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自衛隊新戦力図鑑新しい拳銃は「ハンマー」がない
陸上自衛隊は2020年に小銃と拳銃をあわせて更新した。新拳銃として採用されたのがドイツのヘッケラー&コック(H&K)社製「SFP9」。陸自では「9mm拳銃SFP9」と呼んでいる。使用する銃弾は、標準的な拳銃弾薬である9mm口径弾(9×19mm弾)だ。

以前より使用していた「9mm拳銃」(SIG社製P220を国内生産したもの)とのいちばんの違いは、「ハンマー式」から「ストライカー式」になったことだ。ストライカー式は、ざっくり言えば「ハンマー(撃鉄)のない拳銃」であり、西側の軍・警察用拳銃の主流となっている。
拳銃というと、後端にばね仕掛けのハンマーがあり、これが勢いよく撃針を叩くことで銃弾を撃発させる――というイメージを抱く方が多いと思う。ストライカー式は撃針そのものがばね仕掛けになっており、ハンマーがなくなった。

ストライカー式拳銃は、撃針がばねの力を蓄えた状態(いつでも前進できる状態)で携行するため“トリガーを引かなければ撃針が前進しない(撃発しない)”ように、内蔵式の安全機構が組み込まれている。一般的に、指で正しく引かなければ動かないトリガー構造と、トリガーを引き切るまで撃針の前進を物理的に阻止する部品を備える。こうした機構が自動的に働くため、多くの機種は手動式の安全装置を持たない(オプションで追加できる場合もある)。
採用の理由を考えてみる
新拳銃の選定は2017年から開始され、H&K SFP9のほか、イタリアのベレッタ社製「APX」、オーストリアのグロック社製「G17」の3機種によるトライアルが行なわれた。なぜ、SFP9が勝利したのか?
個人的な感想でいえば、SFP9を選ぶ。筆者はSFP9とG17を撃ったことがあるが、SFP9の立体的なグリップはとても握りやすく、操作性も優れている。また、トリガーのキレが良く、撃発の瞬間を捉えやすい。どちらも射撃の精度に直結する特性だ。

ただし、陸自のような大きな組織の新拳銃選定は、撃ちごたえのようなミクロ視点ではなく、より大きな視点で捉えるべきだろう。考えられる理由として、サプライチェーンの問題がある。9mm拳銃(P220)が国内生産だったのに対して、今回は輸入となった。そのため、納入から整備・部品供給までメーカーの対応力が重要になる。

H&Kの銃器は陸自や海自の特殊部隊で長く使用実績があり、3社のなかでは実績の面で優位性があったといえる。新拳銃決定後には、陸自一般部隊向けの狙撃銃として同社の「G28E2」が採用されている。
40年ぶりの更新となった新拳銃SFP9は、現代的な能力を備えたとても優れた拳銃であることは間違いない。今後ながく、陸自のよき“相棒”となってくれるだろう。
