN360とあるよう、T360の4気筒DOHCからN360と同じ空冷2気筒へとエンジンが変更された。しかも搭載位置を荷台下にするためシリンダーの角度を水平近くまで寝かせていることが特徴だ。TN360はTNIII360、TN-Ⅴ、TN-7とモデルチェンジを続け77年にアクティへと生まれ変わる。

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ホンダTNIII360(左)とTN-7。

TN360は魅力的かつ意欲的な派生車種を生み出している。それが70年に発売されたバモスホンダだ。当時アメリカなどを中心に人気となっていたバギータイプのスタイルを取り入れたモデルで、TN360をベースにしているため後輪駆動だけだったが見ているだけで楽しくなる存在だった。バモスホンダには2人乗りのバモスホンダ-2、4人乗りのバモスホンダ-4、荷台全体をホロで覆えたバモスホンダ-フルホロの3タイプが存在するが、なんとこの日はすべてのバモスが勢揃いした。

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バモスホンダ。

バモスホンダのコンセプトを継承するかのように、ホンダはライフをベースにしたパネルバンのライフ・ステップバンを72年に発売する。今風にいうミニバンの元祖的スタイルで、新車当時より中古になってサーファーの間で流行った。それほど先進的なスタイルだったというわけだ。続く73年にはステップバンのフロントドアより後を切り取り、トラックスタイルを採用するライフ・ピックアップも発売された。どちらもホンダらしいユニークなモデルだ。

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ライフ・ステップバンとライフ・ピックアップ。

ホンダのスポーツイメージは63年に発売されたホンダ初の乗用車S500から始まった。翌年には排気量を拡大したS600、さらにクーペを加え66年にはさらに排気量を再拡大したS800へと進化する。このSシリーズには4気筒DOHCエンジンが4連キャブレターとともに採用された。T360と合わせてホンダといえば回転馬力と呼ばれるようになったほど、高回転を得意としていた。

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ホンダS600とS800。

ライフが74年に生産を終了して軽自動車市場から撤退すると、ホンダはシビックに生産・販売を集約していく。ところがシビックは2代目の販売成績が思わしくなく、さらなるサイズアップが求められていた。

そんな81年に1.3リッターエンジンを搭載する、シビックより小さなシティが新発売された。サイズ自体は小さいものの全高を1470mmとするトールボーイデザインを取り入れ、室内空間を広くしたことで大ヒット。人気を受けてホンダ4輪初のターボエンジンを採用するシティターボを追加。シティターボはマイナーチェンジによりブリスターフェンダーを装備するターボIIへ進化し、そのボディをベースにルーフを切り取ったカブリオレまで派生させている。

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シティ・カブリオレとシティターボII。

78年にホンダはアメリカでのセクレタリーカー需要に応えて2ドアクーペのプレリュードを新発売する。初代は地味なスタイルでヒット作とまでならなかったが、82年に2代目へ進化すると低いボンネットとリトラクタブルヘッドライトを取り入れ大ヒット。国内ではデートカーという言葉まで生まれたほどで、続く87年の3代目で確固たる地位を得た。この日は前期と後期が顔を揃え、今でも高い人気維持していることを伺わせた。

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3代目プレリュード。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…