移動体検知システム「イルミエル」による実証実験
本実証では、小糸製作所の移動体検知システム「ILLUMIERE(イルミエル)」が活用され、MFTBCの製造現場の人や車両の動きを効率的・客観的なデジタル測定が行われる。MFTBCは様々な工場改善の取り組みで蓄積した知見をもとに、得られたデータを分析して最適な動線と物流計画が検討される。さらにMFTBCと小糸製作所は、LiDAR技術の新たな活用法の開発と、得られたデータの分析手法を共同で検討し、動線分析技術のさらなる転用の可能性を探っていく。
イルミエルは、LiDAR モジュールによって周囲の移動体の位置情報を点群データとして取得し、移動体を人や車両に分類して動きを把握するシステムである。LiDAR技術によってこれまで AI カメラで実現できなかった移動体の位置情報を広範囲・正確に把握できるうえ、測定データの蓄積によって、分析への活用が可能。
すでに中津工場(神奈川県愛川町)のトランスミッションギア加工工程で3台のイルミエルを活用した作業者動線解析が開始されている。また、中津工場における実証実験の成果を踏まえ、川崎製作所(神奈川県川崎市)をはじめとする他拠点への展開についても、今後積極的に検討される予定とされる。
MFTBC の川崎製作所では数千人が働き、数百台の車両が稼働しており、中津工場も数百人の作業者と数十台の車両を有している。これまで、製造現場の人・車両の動線追跡は、人の目によるアナログな追跡が主で、客観的に多くの人や車両を分析することは非常に困難であった。また、デジタル技術を活用したソリューションは費用対効果の面に課題が残っていた。
実証実験の背景
近年、製造現場の人手不足や各種コストの高騰によって、業務効率化の必要性が高まっている。製造現場の作業者および運搬車両の動線を最適化し、業務量や車両数のムダをなくすことで、人手不足への対策やコスト抑制につながる。また、人と車両が行き交う製造現場では、両者が極力交わらない安全な動線の設定が必要。これらの面で、MFTBCは2024年7月に発表した動的センサー・機械学習による車両の稼働データ分析を含め、IoT(モノのインターネット)やDXを活用した業務効率化・安全性向上の取り組みを進めている。本実証も、この取り組みの一環である。


