
先生(右):損 保太郎
某損保サービスセンターに勤務。職業柄、危険なあおり運転を目の当たりにすることもしばしば。
生徒(左):モン太
バイクに乗っている時に幅寄せをされて怖い思いをしたモン。本当になくなってほしいモン!
悲惨な事故で厳罰化へ 保険も適用外になるかも
損 保太郎(以下 保太郎)2018年、バイクに乗った大学生のライダーが自動車に乗るドライバーから「あおり運転」を受け続けたあげく、最終的には追突されて亡くなってしまった事件は覚えている人もいると思う。
モン太 ボクはまだ子供だったけど、その事件は記憶にあるモン。
保太郎 この事件の裁判では加害者の行為は単なる過失による交通事故ではなく、殺意が認定されて殺人罪が適用されたんだ。このほかにもあおり運転による凄惨な事故はたびたびニュースで流れているけど、「あおった」「あおられた」の末の事故は後を絶たないんだ。
モン太 え~そんなにあるモンか? 対岸の火事ではないモンな。
保太郎 当事者にはそこまで悪いことをやっている意識がないからなんだろうね。でも、「あおり運転」に対して昨今では厳罰化の流れになっているんだよ。
今では事故が起こらなくても、危険なあおり運転については妨害運転罪というものが適用されるんだ。罰則はかなり厳しくて最大で5年以下の懲役・100万円以下の罰金、しかも一発で免許取り消しという厳しい処分だ。
モン太 こうでもしないとダメだなんて、チョット悲しいモン。
保太郎 さらに、事故を起こした場合には保険金が支払われないケースもあるんだ。先に述べた2018年の例だと、裁判で加害者に殺意があったと認定されている。
保険の約款には故意(わざと)は免責(保険金が支払われない)と記載されているため、被害者が死んでしまうかもしれないと分かったうえでその行為をした場合は故意と判断されて、保険金が支払われない可能性がある。
モン太 賠償金も自腹か~。自業自得だと思うけど、被害者は浮かばれないモン。
どんな行為が「妨害運転罪」? 10個のタイプが該当する
保太郎 妨害運転罪に該当するのは表に記載された10の類型がある。ほかにも行為者に妨害する意思があり、他の運転車両等に交通の危険を生じさせるおそれがあったことが要件となるよ。
モン太 車間を必要以上に詰めたりとか、パッシングやクラクションを執拗にすることは典型だモン。高速でのトロトロ運転や停止したりするのも含まれているモンな。前に割り込んできて急ブレーキとか、どれもネットの動画とかでよく見るやつだモン。でも①にある通行区分違反って何だモン?
保太郎 ここで言うところの通行区分違反というのは、センターラインを超えた逆走とかが該当するね。たとえばセンターラインを超えて道路いっぱいに蛇行する行為とかね。安全運転義務違反はかなり広い意味があるけど、モン太君が受けた幅寄せや、急な加速・減速で威嚇する行為等が該当するね。
モン太 なるほど。本当にやめて欲しいモン。
保太郎 この妨害運転罪は自動車やバイクだけでなくて自転車にも適用される。実例でいうと交通の流れを妨害する目的でわざと車の前に飛び出したり、センターラインを超えて飛び出すなどの行為を繰り返していた男性が逮捕されたケースもあるんだよ。
モン太 なるほど~。運転するときは、周りの車とかに思いやりをもって運転することが大事だモン。
保太郎 当り前なんだけどそういうこと。一時のイライラや感情にまかせて運転すると、その後の人生を変えてしまう可能性があるんだからね!
妨害運転の対象となる10 の違反
① 通行区分違反
② 急ブレーキ禁止違反
③ 車間距離不保持
④ 進路変更禁止違反
⑤ 追越し違反
⑥ 減光等義務違反
⑦ 警音器使用制限違反
⑧ 安全運転義務違反
⑨ 最低速度違反
⑩ 高速自動車国道等駐停車違反
※ここでは一般的な自動車保険について解説しています。各社の約款や個別の事情により内容が異なる場合があります。
※この記事は月刊モトチャンプ2025年5月号のものです