沖電気:車載機器などに使用される不揮発性メモリeMMCの性能評価サービス開始

eMMC性能評価の様子
OKIグループで信頼性評価と環境保全の技術サービスを展開するOKIエンジニアリングは、「不揮発性メモリeMMC(注1)の性能評価サービス」を6月8日より開始する。

 新サービスは、ストレージ業界の国際標準団体SNIAの性能試験規定「SNIA SSS PTS(注2)」に準拠した性能評価技術を、受託試験業界で初めて確立して実現したものである。国際基準に合致した信頼性の高いeMMCを自社製品に採用したい車載機器などの電子機器メーカーをターゲットに、年間1億円の売上を目指す。

 不揮発性メモリの一種であるeMMCは、書き換え可能で、電源を供給しなくても記憶を保持するため、データの保存や転送が必要な車載機器、産業機器、通信機器などで使用されている。特に、車両の事故情報を記録する「イベントデータレコーダー(EDR)(注3)」では、国土交通省により22年7月以降の新型車から装備が義務化されることもあり、小型・省電力で耐衝撃性能が高く、高速データ転送が可能なeMMCの採用が増えている。

 従来OEGではeMMCのエンデュランス(書き換え回数)、リテンション(データ保持)、電源遮断耐性などの耐久性試験サービスを提供してきた。しかし、eMMCの用途が広がるにつれて、車載機器や通信機器で求められる高い信頼性の性能評価が求められるようになってきた。そこで、不揮発性メモリの性能規格である「SNIA SSS PTS」に準拠した試験をeMMCに適用できるよう独自の試験環境と評価技術を確立し、製品の特性が記載されたデータシートからは読み取れないIOPS(Input/Output Per Second=ある条件の元で1秒間に読込み・書込みできる回数)やLatency(転送要求から応答までに要する通信の遅延時間)などの性能評価を可能とした。

 今回開発された「SNIA SSS PTS」準拠の評価技術は、eMMC以外の不揮発性メモリであるSSD(注4)、SDメモリカード(注5)、CFast(注6)の評価にも展開可能。OEGは今後も、さらに試験技術の向上や設備の充実を図り、不揮発性メモリの評価分野において顧客の問題解決をサポートし、お客様の製品の開発・製造・販売を支援する。

販売計画

標準価格 個別見積もり 販売目標 年間1億円 サービス提供開始時期 2022年6月8日

注1:eMMC embedded Multi Media Cardの略称であり、不揮発性メモリの一種で、データの記憶に用いられる半導体メモリの分類の一つ。小型であり基板にはんだ付けされる。
注2:SNIA SSS PTS SNIA Solid State Storage Performance Test Specificationの略称。ストレージ業界の標準団体SNIA(Storage Networking Industry Association)によって策定された不揮発性メモリの性能試験仕様書のこと。
注3:イベントデータレコーダー(EDR) エアバッグ制御用コンピューターなどのECU(電子制御装置ユニット)に内蔵されており、一定以上の衝撃が加わるとその前後の速度、ブレーキ操作、ステアリング操舵角、衝突の大きさ、シートベルトの装着状況、エンジン回転数、アクセル開度、シフトポジションなど、車両の挙動に関する詳細な情報を記録するもの。
注4:SSD 半導体メモリをディスクドライブのように扱える補助記憶装置のこと。
注5:SDメモリカード フラッシュメモリを用いた記憶装置のこと。
注6:CFast 高速・大容量データの転送が可能な次世代フラッシュメモリ・カードのことで、コンピューターとハードディスクや光学ドライブなどの記憶装置を接続するSATA規格を搭載している。

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