目次
テーマは“安心・快適・利便”
アイシンは、クルマに乗る前から降りた後までの「一連の移動体験」を “安心・快適・利便”というキーワードのもとで刷新していくことを目指すという。わかりやすく言えば、ユーザーが「ちょっと欲しいな」と思うサポートが得られる環境づくりということだ。広報担当者によれば、「(今回は)具体的な展示ではなく、開発の方向性を紹介しています」とのことだったが、同社の幅広い製品・技術ラインナップを活用した様々なユースケースを考えているようだ。
ADASで培ったセンサー技術を安全と快適に応用
各種のセンサー技術をパワースライドドアやサンルーフの開閉システムに関する知見と組み合わせることで、ユーザーにとって便利で快適な環境づくりにつながる機能が提供できるという。一例として、クルマの所有者を認識してドアをタイミング良く開けたり、サイドステップなどのエントリー装置を自動的に作動させたりする「ドアコパイロット」の製品化を検討しているという。
「例えば、スマホにアプリを登録しているユーザーが、赤ちゃんを抱っこして近づいたら愛車のセンサーが認識して自動的にスライドドアを開けるようなイメージです」(広報談)
ドライバーの脇見や居眠り防止機能に使用されている車内モニター用センサーを応用すれば、駐車中のキャビン内をチェックすることも可能だ。夏になると、車内に取り残された乳幼児が熱中症で亡くなる痛ましい事故が報じられる。「乗員見守り」システムは、例えば車内にいる子供の呼吸を生体検知センサーで判断し、危険がある場合は警告を出すことができる。置き去り事故の防止に大きな力を発揮することだろう。
コネクテッド技術で乗車前からユーザーをサポート
“安心・快適・利便”の提供は乗車前から始まるという。ナビゲーションやコネクテッド技術を活用することで、例えばドライブ先でどんなアクティビティが楽しめるかを事前に自宅でシミュレーションすることができる。道路情報や位置情報とレジャースポット情報などを組み合わせれば、移動中に体験できることを効率良く織り込んだドライブプランを事前に立てることが可能になるだろう。
「最適駐車場提案」は、ナビゲーションシステムと駐車場のインフラを連携させ、進路だけでなく、「今、ここに停められる」などの案内も可能になるという。迷ったり駐車スペース探しに手間取ったりすることがなくなれば、事故の防止にもつながるだろう。アイシンでは既に、インフラメーカーや機械式駐車場の運営会社などと連携して自動バレーパーキングの実証実験も行っている。
包括的な知見を生かしたカーライフスタイル全般のサポート
そのほか、エア圧を使った運転席のサイドサポートやランバーサポートモジュールなどを応用して、加減速やコーナーリング時に乗員を支えて体の揺れを防ぐ「快適姿勢サポート」も検討しているとのことだ。リビングにいるような、くつろげる空間をシート機能によって提供することを目指しているという。
このように、トランスミッションやEアクスルだけでなく、包括的な自動車システムに関する知見を生かしてカーライフスタイルをサポートするのが、アイシンの製品・技術開発の方向性における柱の1つのようだ。