東レが次世代モビリティに対応するR&D強化を目的とした新研究拠点を名古屋事務所に設置

新研究棟外観
東レはグリーントランスフォーメーション(GX)や次世代モビリティに対応した研究・技術開発の加速を目的に、名古屋事業場(愛知県名古屋市)に新研究棟を設置することを発表した。「グリーンとナノの融合」をコンセプトに社内外の幅広い要素技術を融合させた素材開発を推進すると共に、研究段階からの化学工学的視点の取り込みやデジタルソリューション提案力を強化。社会全体での温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた素材開発・プロセス設計・顧客提案を一体推進する体制を構築する。

次世代モビリティ向けR&D拠点・新研究棟の設置背景

東レは、近年深刻化している地球環境問題に対して、高機能樹脂や炭素繊維複合材料などの革新素材で社会のGHG排出削減に貢献してきたが、持続型社会を実現するためには、素材機能を追求しながら環境配慮型素材への転換が必要となる。また、モビリティ分野では、近年、社会のGHG排出削減に向けた電動化、軽量化に加え、自動運転、UAM(アーバンエアモビリティ)、ドローンなど多様な次世代モビリティの開発が活発化しており、世の中の変化に対して迅速な対応が求められる。

今回、東レは、GXへの対応加速および多様な次世代モビリティ向け材料のR&D拠点として新研究棟の設置を決定した。顧客・アカデミア連携、グローバル研究・技術開発のハブ機能としての発展が目指されている。新研究棟では、ポリマー、ケミカル、炭素繊維複合材料の研究者に加えて、DX人材や化学工学知見を有する開発者が集結し、MIや計算化学を取り入れたポリマー設計、ナノ構造制御、複合材料設計などの「ナノテクノロジー」を高度化し、リサイクルやバイオ原料化などの「グリーンテクノロジー」を融合させると共に、プロセス観点からの環境負荷低減に取り組むことで、持続型社会の実現に貢献する素材開発を強化していく。

また、モビリティ関連の開発・評価機能を有する「環境・モビリティ開発センター」(EMC)ならびに「アドバンスドコンポジットセンター」(ACC)の隣接地に新研究棟を設置することでシナジーを図り、一体となった研究・技術開発、デジタルソリューション提案を推進させていく。さらに、顧客・アカデミアとの協創の場となるオープンラボを設置し、研究者同士のコミュニケーション活性化・アイディア創発を促す仕組みを取り入れることで社内外のオープンイノベーションの強化を図る。

新研究棟の概要

  1. 施設概要:延床面積 約8,600m2、3階建
  2. 所在地:愛知県名古屋市(東レ名古屋事業場内)
  3. 竣工予定:2026年度 第1四半期
  4. 主な機能・設備:
    (1)技術融合・オープンイノベーションを推進する機能・設備
     ・基礎研究から応用研究まで幅広く対応する化学実験室
     ・技術実証のための試作、加工エリア
     ・オープンラボ
    (2)研究者同士のコミュニケーションによるアイディア創出機能
     ・ワンフロア型執務、実験エリア:140名収容
     ・オープンな各種打合せスペース
    (3)省エネルギー配慮型設備

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