「排気量ダウンしたJZA80スープラ!?」掟破りの高回転型1JZツインターボ仕様に迫る!

心臓部は580馬力の1JZ改GT3240タービン仕様!

レーシングカーレベルのボディメイクも光る異端チューンド

あろうことか、最強の直6エンジンである2JZ-GTEを捨て、JZA80スープラに500cc排気量が低い1JZ-GTEターボを換装してしまったというのが“エルドオートサービス”。その経緯は、オーナーがフルチューンの1JZを搭載したJZA70スープラを所有していたことが始まり。ボディが限界に達し悩んでいたところ、偶然JZA80スープラが手に入り、ハコ替えを決意したのである。

JZA80のエンジンルームに収められた1JZ-GTE。フルチューンの前期型1JZは580psを発揮する。

換装されたエンジンは、HKS鍛造ピストンやハイカム(IN264度 EX272度)が組まれたもので、GT3240タービンにブースト1.5キロをかけて580psを発揮するハイスペック仕様だ。同等スペックの2JZと比べるとトルク感は劣るが、その分、高回転域では1JZに分があるため、とくに不満を感じてはいないそうだ。

サージタンクはエルドオートサービスのワンオフ品。スロットルはレスポンス重視で1JZ-GTE純正としている。

なお、エンジン換装前は吸入空気量の増大を狙ったインフィニティ用90φスロットル仕様だったが、レスポンスを追求してあえて1JZ用60φにリターン。存在感のあるサージタンクはワンオフ品だ。

クランクダンパープーリーは、エンジン振動を吸収しクランクシャフトやクランクメインメタルの耐久性を高めるパーツだ。

ハイパワーチューニングにおいて、クランクの振動によるエンジン破損対策として欠かせないパーツがダンパープーリーだ。JZ系エンジンでは実績のあるアメリカATI製をチョイスしている。

インタークーラーはHKSのGTタイプ、ラジエターはコーヨーの銅3層タイプを使っている。直6でのVマウント仕様は非常に珍しい。

インタークーラとラジエターはVマウント化。これもレスポンスを追求した結果の産物で、直6搭載車両では非常に珍しいがノ—ズが長いJZA80スープラの場合、レイアウトにも大きな苦労はなかったとのこと。左右のダクト内には、それぞれオイルクーラーがインストールされている。

アッパー部から伸びるホースはダンパーの別タンクに繋がる。

足回りは、エルドオリジナルのエスカレーション車高調を軸に構築。これは別タンク式のハイエンドモデルだ。スプリングレートは富士スピードウェイでの走行を前提に、フロント20kg/mm、リヤ22kg/mmとやや固めの設定だ。

サーキットイメージのビッグキャリパーとドレスアップ系ホイールの組み合わせが非常に新鮮。

ブレーキキャリパーはフロント&リヤともにプロジェクトμ製のキットを組み込む。前後のブレーキバランスが変化するため、調整できるようにバランサーも装備してサーキット走行に備えている。

ホイールは高級鍛造ホイールメーカーのVOSSEN。

エクステリアはMAX☆織戸デザインのリドックス製でフル武装し、GTウイングにはレース用に製作されたというドライカーボン製をワンオフのステーで装備。レーシーなエアロパーツとドレッシーな20インチのVOSSENホイールとの組み合わせは、意外にも馴染みが良い。

ルーフの内張りまで全て剥がした上でロールケージを中心に徹底補強を敢行。高剛性ボディを作り上げている。

シートはレカロのSP-A&SP-Gに交換。駆動系はトリプルプレートクラッチ→ゲトラグ6速ミッション→クスコLSDという組み合わせだ。センターコンソールの助手席側に確認できるレバーはブレーキバランサー。

ボディはフルスポット増しを施し、ロールケージも溶接留めとしている。

ストリップ状態からフル補強して仕上げたボディに、溶接留めロールケージを組み込んで高速サーキットでの走行に対応する剛性を確保。また、エルドオリジナルの脱着可能な補強パーツも組まれている。

バーチカル風にマウントされたGTウイングが、本気仕様であることを物語る。

事情を知らなければ「???」しか頭に浮かばない異端チューンドだが、オーナーの想いに200パーセントで応えるエルドの技術力は流石としか言いようがない。何より、常識に捉われないスペックは、チューニングの面白さと奥深さを教えてくれているようだ。

●取材協力:エルドオートサービス 東京都八王子市鑓水83-1 TEL:0426-78-7325

【関連リンク】
エルドオートサービス
http://www.eld-as.jp/

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