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電動カーゴバイクの開発概要
近年、電動カーゴバイクや電動ユーティリティバイクが都会の街中を走る姿をよく見かけるようになっているが、こうした電動自転車は、街中で食品、郵便物、医薬品などを輸送・配送する、迅速で地球温暖化に悪影響を及ぼさない理想的なソリューションとして注目を集めている。こうした動きを促進すべく、シェフラーは、二輪電気駆動を専門とするHeinzmann GmbH & Co. KGと提携し、革新的なチェーンレス・ドライブシステム「Free Drive」を共同開発しました。CIP Mobility GmbHが最初の顧客となり、「Free Drive」を搭載した電動自転車が都市交通の路上で走行することになります。
シェフラーとHeinzmannがこの革新的なチェーンレス・ドライブシステム「Free Drive」を最初に一般公開したのは2021年8月で、それ以降、製品化に向けて準備が重ねられてきた。先月の実地試験が成功したことを受け、現在は生産が開始されており、今後5年間にわたって生産能力が推進されていく。ペダルからホイールへの高効率な送電を誇る「Free Drive」の最初の納入先はCIP Mobility GmbHとなっている。同社の mocci スマート・ペダル・ヴィークルは、使いやすく経済的で、手入れが簡単、そしてサステナブルな、都市部および工業地域での商業部門モビリティの新しいスタンダードを打ち立てるものとなっている。マイクロモビリティの革新的プラットフォームとして開発された mocci カーゴバイクは、スマート・ハードウェアにインテリジェント・ソフトウェアと最先端材料を組み合わせたもので、自転車業界の常識を打破する製品である。
チェーンレスで摩耗知らず
「Free Drive」は、ペダル発電機、駆動モーター、顧客仕様のバッテリー装置、そしてヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)から構成される、最適に組み合わされたシステムで、Heinzmannが自転車メーカーや運送業者向けに販売する製品である。「Free Drive」の中核的なコンポーネントは、シェフラーが開発したペダル発電機だ。ペダル発電機で一定のペダル抵抗を生み出して発電し、リアホイールのハブに搭載したモーターを駆動する。従来の電動自転車に比べて、ペダルをこぐ力が大幅に少なくてすむように設計されていて、カーゴバイクに乗る人、特に長距離の配達ルートをカーゴバイクで走行する人にとっては、大きな利点となる。余った電力は電動自転車のバッテリーに蓄えられ、後で使うことができる。このようにして「Free Drive」では、駆動総出力250ワットを実現している。
この自転車用ハイブリッド・ドライブシステムの主要な利点の一つとして、チェーンやベルト、ギアリング、スプロケットのほか、機械的駆動部品が無いことが挙げられる。そうした構成要素が無いため、従来の電動自転車に比べて、はるかに機械的摩耗が生じにくくなっている。堅牢設計でメンテナンスの手間が減るということは、路上走行の時間を増やし、修理に費やす時間を減らすことができるため、カーゴバイク配送業者にとって大きなメリットとなる。
送電システムにより、設計自由度が大幅に向上
従来型電動自転車のドライブシステムでは、ペダルとモーターを機械的に接続する必要があり、それによって設計に制約があったが、「Free Drive」は、その名のとおり、設計の自由度を大幅に高めることができる。デジタル・バイク・バイ・ワイヤというコンセプトは、運転モード間でのギアシフトやギアチェンジがソフトウェアによって行われることも意味している。これを実現するために、チェーンレス・ドライブシステムのコンポーネントはすべて、CANを介して相互通信するようになっている。
Free Drive搭載のmocci
mocci のスマート・ペダル・ヴィークルは、柔軟で、迅速かつ環境にやさしい都市部での走行を求めている企業にとって、革新的でサステナブルなソリューションだ。「Free Drive」システムにより、カスタマイズ可能で安全かつ完全接続を可能にした、電動自転車のまったく新しい運転経験ができる。mocci のもう一つの革新的特徴は、フレームやホイール、フォークフレームといった構造部品が、スチールやアルミではなく、リサイクル可能な高性能プラスチック製ということ。従来のスポークホイールに比べて、フロントホイールとリアホイールは単一構造の部品で構成されているため、堅牢性が増している。
フレームは、スケーラブルな射出成形加工により製造されているため、従来のアルミ製フレームの製造に比べてCO₂排出量をおよそ68%削減することができる。