「2スト2気筒250cc」と「4スト4気筒400cc」。両エンジンの重さの違いに愕然した筆者の経験談

屋外でレストアやカスタムを行う場合、バイクを直立できる壁やネットがあれば便利。

自分1人で。しかも専用ガレージ内ではなく、自宅の庭・近隣に借りた駐車場・集合住宅の空きスペースなどで大掛かりなバイクの整備やレストア、オーバーホールはできるのか? 作業はどのくらい困難でタイヘンなものなのだろう? 

筆者の経験から言えば、たとえスペースに限りのある都市部であっても、車種によっては決して不可能ではない。繰り返すが“車種によっては”という条件付きだが。

空前のバイクブームに沸いていた筆者の高校時代。小学校・中学校の同級生だった近所に住むA(長身で体育会系の男子/国立大学の理工学部を卒業後、現在は電子機器メーカーの開発部長)は、当時住んでいた団地の空きスペースを有効活用し、解体屋から激安で入手した(本人談)ヤマハRZ250Rのエンジンをフレームから降ろすなど、独力でせっせと限りなくレストアに近いオーバーホールに励んでいた。

ヤマハRZ250Rの外観・足周り・エンジンをそこそこマトモな状態にしたAは、RZ250Rをバイクショップに売却(売却前はこのRZ250RにAも筆者も時々乗車していたが、セッティングも完璧で物凄い加速力だった)。今度は先輩から走行距離1.8万kmのホンダCBX400Fを格安で購入(この時点でAは数万円の儲けをゲット)。

上記RZ250R以外でも趣味と実益を兼ねた小遣い稼ぎをしていたAは、早速お得意のエンジンのオーバーホールに着手。しかしAは一人でフレームからエンジンが降ろせなかったらしく、「頼むから助けてくれ〜〜」と電話で筆者に泣きついてきた。

水冷2ストローク並列2気筒247ccエンジンを搭載したヤマハRZ250R。
空冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ399ccエンジンを搭載したホンダCBX400F。両車のエンジンサイズの違いは一目瞭然。

何とか2人でクソ重い「金属のカタマリ」のような空冷4ストDOHC 16バルブ4気筒エンジンは降ろした後、Aは工具でシリンダーヘッドカバーを取り外し、次にシリンダーヘッドから2本のクランクシャフトを切り離そうとした。

しかし間もなく「う~ん……4スト4気筒のエンジンは複雑過ぎてよく分からん。とりあえず勉強が必要だな。よし! 今日は元に戻すぞ」と何度もうなずきながら筆者の顔を一瞥後(筆者への同調圧力あり)、分解した部品を驚くほど素早く元通りに組み付けた。

その場からトンズラするタイミングを逃した筆者は、Aと二人で再度クソ重いCBX400Fの空冷4ストDOHC 16バルブ4気筒エンジンを抱えるはめに。

しかしここで問題が発生。何度トライしても、フレームにエンジンを固定するシャフトが上手く挿入できない。2時間ほど奮闘後、Aは近所に住む知人Bを電話で呼び出し。野郎3人でやっとこさエンジンのフレーム搭載は完了した。

その日の帰宅後の疲労感も凄かったが、筆者は翌朝、これまで経験したことのない、しばらくベッドから起き上がれないほどの全身の筋肉痛と腰痛に見舞われた。

ともに困難を乗り越えたAやBとの友情が深まったのとは裏腹に、「こんなこと、二度とやらされてたまるか」と思ったほろ苦い青春時代が懐かしい。

1人で、しかも屋外でレストアする難易度は?

あれから10年後、筆者はモトチャンプ編集部に配属され、56歳になる現在までモンキーやゴリラの4MINIカスタムを楽しむとともに、様々なミニバイクやスクーターに触れる機会を得てきた。

これまでの筆者の経験から、1人で、しかも自宅の庭・駐車場・空き地などでバイクのレストアやオーバーホールなど、大掛かりな作業を実施する難易度は、

クラス(排気量)難易度作業可能な目安
50cc〜125ccクラス70kgを腰まで持ち上げる筋力があれば作業はスムーズ
2スト250ccクラス☆☆100kgを腰まで持ち上げる筋力が必要だと推測
4スト400ccクラス✩✩✩✩✩200kgを腰まで持ち上げる筋力が必要だと推測
※注:筆者の経験に基づくものです

筆者の経験上、たった1人で、しかも雨・風・雪・太陽・紫外線・暑さ・寒さから守られる、しかも油圧ジャッキ等をスタンバイしたガレージ以外でのバイクのレストアやオーバーホールは、基本的にコンパクトで軽量な50cc~125ccクラスに限られる。

具体的には、車体が自力で持ち上げられるくらいの重量。このクラスであれば、たとえ小さな敷地でも作業はできる。仮にホイールを外した状態で突然のゲリラ豪雨に見舞われても、“火事場のクソヂカラ”を出せば、車体を抱えての撤収と避難が可能だ。

ヘビーで車体の大きなバイクはちょっとした移動。また車体や降ろしたエンジンの持ち上げも大変。どんなに人間離れしたゴリラ並みのマッチョなチカラ自慢であっても、持ち上げ用の各種油圧機器がなければ、中型車以上の対応は困難だと思う。

モンキー50やスーパーカブ50などに搭載のホンダ縦型エンジン(12Vのキャブレター仕様)。
上記エンジンは小さな子供でも持ち上げ可能。写真は筆者の作業をよく見物しに来ていた近所に住む息子の友人・フクザワ君。ジャストミート!(※注:撮影当時は小学4年生。2026年5月現在は明治大学を卒業したばかりの社会人1年生)
上記のエンジンは16.2kgという重さ。
ミニバイクの整備やカスタムに便利な油圧ジャッキ。大掛かりな作業では非常に便利。

共用部で青空作業する時のルールとは?

自宅の庭やガレージ内での作業は、騒音や悪臭を出さなければ、基本的に世間的な縛りや近所からの苦情やお叱りがない。

筆者はこれまで、会社が借りている駐車場の隅のほう、サーキットの駐車場の一角、集合住宅の空いたスペース、マイカー用に借りている自宅近くの駐車場のクルマの隣。また雨天時は雨が凌げる人気のないマンションの通路など、あらゆる“すき間”を利用し、ミニバイクのカスタム・メンテナンス・オーバーホール・レストアを遂行してきた。

屋根のない場所での青空作業で必須なのが、天気予報の事前確認。雨予報時の作業は避けたいところ。作業中にもしも「天気が怪しい」と感じたら、瞬時にスマホアプリで雨雲の動きをチェック。しかも頻繁にだ。

作業途中での突然の雨は、組み付けパーツや工具のサビの原因につながる(雨はサビの原因となる酸を多量に含んでいるため)。雨の降る可能性の高い場合は、必ずバイクカバーや雨除け用のビニールシートなどを用意しておきたい。

青空作業する上では、周囲の皆様の邪魔にならないことはもちろん、地面にオイル等を零して汚さないことが常識。「こんなところでバイクの整備なんかしやがって!」と思われぬよう、できるだけ目立たないこと。しかも飛ぶ鳥跡を濁さぬがごとく「気が付いたらいなくなっていた」という按配で、一刻も早い撤収を心掛けたい。

朝から晩までダラダラと作業せずに、前もってある程度の作業時間を決めておく。車両は小さくて目立たぬほうがいい。これが都市部におけるバイクの青空作業のセオリーであり、鉄則だと筆者は考える。

油圧ジャッキを使い、ゴリラのエンジンを降ろし中。筆者はこの状況で突然のゲリラ豪雨に遭遇した経験もあり。

レストアに使う「工具」について

徐々に増えていった筆者の工具箱の中にある工具。
ホームセンターで購入したソケットレンチセット。

レストアやオーバーホールの途中で挫折し、「めんどくさいから、やっぱりやーめた」となる可能性も十分あるので、一度に工具を買い揃える必要はないだろう。

筆者の場合、まずはプラス&マイナスドライバー、メガネレンチのセット、ソケットレンチのセットなど基本ツールを揃え、小さなマイナスドライバー、大きなモンキーレンチ……等々、必要に応じて買い足していった。

バイクビギナーの場合。バイクに対して知識のないまま、いきなり「工具を一式揃える」というよりも、カスタムを楽しみながら、徐々にバイクのメカニズムを覚え、結果的に工具が増えていく。という流れが理想的かも。

筆者が所有する工具箱。購入時はソケットレンチセットとメガネレンチセットも付属。しかし真ん中のスペースには何もなかった。
買い足し、買い足しを繰り返した工具類+α。屋外で作業する場合、一度で運べるのがポイント。
片手で持ち運べる工具箱。素材はスチール製で非常に頑丈。
写真は「サンダー(ディスクグラインダー)」という機器でマフラーのサビを除去中。レストアはもちろん、パーツの流用装着などにも活躍する便利なツール。
クルマのジャッキアップを利用したバイク用タイヤのビード落とし。青空バイクいじりを敢行してきた筆者ならではの手法。 ※注:あくまでも緊急時の使い方。不安定な状況となり、正しい使い方ではないため編集部ではおすすめしません。

レストアする「車種」を絞り込むのも大事!

格安車両を入手し、レストアやオーバーホールする場合。社外のエンジン用アフターパーツが豊富に揃っているモデルの選択をオススメしたい。

足周りパーツは他車用を流用する等々、工夫すれば何とかなる。しかし“動力の要”となるエンジンパーツは、他車用の流用が困難、もしくは不可能な場合が多く、こうなればパーツを自作、もしくはワオオフで制作してもらうほかに手立てはない。

バイクは古ければ古いほど、純正パーツが欠品(生産終了)となり入手が困難。もしも入手不可の場合、専門業者をリサーチし、特注のワンオフパーツを製作してもらうのが定番。ただし量産品に比べ、一般的に特注品の価格はかなり高額だ。

ホンダ横型エンジン(12Vのキャブレター仕様)を分解中。

筆者がおススメするは、ホンダのカブ&モンキー系の横型エンジン搭載車。車種はスーパーカブ、リトルカブ、モンキー、ゴリラ、ダックス、シャリィ、ベンリィ等々。

電装系は低年式の6Vではなく12V(安定した電力を供給する。ポイントのメンテナンスが不要。ヘッドライトが明るい。ウインカー球が切れにくいなどの長所あり)。またFI(フューエルインジェクション)ではなく、タマ数が多くて構造も簡単なキャブレター仕様の選択をオススメ。

ホンダDio-ZX(2ストエンジン+キャブレター仕様)の駆動系を分解中。

スクーターの場合、2ストエンジン+キャブレター仕様のホンダDio系やヤマハJOG系の原付モデルも中古車のタマ数が多く、格安者も多数。また安価な社外パーツも入手しやすい等々、レストアやオーバーホールしやすい環境にある。

できるだけ安価にレストアやオーバーホールしたい場合は、

・純正パーツは入手可能か
・純正パーツの入手が困難な場合、社外パーツは入手しやすいか
・代替パーツは何を使用するか

を事前にチェックしておくのがベターだ。

レストアやオーバーホールに超おすすめ! ホンダ横型50ccエンジンの特徴

ホンダ横型エンジン搭載車の種類長所①長所②長所➂短所:A短所:B
6V車(キャブレター採用)素人でもオーバーホールやレストアしやすいシンプルな構造社外パーツが豊富電力の供給が不安定/ポイントのメンテナンスが必要/ヘッドライトが暗い/ウインカー球が切れやすい
12V車(キャブレター採用)素人でもオーバーホールやレストアしやすいシンプルな構造社外パーツが豊富安定した電力を供給する/発電機がメンテナンスフリー/ヘッドライトが明るい/ウインカー球が切れにくい
FI車(フューエルインジェクション採用)吸気系はコンピューター制御のFI(フューエルインジェクション)を採用キャブレター採用の6V車や12V車に比べ、構造が複雑社外パーツが少ない

筆者が「これは買いかも!」と思った格安車

ホンダ シャリィ 12V&キャブレター仕様

見た目通り保管状態は良好な個体。支払総額の内訳は本体価格12万円+納車整備2.万円+販売証明3000円+自賠責保険1年6910円。保証は1ヶ月または1000km付き。21項目の詳細な点検整備記録簿を付けて納車。

車両価格が12万円ながら、大掛かりなレストアの必要がない、かなり程度が良いと思われる12V&キャブレター仕様のシャリィ。自分でメンテナンスやオーバーホールができれば一生付き合えるであろう一台。社外パーツを使い、エンジンや足周りのカスタムを楽しむのも良し!

12V&キャブレター仕様のホンダ横型エンジン。コツさえ掴めば意外と簡単に分解OK。

ホンダ スーパーカブ50 12V&キャブレター仕様の最終型

12V&キャブレター仕様のスーパーカブ50の中ではもっとも高年式となる、FI(フューエルインジェクション)に変更される前のモデル。

12V&キャブレター仕様のホンダ横型用エンジンパーツを使い、88ccにボアアップして原付二種に変更し、街乗りしやすくするのもおすすめ。自分でメンテナンスやオーバーホールができれば一生付き合えるであろう一台。

12V&キャブレター仕様のホンダ横型エンジン。写真はジェネレーター(発電機)を分解中。

ホンダ ライブDio 2スト&キャブレター仕様の「AF35」

ホンダの超ロングセラー原付スクーター「Dio」シリーズ。写真は2ストロークエンジンのシリンダーをフロントタイヤ方向にレイアウトし、シート下収納スペースの容積をアップし、フロントディスクブレーキを装備した1997年式の「AF35」。

写真の個体は仕入検品時、キック始動確認済み。キズ&サビありの現状販売車両(ショップでの整備無し/整備保証付きは+2万円)。総額の内訳は本体価格4万9800円+販売証明3000円+自賠責保険1年6910円。

AF34/35用の社外エンジンパーツ(ネットショップで各種ラインナップ)を使い、ボアアップして原付二種に変更し、街乗りしやすくするのもおすすめ。自分で駆動系のメンテナンスやオーバーホールができれば一生付き合えるはず。

ホンダ ライブDio-ZX(AF25)のプーリーを分解したところ。中にセットされたウエイトローラーを社外品に交換すれば乗り味もチェンジする。

※注:記事中の個体はすべて2026年5月6日現在のものです記事内で紹介した車両は品質を必ずしも保証する物ではありません。