スズキと静岡大学がマイクロプラスチック判別技術の共同研究を開始

スズキは静岡大学とタンパク質のプラスチックへの吸着特性を活かしたマイクロプラスチックの判別技術に関する共同研究契約を締結したことを発表した。スズキは、「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の一環として、船外機に搭載可能なマイクロプラスチック回収装置(以下、MPC)を開発し、2022年7月より一部機種へ標準搭載し販売を開始。またMPCで回収された物質を分析し、商品力向上に向けた開発も継続している。

MPCによる回収物には、マイクロプラスチックの他に砂や木くず、微小な海洋生物なども含まれ、手作業と目視による分別には経験やスキルが必要となる。また、国内外のモニタリングポイントで回収物は分析されず、本社で分析されているため、効率改善が課題となっている。静岡大学は、微生物が持つ酵素やタンパク質を活用する研究に強みを持ち、その領域として、タンパク質の吸着特性についての知見を持つ。スズキのマリン技術センターの担当が、この研究や知見に興味を持ったことがきっかけで、今回の共同研究に繋がった。

本研究で使用するタンパク質はプラスチックに吸着し、着色させるという特性を持つ。また、タンパク質とプラスチックの組み合わせにより色にも違いが現れる。この特性を活かし、MPCで回収したマイクロプラスチックにタンパク質を吸着、着色させることで、正確かつ短時間でプラスチックの特定および同種類の判別が可能となる。また、画像認識により、国内外のモニタリングポイントからもデータ入手が容易となり、タイムリーな開発につながるとされている。

MPC搭載の船外機を使用している顧客から、「自分で回収したマイクロプラスチックの量を簡単に把握したい」との要望が寄せられている。将来的に、この判別技術を実用化することで、プラスチックの回収量や種類を画像認識で可視化することができ、海洋プラスチックごみ削減の取り組みが身近に感じられるようになるという。

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