連載

内燃機関超基礎講座


ロングストロークされ数々の新機軸が盛り込まれるスバルの大黒柱

FB20自然吸気仕様のカットモデル。

2010年に登場したFBシリーズは、長年スバルの主力を担ったEJシリーズを全面刷新する目的で開発された新世代水平対向エンジンである。最大の特徴は、水平対向エンジンの弱点とされてきたショートストローク設計から脱却し、ロングストローク化を実現した点にある。水平対向エンジンは左右にシリンダーが張り出す構造上、全長の制約からショートストローク化しやすい宿命を抱えていた。しかしFBシリーズではボアを抑え、斜め割りコンロッドを採用することでストロークを延長する設計へ転換。燃焼室のS/V(表面積/容積)比を改善した。燃焼効率を高め、高圧縮比化と燃費性能の向上を両立したことが大きな技術的トピックだ。

その思想を支えるため、FBシリーズはクランクシャフトを除くほぼすべての主要部品を新設計としている。前述の斜め割りコンロッドのほか、シリンダーブロックやヘッド、吸排気系、動弁系、冷却系まで抜本的な見直しが図られ、レギュラーガソリン仕様ながら圧縮比11.0という高い数値を実現した。2014年には、スバル初の直噴ダウンサイジングターボ「FB16DIT」が登場。直噴化による耐ノック性能の向上を活かしながら、小排気量と過給を組み合わせることで、力強いトルクと優れた燃費性能を両立する新世代ユニットとして投入された。

さらに2016年には、自然吸気のFB20も直噴化され、大幅な改良が施された。圧縮比は従来のポート噴射仕様の10.5から12.5へ引き上げられ、最大出力は3kW向上するとともに、その発生回転数も200rpm低下。扱いやすさと実用域での性能を高めている。直噴化に合わせてピストン冠面形状が最適化されたほか、クランクシャフトはカウンターウエイト形状を見直すことでkg単位の軽量化を実現。さらにシリンダーブロックまで新設計されるなど、一見すると排気量や型式が同じでも内部構造には大幅な改良が盛り込まれている。新型インプレッサに搭載されたこのFB20直噴仕様は、SUBARU GLOBAL PLATFORMとの組み合わせを前提に、動力性能と環境性能の両面で進化を遂げたエンジンとして位置付けられた。

EJシリーズが同一型式の中で数多くの設計変更を重ねてきたように、FBシリーズも搭載車種や世代ごとに最適化が進められてきた。シリンダーブロックやクランクシャフトにまで手を加える大規模な改良を継続的に実施する姿勢は、水平対向エンジンを熟成させ続けるスバルらしい開発思想を象徴しているといえる。

FB16DITの展示用カットモデル。従来のEJ型よりも高効率・低コストなエンジンを目指し、1.6Lターボにも関わらず使用燃料はレギュラーガソリン、エンジンオイル粘度は0W-20を指定している。

スバル FB20 主要スペック

エンジン形式:水平対向4気筒DOHC
排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:113kW/6000rpm
最大トルク196Nm/4000rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック材:アルミ合金
吸気弁/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
燃料噴射装置:ポート噴射
VVT/VVL:In×/Ex×/×
(XV Hybrid(GPE))

スバル・レヴォーグ(VM型)
スバル・インプレッサ(GT型)
スバル・XV(GP型)
スバル・クロスオーバー7(YA型)
スバル・フォレスター(SK型)

連載 内燃機関超基礎講座

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 43分前

スバル 水平対向4気筒DOHC【FBシリーズ】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.07.07

BMW 直列6気筒ディーゼルターボ【N57D30】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.07.03

フォード V型8気筒自然吸気【Triton Engine】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑