2ドアクーペはFFとFRの違いがはっきりと現れる

プレリュードと2シリーズクーペ、両車のボディサイズは極めて近い。全高はプレリュードの方がさらに50mmも低いが、前席の頭上空間は十分に確保されているため、大柄な人でも運転に支障はないはずだ。

どちらも4人乗りのミドルサイズクーペではあるものの、後席は小柄な女性がなんとか乗り込める程度の広さであり、一般的な体型の成人男性が長時間に渡って座るのは困難だ。とくにハッチバックとなるプレリュードは頭上空間が狭い。ノッチバックとなる2シリーズクーペは頭上空間に若干の余裕があるが、狭いことには変わりない。

荷室容量はプレリュードが264リットル、2シリーズクーペは390リットルであり、どちらも一般的なサイズのゴルフバッグ2個を積み込めるだけの容量を備えている。ただしハッチバックのプレリュードは開口部が広い代わりに底が浅く、2シリーズクーペは奥行きはあるが開口部は狭い。

こうしたボディ構造の違いは、駆動方式の違いによるところが大きい。FRである2シリーズクーペは、エンジンスペースを多く必要とするためロングノーズ・ショートデッキスタイルとなり、リア周りの剛性確保のためにはノッチバックとするのが適切だ。

FRよりも設計自由度が高いFFのプレリュードは、美しいファストバックスタイルが特徴となる。レーザー溶接によってルーフモールを廃した天井の処理や格納式ドアハンドルの採用もプレリュードの流麗なデザインを引き立てている。

ホンダ プレリュード
ボディサイズ=全長4520mm×全幅1880mm×全高1355mm
ホイールベース=2605mm
車両重量=1460kg
タイヤサイズ=235/40R19(前後)

BMW 220iクーペ M Sport
ボディサイズ=全長4560mm×全幅1825mm×全高1405mm
ホイールベース=2740mm
車両重量=1530kg
タイヤサイズ=225/45R18(前後)

伝統的なBMWのドライビング体験に対し、プレリュードは仮想8段変速“S+シフト”で挑む

プレリュードのパワートレインは、低中速は最高出力184ps/最大トルク315Nmのモーターで走行し、高速走行時はエンジン動力をクラッチで直結して走行する“e:HEV”。対する2シリーズクーペは最高出力184ps/最大トルク300Nmの2.0L 直列4気筒ターボエンジンに8速ATを組み合わせたコンベンショナルな内燃機関車だ。

0-100km/h加速タイムは、2シリーズクーペが公称7.5秒。システム出力は200ps程度となるプレリュードの加速タイムは公表されていないが、スペックから予想するに2シリーズクーペと同程度の加速性能となるだろう。

プレリュードの最大の特徴は、ハイブリッドカーでありながら有段変速機が備わったクルマのように振る舞う“S+シフト”にある。

“S+シフト”スイッチをオンにすると、回生ブレーキのコントロールによってシフトアップ時の空走感やシフトダウン時の減速感をも忠実に再現。仮想8段変速の疑似シフトとアクティブサウンドコントロールによるエンジン音が同期し、完璧と言えるほどにスポーツカーを操っている雰囲気を演出する。

エンジンフィーリングやサウンドに関して定評あるBMWのそれと比べると、プレリュードのスポーツ性は演出された偽物ではあるが、ドライバーが知覚する情報そのものは同質と言ってよいだろう。むしろ、一切の雑味を感じさせない演出は本物以上と感じられるかもしれない。

そして、なにより“S+シフト”の真価はスポーツ性と環境性能の両立にある。両車のWLTCモード平均燃費はプレリュードが23.6km/L、2シリーズクーペは13.3km/L(220i M Sport)と圧倒的な差が付いている。

ホンダ プレリュード
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=141ps/6000rpm
最大トルク=182Nm/4500rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

BMW 220iクーペ M Sport
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1998cc
最高出力=184ps/5000rpm
最大トルク=300Nm/1350-4000rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=2WD(FR)

リアルスポーツ vs. アンリアルスポーツ

プレリュードの新車価格は617万9800円であり、626万円の220i M Sportと価格は非常に近い。

両車の決定的な違いは駆動方式にある。プレリュードは前輪の駆動力がハンドリングに影響するFFであるのに対し、2シリーズクーペは自然なハンドリングフィールとなるFRだ。

しかしプレリュードには、シビック タイプR譲りの“デュアルアクシス・ストラットフロントサスペンション”や新技術の“等剛性ドライブシャフト”を採用して、FFの悪癖であるトルクステアを徹底的に抑制している。

またプレリュードは電子制御ダンパーを採用しているうえ、車両制御技術“アジャイルハンドリングアシスト”はブレーキ時にも擬似LSD効果を発揮するよう制御することで、日常的な走行からスポーツ走行まで状況に応じたフレキシブルな乗り味を提供してくれる。

対する2シリーズクーペはメカニカルサスペンションであり、運動性能と安定性能を確保するために、乗り味はやや硬めの仕上がりだ。

どちらもスポーツカーとしても、グランドツーリングカーとしてもドライバーの期待に応えてくれるクルマであることは間違いない。しかし、両車は対極の価値観を持つクルマだ。

2シリーズを「リアルスポーツ」と評するなら、プレリュードは「アンリアルスポーツ」と呼べるかもしれない。「アンリアル」という言葉には「疑似的」という意味合いもさることながら、「非現実的なほど素晴らしい」という意味も含まれていることを付け加えておこう。

2シリーズクーペはBMWの伝統的なドライビングプレジャーを提供してくれる。他方、プレリュードは先進技術が可能にした新たなスポーツ体験を提供してくれるクルマだと言えるだろう。

車両本体価格

ホンダ プレリュード:617万9800円

BMW 220iクーペ M Sport:626万円