連載

内燃機関超基礎講座

これがダッジ流アメリカン・マッスル・スポーツカーの心臓部だ

レーシング仕様のバイパーGTS-Rに搭載されたV型10気筒エンジン。

ダッジが1992〜2017年の間に生産していたスポーツカー、バイパーに搭載するべく開発したエンジンが、今回紹介するV10シリーズである。当時はダッジを象徴するスポーツカーらしくV型10気筒 OHV(気筒あたり2バルブ)というキャラクターを貫きながら、改良が幾度となく行なわれた。排気量も、初代でも8Lという超弩級のサイズを持ちながら、その後も8.3L、8.4Lとボアアップを重ねている。

ベースエンジンには、ダッジ・ラムなどのトラックに搭載されていたLAエンジンシリーズ、特にマグナム5.9と呼ばれたV型8気筒に2気筒をプラスして生まれたエンジンであることは有名だが、シリンダーブロックを鋳鉄から総アルミ製に造り直すなど、大幅な変更が施されている。その開発には、当時クライスラーの傘下にあったランボルギーニが関わり、軽量化から高回転高出力化、そしてインテークまわりの改修などによる低重心化など、スポーツカーに必要とされるファクターが与えられるに至っている。

初代バイパーのフロントに搭載されたV10。赤に塗装されたヘッド周りに目を引かれる。
ダッジ・バイパーの透視図。

横1直線に並ぶ吸排気バルブに、1バンクあたり1本のロッカーシャフトという、シンプルな構造はベースエンジンそのままだが、8Lという排気量ゆえに圧倒的なパワーを発揮する。1992〜2002年に発売された初代モデル、つまり8L仕様のSR1型では298kW/610Nmというスペックをマークし、改良型のSR2では336kW/664Nmにまで引き上げられた。

2003年にフルモデルチェンジした2代目(ZB型)では、ボアストロークを102.4×100.6mmまで拡大、排気量は8.3Lになった。このZB1型と呼ばれたエンジンでは、最高出力・最大トルクを380kW/725Nmまで向上。さらに、2008年にはプラス100cc分を上乗せした8.4L仕様のZB2型がデビューすると、OHVとしては初となる可変バルブタイミング機構を組み込むことにより、馬力もトルクも447kW/759Nmまで高められていった。

しかし、バイパーは2010年に一度生産を終了、カタログラインアップから姿を消すことになる。一度は終わりかけたバイパーだったが、2年後の2012年にV型10気筒エンジンを搭載したまま復活を遂げることになる。それが歴代最強となる3代目だ。排気量は8.4Lそのままながら、3代目に搭載されたVX1型では477kw/813Nmを絞り出す。2015年には、燃費性能を改善しながら、最高出力も481kWに到達するに至った。

2013年型 8.4L V型10気筒エンジンのエンジン性能曲線。6200回転で640HPをマークした。
8.4L仕様のバイパーV10エンジン。

そして、2017年でダッジ・バイパーの生産が終了し、工場も閉鎖されることになった。1992年から2017年までの間、ダッジ流アメリカン・マッスル・スポーツカーという独自のキャラクターで世界中を走り続けたエンジンは、今なお多くのファンの記憶に残り続けている。

ダッジ Viper V10 主要スペック

総排気量:8378cc
ボア×ストローク:103.0×100.6mm
圧縮比:10.2
最高出力:450kW/6100rpm
最大トルク:760Nm/5000rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック/ヘッド材:アルミ合金
吸気弁/排気弁数:1/1
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
燃料噴射装置:ポート噴射
VVT/VVL:In◯/Ex×/×
点火順序:1-10-9-4-3-6-5-8-7-2
(2011 Viper SRT10)

ダッジ・バイパー(初代・ロードスター)
2代目ダッジ・バイパー(SRT-10)
3代目ダッジ・バイパー
ダッジ・ラム SRT-10

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