カスタムトレンドの文化を創り続けたニューズ!  ブランドの魅力と歴史を知れば、カスタムの奥深さもきっとわかる!(4)

「ドイツで目にした日常の生活シーンの中にワゴンが溶け込んでいる光景がやたらとカッコ良く見え……」 〜BOSS今村_特別インタビュー編〜 誕生から28年、生粋の提案型ブランド「ニューズ」とカスタムの歩みをプレイバック【NEW’S HISTORY 】

日本発のワゴン車専門カー用品店としてスタートしたニューズ。その歴史は、ワゴン・SUVカスタムの歴史といっても過言ではない。カスタム文化を創り続けたニューズとカスタムトレンドの歴史を振り返る。

福岡のショップから一大ブランドへ、最前線を走るBOSSのこだわり

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ニューズ代表として、時代やトレンドの移り変わりなど数々の荒波を乗り越えて来た今村氏。常に一歩先を目指す厳然とした姿勢の中にも、時折見せる朗らかな表情やウイットに富んだ話術は周囲の人々を惹きつけ、いつしか「BOSS」と呼ばれるように。1994年の創業開始から27年。その足跡を振り返りつつ、次なる一歩に向けた意気込みについて話を聞いた。

「90年代初頭と言えば、マツダ787Bが国産車で初めてルマン24時間レースの頂点に立ち(1991年)、FD型のRX-7や80スープラが出て来るなど、アフターマーケットはスポーツカーやセダンがその牽引役を務めていました。でも、当時とある企業の企画室で仕事をしていた自分には、なぜかピンと来なくて(笑)。そんな時、海外研修として訪れたヨーロッパで、強烈なカルチャーショックを受けたんです。メルセデスやBMWというと、日本では高級セダンのイメージが強いけど、ドイツでは「TE」や「ツーリング」などのワゴンタイプがかなりの台数を占めていました。その頃、国内でワゴンといえばスバルの孤軍奮闘状態で、アコードワゴンがアメリカから逆輸入という形で入っていた程度。他はまだバン、カーゴといった商用車との線引きが曖昧でした。それゆえ、ドイツで目にした日常の生活シーンの中にワゴンが溶け込んでいる光景がやたらとカッコ良く見え、直感的に「この流れは5年後には日本にも来るぞ」と思い、帰国後資料を作り、会社にワゴン用パーツの拡充の必要性を訴えました。しかしいくら話をしても反応は今ひとつ。それなら自分自身でやるしかないと、独立を決意しました。これがニューズ誕生のきっかけです。ワゴン専門店という旗を掲げる以上、言ってる本人がフツーのファミリーカーに乗っていては説得力に欠けると思い、貯金をはたいてボルボの740ターボワゴンも買いました。もちろん商売の経験など無く、あったのは「ワゴンが来る!」という心の中の確信だけでした」。

そして94年7月、福岡市南区のとある一角にニューズがオープン。SNSなど一切無かった時代、唯一のRV(レクリエーショナルヴィークル)専門誌の情報コーナー欄に「福岡にワゴン専門店が誕生」という小さな告知が掲載されただけにも関わらず、続々と来店客が。

「ワゴンだけに絞った商売なんて」というネガティブな声も聞かれた中、「NEW’S」のステッカーは瞬く間にワゴンオーナー達のステイタスとなり、その名は福岡、全九州、全国と広がっていった。

「一から十までの作業を一人の職人が請け負う「ザ・俺の店」ではなく、あそこに行けば何か役に立つ情報がある、自分のクルマをスタイリッシュにコーディネイトしてくれるお店、というスタンスは、現在のニューズにも通じています。軌道に乗った、なんて感覚は今でもありませんが、それでも創業間もない頃からオリジナルエアロも作って来ましたね。なぜなら、ワゴンに似合うエアロが無かったから。無いもの、欲しいものを自分で作るって、やっぱり楽しい。常々、私のモチベーションの原動力となっているのは変化と創造。誰も手をつけていない分野に先頭を切って手をつけたり、それまでやっていたことをガラリと変えるってメチャクチャ大変だし、組織が大きくなればリスクも大きくなります。楽をしたいなら後追いに徹して、ソレっぽく真似するのが一番。でも、それじゃ面白く無い。常に好奇心と情熱を忘れずに。どれだけ苦労をしても、そこをやり遂げようという気持ちがすべてのエネルギーになるのだと思います」。

ワゴンに始まりミニバン、SUVと、今やクルマのカテゴリーという概念を超え、カーライフ全般にまつわるニーズをフォローする企業に成長したニューズ。2017年にはアルパインとの共同プロジェクト、アルパインスタイルが稼働。

今村BOSSの「誰も手をつけていなかった分野へのチャレンジ」のリストにまた一つ、新たな実績が記された。

「単純にショップとコラボするだけなら関東・関西にも素晴らしいお店はたくさんあります。そんな中、弊社の特色を理解して頂いた上で必要なパートナーとして選んでくださったことには本当に感謝していますし、弊社の強みとして培って来たリソースをこれまで以上に生かしたいと思います。かつては「50歳でセミリタイア」みたいなことを公言していた時期もありましたが、アッという間に過ぎましたネ。自分の中では1つのラインを決めていますが、引き際については今は何とも言えません。新しいことへのワクワクする好奇心が無くなったらそれが一つの終着点なんでしょうが、まだまだ毎日ワクワクしてますからね」。

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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