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居住エリアでEVへの意識が違うのか?
住んでいる地域によって、EVに対する意識が違うようです。「次世代車の技術的な名称をどれだけ認知しているのか?」という調査項目があります。これで前回2019年調査と比べています。それによりますと、EVについては地域全体で58%から57%へと低下。地域別では、74%と最も認知比率が高かった東京23区が67%まで下がったことが気になります。また地方部でも50~60%でそこからさらに低下していますが、原因は今回の調査では不明です。また、戸建と集合住宅でのEVに対する意識の差も気になるところですが、今回の調査ではそうした区分けがありません。一般論でいえば、地方部は戸建てが多いという解釈です。今後、そうした観点でのデータも出てくるでしょう。
充電に対する意識は?
充電場所の満足度について、「満足」は「大都市」で20%、「大都市以外」が24%。「やや満足」が36%と28%、「どちらとも言えない」が24%と21%、「やや不満」が15%と16%、そして「不満」が5%と11%となりました。大都市では高層マンションなど集合住宅が多く、新たに充電器の設置を住民組合などで協議すると「利用者が少数派なので提案が却下されることが少なくない」という声を良く聞きます。ですが、実際には都市部や都市部周辺の公共充電施設を効率的に使っている人が少なくないため、こうした結果になっているのかもしれません。一方、地方部では日常の移動距離が長い場合もあり、充電インフラのさらなる整備を要望する声が多いのだと思います。
カーボンニュートラルを念頭にEVへの関心が上がっている?
テレビやネットのニュースですっかりお馴染みになった、カーボンニュートラルという言葉。地球温暖化への対応策として、クルマや工場など地球上で社会が生み出す二酸化炭素(CO2)の量を抑える一方で、森林保護などによってCO2の吸収量を増やし、実質的にCO2で出と入りを相殺するという考え方です。そのカーボンニュートラルの認知度について、EV購入者は先回2019年調査の86%から89%に増加しました。大都市と大都市以外の地域ともに増加です。これがハイブリッド車になると、なんと先回でも5%と極めて低く、今回はさらに下がって4%という結果でした。このようにEV購入者は、これまでのクルマに対する考え方が大きく違うことがはっきりと分かります。
軽EVへの関心度は?
自工会では軽自動車について市場調査も実施し、EVについて聞いています。それによりますと「次々回の買い替えの時はEV購入を検討したい」という人が半数以上となりました。具体的には、現行の軽保有者では、次々回に「是非購入したい」が10%、「購入を検討してもよい」が18%、「購入候補の1つとしてもよい」が25%、そして「購入候補にはしない」が47%でした。一方、現行の登録車所有者の軽EV購入では、それぞれ19%、26%、23%、32%となり、軽へのダウンサイジングに加えてEVシフトを考えている人が多いことが分かります。軽EV購入否検討の理由としては、車両価格の高さ、航続距離、充電時間、バッテリー耐久性が上位になりました。
航続距離、何㎞くらいあればOKなのか?
EVの性能について、多くの人が気になっているのが航続距離でしょう。今回の調査では、航続距離について具体的なキロ数を示すのではなく、すでに発売されているEVの航続距離を基準にして、その満足度を「大都市」と「大都市以外」に2分して聞いています。日本で最も多く市場に出回っている日産「リーフ」の標準モデル(電池容量40kWh)でWLTCモードでは322kmです。その上で、アンケート結果は、「満足」が、大都市で20%、大都市以外で19%とほぼ同じです。「ほぼ満足」は37%と23%と大きな開きがあります。また「不満」と答えたのは6%と5%で、ほぼ同じという意結果になりました。大都市以外で「不満」がもっと多いというイメージがありますが、実際は違うようです。
著者PROFILE●桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]