日本製鉄:マツダと共同開発した軽量Bピラーをマツダ新型CX-60に世界初採用

日本製鉄は、マツダと共同で、1.8GPa級、および1.3GPa級アルミめっきホットスタンプ鋼板(以下、AL-HS鋼板)を使用したTWB(テーラードウェルドブランク※1)構造の軽量Bピラー開発に取り組み、今般マツダ新型ラージSUV(CX-60)に採用された。

日本製鉄は、先進的な素材開発はもちろん、素材性能を最大限に引き出すための部品構造やその構造を具現化する加工技術の開発を進め、自動車車体の軽量化や安全性能向上を実現し、カーボンニュートラルの時代に向けた次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe-AutoConcept(以下、NSAC)”を進化させている。

日本製鉄は、マツダと共同で、1.8GPa級、および1.3GPa級アルミめっきホットスタンプ鋼板(以下、AL-HS鋼板)を使用したTWB(テーラードウェルドブランク※1)構造の軽量Bピラー開発に取り組み、今般マツダ新型ラージSUV(CX-60)に採用された。

日本製鉄とマツダは、本軽量Bピラーの実車適用を目指し、日本製鉄のNSAC技術である「AL-HS鋼板のTWB接合技術※2」、「差厚パッチワーク技術※3」、「直水冷高生産ホットスタンプ技術※4」を活用し、「直水冷ホットスタンプの実機設備化に向けての流体解析等による最適化」、および「衝突解析、多機能衝突試験5等による板厚最適化」による量産化に取り組んだ。

ホットスタンプは、熱間成形で高強度な部品を得る工法として、自動車の軽量化において冷間プレス成形が難しい高強度領域に適しているが、冷却時間が長く生産性が低い課題がある。また、これまでAL-HS鋼板をTWB技術で接合すると、溶接部へアルミニウムが混入しホットスタンプ後の継手強度が低下する課題や、異強度・異厚のTWBは、部品の品質精度ばらつき(焼入れ性や寸法精度)が生じる課題があり、TWB技術で接合したAL-HS鋼板の自動車車体への適用は困難だった。

今般、九州製鉄所八幡地区で事業化した、日本製鉄が独自開発したTWB接合技術は、高い継手強度を実現しており、TWBレーザ接合技術の自動車車体への適用が可能となった。さらに本軽量Bピラーでは、TWBと部分パッチワーク技術の適用により、従来の一体型Bピラーからレインフォース部品の省略が可能となり34%軽量化、および衝突安全性の向上を実現させている。

また、今回採用した直水冷ホットスタンプ工法では、金型表面と鋼板の隙間に冷却水を流入し、鋼板を直接水で冷却すると共に、金型内の流体解析から冷却水の流速最適化を実施した。これにより焼入れ性、寸法精度ばらつき等の品質安定化、部品製造時の生産性も向上(従来の4倍)し、製造時、走行時の温室効果ガス排出量が削減される。

日本製鉄は、NSAC技術の適用および適用範囲を拡大することが、社会的共通課題である自動車安全性能の向上とカーボンニュートラル社会を実現する解決策のひとつだと考えている。今後も、自動車のより一層の軽量化、衝突安全性能向上、および温室効果ガス排出量の削減に貢献していく。

日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「気候変動に具体的な対策を」)を通じて、これからも社会発展に貢献していく。

【注釈】
※1:板厚や材質の異なる鋼板をレーザ溶接で接合して一枚の鋼板(ブランク材)にし、プレスする加工技術。車体の強度や板厚の最適化による性能向上、軽量化、およびコスト低減を図ることが可能。Bピラーなどの部品に適用され、客室空間保護のため、Bピラー上部(アッパー側)に高強度材を、側面衝突時の必要性能確保のため、下部(ロア側)に低強度材を使用。

※2:溶接金属へのアルミ混入に起因する継手強度低下課題に対し、当社独自開発技術による高い継手強度を実現。

※3:衝突変形時の曲げ強度向上のため、従来は主要骨格部品へ補強部品を後付け(二つの部品を接合)。今回技術は主要骨格部品の稜線部に補強材(最適板厚を検討)を事前接合し、その後ホットスタンプ実施。これにより、金型、工程数削減の他、最適板厚化による軽量化を実現。

※4:金型表面と鋼板の隙間に水を流入し、鋼板を直接水で冷却することにより焼き入れ所要時間を短縮する工法。

※5:部材単体から大型構造までの多様な形態での衝突評価が可能な油圧による水平打ち出し方式の衝突試験。最高衝突速度は100km/時で、現行のすべての自動車アセスメントの衝突試験の速度領域を網羅。種々の高精度計測装置を備えており、部材や構造の衝突変形時の挙動の詳細観察が可能で、衝撃吸収性能の評価と変形メカニズムの検討も可能。

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部