シトロエンC5 X これぞダブルシェブロン!独特の乗り味とインテリアを堪能する

シトロエンC5X SHINE PACK 車両価格:530万円
シトロエンといえば、その独特の乗り心地と個性的なデザインで知られるブランドだ。DSブランドが生まれたとはいえ、そのフラッグシップはそれ相応の存在感が求められる。シトロエンC5 Xとは、そんなクルマである。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

クラウン・クロスオーバーと似ている?

ボディカラーはグリアマゾニトゥ ルーフカラーはノアール ペルラネラ

国内では新型クラウン・クロスオーバーのほうが発表は先で、シトロエンC5 Xのほうが後だったから、シトロエンC5 Xを見て、「クラウンに似ている」という声が一部で挙がったという。世の中に出たのはシトロエンC5 Xのほうが先である。だから、本来なら、クラウンのほうを「シトロエンC5 Xに似ている」と表現するのが妥当だろう。

当のシトロエンはどっちが先だろうと後だろうと、気にしてはいないに違いない。C5 Xは似たもの同士を比較して「こっち」と決めるような対象ではない。クルマに吹き込まれた感性に共鳴した人が選択する類のクルマだ。

車格的に弟分に位置するC4はSUVのような背の高さを持ちながら、ルーフ後半は急傾斜して流行りのクーペSUVのようなスタイルをしている。シトロエンのフラッグシップに位置づけられるC5 Xはセダンのようでもあり、ステーションワゴンのようでもあり、SUVのようでもある。少なくとも3つの要素が重なり合い、破綻せず、特有の個性になっている。

タイヤサイズは205/55R19という、特殊なサイズ。大径だがタイヤ幅は狭い。これはコンフォート性能と転がり抵抗のため。銘柄はグッドイヤー(ミシュラン装着車もある)。

ボディサイズの割に細いタイヤ(205/55R19)を装着するのは昨今のシトロエンのスタイルで、C4も同様(195/60R18)。スタイリング上重要なのはサイドビューで、だったら大径ホイールを装着しておけばいいという割り切りを感じる。コーナーを攻めるような走り方を重要視しなければ、ファットなタイヤを選択する必要はない。接地面積は幅ではなく周方向で確保する考えだ。タイヤ幅が狭ければ空気抵抗の低減に効き、燃費にも好影響を与える。

C5 Xはシトロエンの新世代フェイスをまとっている。シトロエンのブランドロゴであるダブルシェブロン(二段重ねの山型)の、上の山から左右に伸びるクロームラインが外側に向かって飛行機の翼のように跳ね上がり、LEDのデイタイムランニングライトと一体化。いっぽう、下の山から伸びるラインはサイドで下降し、ヘッドライトを含む3眼のランプユニットにつながっている。アパレルやバッグにおけるモノグラムのようなもので、ひと目でシトロエンの最新ラインとわかる効果がある。

駆動方式はFFでプラットフォームはステランティス(というかPSAの、と言った方がしっくりくる)のモジュラープラットフォームであるEMP2を使う。C5Xは、「EMP2 version3」で、リヤサスペンションがトーションビームアクスル方式を採る。ちなみに、4WD仕様を設定するC5エアクロスのリヤサスペンションはマルチリンクでC5Xとは同じEMP2だが、バージョンが違う。

ハイライトはインテリア

シトロエン・ブランドのトップレンジだけに、インテリアは上質。

CX 5の見どころはインテリアだ。大人4名(あるいは5名)が優雅にくつろげる空間を備えているのはボディサイズ(全長4805×全幅1865×全高1490mm、ホイールベース2785mm)から当然として、細部に施されたダブルシェブロンをモチーフにした“仕事”が効いている。

例えばシート。肩があたる部分には、ダブルシェブロンが連続する矢のパターンになった刺繍が施されている。その下は帯のようなテキスタイルが施されているが、これも、よく見るとダブルシェブロンをモチーフにしたパターンだ。さらにその下、背中があたるレザー部分は、通気穴の大きさによってダブルシェブロンを浮かび上がらせる凝った仕掛けだ。グリアダマンティウムと呼ぶブラウン系のボディカラーも個性的だが(国内に導入するC5 Xのキーカラーだ)、それと呼応するようなグレー系ツートンカラーのシートも個性的で、いっそシックである。

ダブルシェブロンのパターンはインストルメントパネルとその下の木目調パネルにも施されており、ドアトリムにはシートの肩口と同様に連続パターンのダブルシェブロンが刺繍されている。見渡す限りダブルシェブロンのオンパレードだが、映画のキャラクターで満たされたホテルの一室のような暑苦しさはなく、上質なおもてなしの心づかいを感じる。とくに、光の加減で表情を変えるシートのパターンは秀逸だ。

上下をカットした変形スポークに四角いホーンパッドを組み合わせたステアリングホイールと、黒い縁取りが際立つ大型のタッチスクリーンはC4と共通したデザインだ。センターの空調吹き出し口やエアコンの操作系、コンパクトにまとまったシフトセレクターもC4と共通である。タッチスクリーンはフラッグシップらしく、C4の10インチに対して12インチと大型だ。

シトロエンらしい乗り味は健在

エンジンは、BMWとPSAが共同開発した通称「Prince」エンジンである。C5Xは欧州仕様にもディーゼルエンジンは設定されない。 トランスミッションは、アイシン製8速AT。

エンジンはガソリンの1.6L直列4気筒ターボに8速AT(アイシン製)の組み合わせ。最高出力は133kW/5500rpm、最大トルクは250Nm/1650rpmを発生する。プジョーを含めて同じグループに属するフランスのブランドにとっては、扱い慣れたパワートレーンだ。視覚から受けるクルマの印象から、C5 Xは潮の流れに身を任せるようにして漂うように走るのが似合うように思う。そういう走りをクルマに求める限り、パワートレーンはドライバーの要求に対して忠実に反応し、必要充分な力を出してくれる。

PHCの概念図(ステランティスのHPより)

漂うように走るのが似合うし、その際に心地いいと思わせる要因のひとつが、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)と呼ぶサスペンションシステムがもたらす、独特の乗り心地だ。PHCはバンプラバーの役割を果たすセカンダリーピストンをダンパー本体に組み込んでいるのが特徴。サスペンションが大きくストロークする状況では、セカンダリーピストンを収めたシリンダーが衝撃を効果的に吸収し、底づき感のないふんわりした乗り味を提供する。

この独特の乗り味はC4系もそうだが、C5 Xでもやはり大きな特徴であり、魅力だ。遅れて上陸するプラグインハイブリッド仕様はPHCのコンセプトをさらに進化させたアクティブサスペンション(電子制御サスペンション)を装備しており、「C5 Xの真骨頂を味わうならこちら」というから楽しみだ。

フロントシートはツートーンレザーシート(Hype Adamantium)。電動式。
リヤシートは分割可倒式。センターアームレストも付く。
身長183cmのドライバーが前後に座ると、後席の余裕はこの程度。
ガソリン仕様のSHINE(受注生産)484万円 PHEVモデルは636万円
シトロエンC5X SHINE PACK
全長×全幅×全高:4805mm×1865mm×1490mm
ホイールベース:2785mm
車両重量 1520kg

Fサスペンション:マクファーソンストラット式
Rサスペンション:トーションビーム式
駆動方式:FF

エンジン
形式:1.6ℓ直列4気筒DOHCターボ
排気量:1598cc
ボア×ストローク:77.0mm×85.8mm
最高出力:180ps(132kW)/5500pm
最大トルク:250Nm/1650rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:52ℓ
トランスミッション:8AT
車両価格:530万円

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…