モデルの付加価値を高める小型車用1500ccエンジン
3SZ-VEは、ダイハツが小型SUVやコンパクトカー向けに開発した1.5L直列4気筒DOHCエンジンであり、K3-VEをベースに排気量を拡大した発展型に位置付けられるユニットである。基本設計にはK3シリーズの思想を色濃く受け継いでおり、鋳鉄製シリンダーブロックや78mmのボアピッチといった主要寸法を共用する一方、排気量拡大に合わせて多くの部品が専用品へ変更されている。単純なボアアップではなく、ストロークを延長することで1.5L化を実現した設計となっており、実質的にはK3-VEのストロークアップ版と呼べる内容である。エンジンの基本骨格を継承しながらも、実用域でのトルク向上を重視した改良が施されていることが特徴といえる。
動弁機構にはK3-VEと同様にDOHC・4バルブレイアウトを採用し、吸気側カムシャフトには可変バルブタイミング機構DVVT(Dynamic Variable Valve Timing)を装備。運転状況に応じて吸気バルブの開閉タイミングを連続的に最適化することで、低中速域のトルクと高速域の出力性能を両立するとともに、燃費性能や排出ガス性能の向上にも貢献している。また、カムシャフトの駆動にはタイミングチェーンを採用しており、耐久性や長期信頼性にも配慮した設計となっている。これらの技術は、日常域で扱いやすい出力特性と高い環境性能を両立するための重要な要素である。

一方で、3SZ-VEは搭載性にも優れたエンジンとして設計されている。補機類を含めた前後長が比較的コンパクトにまとめられているため、横置きFFレイアウトだけでなく、縦置きFRレイアウトへの展開にも対応しやすく、高いレイアウト自由度を実現している。この特性を生かし、SUVだけでなく一部のFR車にも採用されるなど、車種ごとの要求性能に柔軟に対応できるパッケージング性を備えている点も大きな魅力である。ダイハツが長年培ってきたコンパクトエンジン開発のノウハウを生かし、限られたスペースの中で性能・耐久性・搭載性を高いレベルでバランスさせた設計思想は、3SZ-VEにも受け継がれている。
K3シリーズとの共通性を維持しながら排気量拡大と実用性能向上を図った3SZ-VEは、単なる派生型ではなく、車両特性に合わせて最適化された発展型ユニットである。共通設計を活用しつつ、専用部品を積極的に採用することで性能を磨き上げる開発手法は、ダイハツの小排気量エンジン開発を象徴するアプローチの一つといえる。

トヨタ・ダイハツ 3SZ-VE 主要スペック
エンジン形式:直列4気筒DOHC
排気量:1495cc
ボア×ストローク:72.0×91.8mm
圧縮比:10.0
最高出力:80kW/6000rpm
最大トルク:141Nm/4400rpm
給気方式:自然吸気
吸気弁/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:直接駆動
燃料噴射方式:PFI
VVT/VVL:In/×
(ブーン・ルミナス)
