惜しまれつつ勇退した、スバル「ボクサー6」の到達点

EZ30(2000年デビュー)をベースに、外寸を変えることなく可能な限りの排気量アップに挑戦したのがEZ36だ。ボアをEZ30の89.2mmから92mmへ拡大したことにとどまらず、ストロークも11mm延長することで、ほぼスクエアといえるボア×ストロークになった。
吸気側と排気側の両方に作用するデュアルAVCSを採用したことも大きな特徴である。これにより低回転域でのトルク特性を向上させ、SUVに求められる実用性能の強化を図ったという。単純な排気量拡大だけではなく、日常域で扱いやすい出力特性を追求したことがうかがえる。
冷却系についても大幅な見直しが行われた。3.6L化によって発熱量が増加する中、冷却性能の向上によってレギュラーガソリン対応を実現している点は見逃せない。従来のEZ30がプレミアムガソリン指定だったことを考えると、維持費低減にも配慮した設計変更だったといえる。
コンロッド回転軌跡が大きくなる分はブロック側を削り、組立て性確保のためコンロッド大端部を斜め分割のクラッキングタイプに、といった工夫を積み重ねた結果、ボアピッチもデッキハイトも変更せずに単室容積を拡大させている。前述のとおり、EZ36では使用燃料にレギュラーガソリンを指定しているが、それで圧縮比10.5:1を実現している点にも注目したい。
水平対向6気筒ならではの滑らかな回転フィールを維持しながら、より大きなトルクと優れた実用性を獲得した。スバルが長年培ってきた自然吸気水平対向6気筒の到達点のひとつであり、後のレガシィやアウトバックの3.6R系のモデルにも展開されるなど、同社の上級モデルを支える主力ユニットとして活躍した。
スバル EZ36 主要スペック
エンジン形式:水平対向6気筒DOHC
排気量:3629cc
ボア×ストローク:92.0×91.0mm
圧縮比:10.5
最高出力:191kW/6000rpm
最大トルク:335Nm/4400rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック/ヘッド材料:アルミ合金
吸気弁数/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:直打
燃料噴射装置:ポート噴射
VVT/VVL:In◯/Ex◯/×
点火順序:1-6-3-2-5-4


