東芝:300mmウエハー対応パワー半導体新製造棟の建設を決定

新製造棟の完成イメージ図(右下の建物)
東芝は、加賀東芝エレクトロニクス構内に、パワー半導体生産のための300mmウエハー対応製造棟を新たに建設することを決定した。

市場動向を見極めながら最適な生産スペースを確保するという観点から2期に分けることとし、今回は第1期分を建設し、2024年度内の稼働開始を予定している。第1期分フル稼働時には、パワー半導体の生産能力注1を2021年度比で2.5倍に増強する計画となっている。

電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、あらゆる電気機器の省エネルギー化やカーボンニュートラル実現に不可欠なデバイスであり、自動車の電動化や産業機器の自動化などを背景に、今後も継続的な需要拡大が見込まれている。東芝は、今までも加賀東芝を中心に200mmウエハー対応の製造ラインの生産能力を増強するとともに、加賀東芝既存棟における300mmウエハー対応製造ラインの稼働開始を2023年度上期注2から2022年度下期に前倒しし、低耐圧MOSFET注3、IGBT注4を中心とするパワー半導体の旺盛な需要に対応していく。今後、新製造棟の具体的な設備導入・生産開始の時期、生産能力、生産計画などを、市場の動向を見ながら順次決定・実行していく。

新製造棟は、地震の揺れを吸収する免震構造の採用や電源等の2重化によるBCP強化を図るとともに、最新の省エネ製造設備の導入などにより製造における環境負荷低減を行う。また新製造棟で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来でまかなう「RE100」化する計画である。さらに、人工知能(AI)やウエハー自動搬送システムの導入などを通じて、製品品質および生産効率をより向上させる。

注1 200mmおよび300mmライン生産能力(200mmウエハー換算)
注2 2021年3月10日付ニュースリリース「300mmウエハー対応製造ラインの導入について
注3 MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor):金属酸化膜半導体電界効果トランジスター
注4 IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor):絶縁ゲートバイポーラートランジスター

新製造棟の概要

着工:2023年春(予定)
建物完成(第1期):2024年春(予定)
稼働開始(第1期):2024年度内(予定)

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