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屋根上に充電レールを備えたEVバスが稼働する
ダイムラーがEVバス『eCitaro』を発表したのは2018年7月のこと。当時は車体右側に充電ソケットを備えていた。次に他の充電ソケットとしてパンタグラフが追加されたが、今回チューリッヒで運用されるモデルでは屋根上に充電用レール機器を搭載している。バッテリーだけでなく、メルセデスの充電技術もまた、モジュラー設計なのである。これによりこの電気市バスは、公共交通機関のニーズに柔軟に対応できる。
充電プラグを使用すると『eCitaro』は最大150 kWでの急速充電が可能だ。パンタグラフと充電レールを使用すると、最大300kWの高電力容量での充電もできる。その違いは、パンタグラフでは、集電装置が市バスの屋根に配置されていることである。これらは充電ステーションの下に拡張されている。充電レール付きのバージョンの場合、それが逆になる。コンタクトは、充電ステーションから伸びるパンタグラフを介して上から確立される。VBG社に供給した『eCitaro』は、特に柔軟性がある。充電レールに加えて、前輪アーチ上に左右に1つずつ、合計2つの充電ソケットを搭載している。
厳しい運航条件:VBGの革新的なバスルート
『eCitaro』はVBGの革新的なバスルート(路線番号759)で稼働する。この路線はワンゲンの町とチューリッヒ空港の間に存在している。路線の長さは27.4kmであり、28の停留所を有する。このルートにおいて、導入企業であるVBGは革新的なテクノロジーをテストする。目的は、VBGの最初の完全電気バスルートにすることである。これまでに7台のディーゼルバスが運行されていきた。それらは1年間に約63万5,000kmを走行して、約23万5,000Lのディーゼル燃料を消費していた。『eCitaro』は路線を運航中、チューリッヒ空港の終点において、充電レールを介して短い待機時間中にのみ充電される。さらに、バス停のプラグを介して、夜間の充電が1回だけ行われる。使われる電気は100%再生可能エネルギー源から供給される。