Automotive SW Platform Labでは、ディープラーニング向けソフトウェア開発と、学習したネットワークモデルを継続的にアップデートして認識精度および性能を維持、向上できる運用環境の構築に向け技術開発を行う。
ルネサスの執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部長の片岡 健氏は次のように述べた。
「フィックスターズは、ディープラーニングの高度なソフトウェア技術とハードウェアを効率的に使うための最適化技術を併せ持っています。本協業により、車載に最適なソフトウェア開発を強力にサポートできるようになり、お客様がルネサスの車載用LSIの卓越した性能を存分に活用できるようになると確信しています」
フィックスターズの代表取締役社長 三木 聡氏は次のように述べた。
「ディープラーニングアプリケーションにおいては、一度開発したソフトウェアも常に最新の学習データによって更新され続けなければ認識精度および性能を高く保つことはできません。こうした車載分野でのMLOps(Machine Learning Operations)の実現を見据えて、フィックスターズはルネサスと共に車載用LSIに最適なディープラーニング開発プラットフォームを構築してまいります」
R-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」について
本協業の一環として、両社は本日より、ADAS/ADの早期開発を実現するため、デバイス選定のための初期評価を即座に実施可能なR-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」の提供を開始した。GENESIS for R-Carは、フィックスターズのクラウド上の半導体デバイス評価環境「GENESIS」をプラットフォームとして利用している。
デバイス選定においては、カタログスペックでの検討に加えて、実際のユースケースに基づいた評価がより重要になってきている。そのため、ユーザは評価ボードと基本ソフトウェアを入手してデバイスの評価が行われるが、評価環境を構築するための技術スキルが必要です。新たなR-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」の利用には、専門的な技術スキルは必要ない。
GENESIS for R-Carでは、ResNetやMobileNetなど汎用的なCNNネットワークモデルを使用して、サンプル画像をR-Car V3HのCNN アクセラレータで処理した実行時間(fps:フレーム/秒)と認識の精度(%)を確認することができる。さらに、評価したいデバイスとネットワークを選択することにより、実際のボードをリモートで動作させて、画像分類(Classification)や物体検出(Object Detection)の評価結果を確認することができる。ユーザの任意の画像や動画データを使って評価することも可能。これにより、ユーザはR-Car V3Hがユーザのシステムに適しているかどうかの初期評価を容易に行うことができる。将来的には、ユーザ独自のCNNネットワークモデルを使用した評価を行えるサービスの提供も視野に入れている。