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廃盤部品の増加を踏まえたマシンメイクが重要
足りないパーツは自社製品でカバーする専門店ならではの取り組み!
新車当時JZX100ツアラーVで最も人気が高く、販売面で成功を収めたのがチェイサー。マークIIはその陰に隠れ、ルラーンGというグレード名が与えられた上級志向のクレスタは4速ATのみの設定が仇となって人気薄だった。
「ところが、販売台数の少なさが追い風となり、中古車市場で人気上昇中なのがマークII。実は、ここ最近の価格相場がチェイサーより50万円ほど高くなっているんですよ」と、たにぐち自動車代表の谷口さんが言う。中でも特に人気を集めているのが純正フルエアロとサンルーフを装備した仕様。取材車両がまさにそれに当たる。

JZX100では定番のAT改MTで、チューニング内容は吸排気に車高調、LSDとライトなもの。それには当然、理由がある。というのも、外板パネルを含めた純正新品パーツが入手しづらくなり、パワー系チューンでクルマに大きな負担を掛けたり、ハードに走り込んで万が一、トラブルやクラッシュに見舞われたりすると修理不能なケースが考えられるようになってきたから。
かつては、JZX100でD1GPに参戦していたほどの谷口さんだが、ここ5年くらいは「チューニングはそこそこに抑えて、長く楽しんだ方が良い」ということを提唱し、それを実践するユーザーが増えてきた。このマークIIのオーナーも同様。取材車両は、今時のJZX100チューンのお手本とも言える一台なのだ。





たにぐち自動車では、オリジナルパーツを幅広く展開することでオーナーを手厚くサポート。強化アクチュエーター付きタービンや電解コンデンサを交換したリビルトECUなどを取り扱うだけでなく、本来は非分解式とされるVVT-iプーリーやISCVのオーバーホール作業も実施するなど、確実に“守備範囲”を拡げている。

エンジン本体はノーマルで、たにぐち自動車オリジナルエキゾーストマニホールドVer.1を介して純正タービンをセット。ラジエターはHPI製エヴォルブに交換される。「インタークーラーは純正でも構いませんが、経年劣化でゴムパッキンが抜けるようになるので、前置きに交換してしまうケースがほとんどです」と谷口さん。

ステアリングは、ナルディクラシックに交換。赤いステッチがアクセントとなる。ダッシュボードやセンターコンソール、パワーウインドウスイッチ周辺に使われるカーボン調パネルはツアラーVに標準。ミッション換装に際して、シフト周りのパネルもMT用に交換される。

運転席はブリッドジータIV、助手席はスウェード調生地採用のユーロスターIIを装着。谷口さんいわく、「ホールド性や快適性を高めると言うより、貴重な純正シートを程度のいい状態で保管しておきたい。そのためにシート交換するオーナーさんが多いですね」とのこと。

R154型の5速MTはトヨタからまだ新品を手に入れることができ、25万円前後と価格も良心的。また、費用対効果が高いため、オーバーホールが必要なMTも新品への載せ替えを勧めている。

オリジナルの鬼デュアルマフラーは人気製品だ。車高ダウン時にも路面とのクリアランスを確保する設計で、メインパイプ径は76.3φ→60φデュアル→76.3φを採用。エキゾーストマニホールドVer.1との組み合わせで直6らしい甲高いサウンドを放つ。社外リヤバンパーに対応するよう、テールパイプを10cm延長したタイプSもラインナップ済みだ。

ドリフトのベース車両として人気だったJZX100では、リヤフェンダーのツメ折りやカットが行なわれたケースが非常に多い。しかし、長い目で見ると、それが錆びや腐食の原因になる。取材車両はリヤフェンダー無加工の貴重な個体だ。

谷口さんいわく、「設計された時代もあると思いますが、とにかく各部が丈夫に作られ、高い耐久性を持っているのがJZX100。長く楽しむクルマとしては打って付けなんです」。

たにぐち自動車の創業から20年以上が経ち、その間にJZX100を取り巻く環境も大きく変化した。そこを敏感に察知して、ハイパワーでドリフトを楽しむ方向から、適度なチューニングで長く乗れる方向へとシフトしたのは、谷口さん自身が心底JZX100に惚れ込んでいるからに他ならない。だからこそ、常にユーザー目線でのチューニングメニューやオリジナルパーツが考えられるのだ。名
車JZX100の今あるべき姿と今後向かうべきところ。取材したマークⅡを見れば、それは一目瞭然だった。
●取材協力:たにぐち自動車 愛知県一宮市浅野字大島9-2 TEL:0586-81-6660
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