後席の居住性はほぼ互角! 荷室の利便性はスポーツバックのA5が優位

2度目のフェイスリフトとなるISは、フロントバンパーの刷新やリヤスポイラーの大型化などにより、スポーツセダンらしいエッジの効いたスタイリングに改められた。これに伴い全長が10mm延長されたものの、ボディサイズに大きな変更はない。

一方、曲面的で伸びやかなデザインを多用するA5のボディサイズは、全長ではISより115mm長く、ホイールベースも95mm長く確保されている。ただし後席空間に大きな差はなく、A5の方が頭上空間にわずかなゆとりを感じる程度の違いに留まる。

両車の決定的な違いはISが純然たるセダンであるのに対し、A5はアウディが“スポーツバック”と呼ぶハッチバックモデルである点だ。セダンのA4とクーペのA5を統合して2025年2月に登場した新生アウディ A5は、セダンの優美なプロポーションとハッチバックの利便性を兼ね備えたモデルであり、積載性や利便性はISを圧倒する。

ISのトランク容量は342リットルに留まるのに対し、A5はフル乗車時でも417リットルを確保。さらに後席を倒すことでラゲッジスペースを拡大できる。なお、A5のリヤハッチはハンズフリーで開閉できる電動テールゲートが標準装備だ。

ISもトランクスルー機能を備えることで長尺物の積載には対応するが、使い勝手ではスポーツバックのA5に遠く及ばない。

レクサス IS 特別仕様車“F SPORT Mode Black V”
ボディサイズ=全長4720mm×全幅1840mm×全高1435mm
ホイールベース=2800mm
車両重量=1710kg
タイヤサイズ=235/40R19(前後)

アウディ A5 TDI quattro 150kW
ボディサイズ=全長4835mm×全幅1860mm×全高1455mm
ホイールベース=2895mm
車両重量=1940kg
タイヤサイズ=225/55R17(前後)

フルハイブリッドの燃費性能を上回るディーゼルMHEV

レクサスISは、全グレード2.5L 直列4気筒エンジンと最高出力143psのモーター駆動を適宜使い分けるフルハイブリッドシステムを搭載し、駆動方式はFRのみだ。

2025年6月にA5へ追加されたTDIモデルは、2L 直列4気筒ディーゼルターボエンジンに、最高出力24psを発揮する48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされ、駆動方式は全輪駆動のクワトロシステムとなる。

それにより車重はA5 TDIの方が200kg近く重い。しかし、それにもかかわらずA5の燃費性能は優秀だ。両車のWLTCモード平均燃費はISが17.6km/L(300h F SPORT)であるのに対し、A5は17.7km/L(TDI クワトロ)となる。燃費数値の違いはわずかだが、燃料単価の安い軽油を使用するためランニングコストではA5に軍配が上がる。

一方で、走行時の軽快感においてはISが優位だ。A5よりも軽量であることに加え、新型ISはスポット溶接の打点追加や構造用接着剤の採用などによりボディ剛性が強化されている。また、パワーステアリングシステムが全面刷新されたうえ、より緻密な減衰制御を可能とするリニアソレノイド式電子制御サスペンションダンパーが新たに導入された。

さらに、特別仕様車の『モードブラックV』では、BBS製の軽量鍛造アルミホイールを装備することでバネ下重量の軽減を図り、ISの軽快なフットワークを引き上げている。

クワトロシステムの盤石な安定感と重厚感を誇るA5のTDIモデルとは対照的に、ISはFRスポーツセダンとしてのさらなる熟成が図られた。

レクサス IS 特別仕様車“F SPORT Mode Black V”
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2493cc
最高出力=178ps/6000rpm
最大トルク=221Nm/4200-4800rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FR)

アウディ A5 TDI quattro 150kW
エンジン形式=直列4気筒ディーゼルターボエンジン
排気量=1968cc
最高出力=204ps/3800-4200rpm
最大トルク=400Nm/1750-3250rpm 
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=4WD

価格と運転支援機能ではレクサスISが勝る

レクサスISの特別仕様車『F SPORT Mode Black V』の新車価格は675万円。ベースグレードの『IS300h』であれば580万円だ。それに対し、アウディA5の『TDIクワトロ』は716万円と、ISの価格を大きく上回る。

高性能なディーゼルMHEVと、A5の流麗なエクステリアや前席に鎮座する大型の曲面ディスプレイをはじめとするモダンなインテリアを考慮すれば納得の価格であるが、運転支援システムに関してはISの方が上手と言える。

ISは衝突被害軽減ブレーキの機能拡充に加え、高度な渋滞支援をしてくれる“アドバンストドライブ”が新たに追加された。A5も高い水準にあるものの、日本の交通環境に最適化された支援機能の幅広さにおいてはISがリードする形となるだろう。

またISは、インテリアデザインも現代的な意匠に改められ、メーターおよびインフォテインメントディスプレイはそれぞれ12.3インチに大型化。特別仕様車『モードブラックV』では、ブラック内装で統一され、シート表皮にはウルトラスエードが用いられる。

A5に見劣りするとはいえ、ISのインテリアも十分に魅力的だ。長い期間をかけて熟成を重ね、ムダを削ぎ落として行き着いたデザインとパフォーマンスには円熟味さえ感じられる。それは、日本らしい「奥ゆかしさ」と言ってもよいかもしれない。

車両本体価格

レクサス IS 特別仕様車“F SPORT Mode Black V”:675万円

アウディ A5 TDI quattro 150kW:716万円