連載

内燃機関超基礎講座

オートバイ用小型パワーユニットを発電機に転用した発電専用エンジン

i3のエンジン搭載図。スロットルバルブ〜インテークマニホールド〜シリンダーまでの吸気経路、そして電動モーターのレイアウトが確認できる。

BMWのW20エンジンは、電動車ブランド「BMW i」の第一弾モデルであるBMW i3のレンジエクステンダー仕様に搭載された発電専用ガソリンエンジンである。BMWのエンジン型式では「W20K06U0」と呼ばれ、排気量は647ccと超小型ユニットである。走行そのものは高電圧バッテリーと電気モーターが担い、搭載するW20は発電機として駆動し、直接ホイールを駆動しない。あくまで電力を生み出す役割に徹している。

エンジンの基本設計はBMWモトラッドの大型スクーター向けに開発された並列2気筒エンジンをベースとしているが、自動車用途に合わせて各部に改良が加えられている。ボア79mm、ストローク66mmのショートストローク設計を採用し、総排気量647ccを実現。圧縮比は10.6:1とされた。シリンダーヘッドにはDOHC 4バルブを採用し、BMW独自の可変バルブタイミング機構であるダブルVANOSも組み込まれている。

また、2気筒エンジン特有の振動対策としてバランサーシャフトを装備。車室内の快適性を損なわないよう静粛性や振動低減に配慮した設計が施されている。さらにアルミニウム製クランクケースを採用することで軽量化を図り、BMW i3の特徴である軽量ボディとの組み合わせによって車両全体の効率向上にも貢献している。

発電専用という用途から、W20には一般的な自動車用エンジンのような急激な回転変化や高負荷運転への対応は求められない。その代わり、一定の回転域で高効率かつ安定して発電できるよう最適化されており、エンジン性能よりも効率や信頼性を重視したチューニングが施されている。最高出力は約34psを発生し、発電システムを通じて車両の電力需要を支える。

BMW i3レンジエクステンダーのカットモデル。リヤの車軸上に、ブロック本体を寝かせる形で搭載される。
W20型エンジンの本体

BMW W20 主要スペック

エンジン形式:並列2気筒DOHC
排気量:647cc
ボア×ストローク:79.0×66.0mm
圧縮比:10.6:1
最高出力:28kW/5000rpm
最大トルク:56Nm/4500rpm
吸気方式:自然吸気
ブロック材:アルミ合金
吸気弁/排気弁:2/2
バルブ駆動方式:直接駆動
燃料噴射方式:ポート噴射
VVT/VVL:×/×
(BMW i3)

BMW i3(IO1)

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