連載

内燃機関超基礎講座

205kW、370Nmでフレンチホットハッチの走りを支えてきた

フランス語で鋳鉄を意味する「Fer du jet」の頭文字が由来という、長い歴史を持つルノーのF系エンジン。その系譜にDOHC化や16バルブ化、さらにターボ過給を加え、ルノー・スポールの高性能モデル向けユニットとして仕立てられたのがF4Rtである。F4系の基本設計を受け継ぐF4Rをベースとした水冷直列4気筒DOHC16バルブで、排気量は1998cc。ボア×ストロークは82.7×93.0mmとロングストローク型のディメンションを採用し、鋳鉄製シリンダーブロックを用いる堅牢な基本構造を特徴とする。

F4Rtは搭載車種や世代に応じて数多くの仕様が存在するが、高性能版では過給圧や吸排気系、燃料噴射、ECU制御などを段階的にアップデート。メガーヌR.S.に搭載された最終期の高出力仕様では、ツインスクロールターボを採用することで排気パルスを効率よくタービンへ導き、ターボラグを抑えながら高回転域で必要となる過給能力を確保している。また、高い排気温度にさらされるバルブにはナトリウム封入タイプを採用。バルブ内部のナトリウムが熱をステム側へ移動させることで冷却性を高め、高負荷運転時の熱対策を図っている。これらの改良によって最高出力205kW、最大トルク370Nmを発生しながら、Euro 5にも適合した。

さらにアクセル操作に対するエンジン応答を変更するアクセル・ペダル・マッピングも導入され、電子制御によってドライバーの要求トルクと実際のエンジン出力を緻密に制御する。長年にわたって熟成された基本設計に、過給技術や熱対策、電子制御を積み重ねることで高性能化を続けた点が、F4Rtの大きな特徴である。

ルノー F4Rt 主要スペック

エンジン形式:直列4気筒DOHC
排気量:1998cc
圧縮比:8.6
ボア×ストローク:82.7×93.0mm
最高出力:205kW/5500rpm
最大トルク:370Nm/3000-5000rpm
吸気方式:ターボチャージャー
吸気弁/排気弁数:2/2
燃料噴射装置:PFI
シリンダーブロック材:鋳鉄
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
VVT/VVL:In/×

ルノー・メガーヌR.S.(二代目)

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