お便り サスペンションオイルって交換する必要あるの?

投稿者:群馬県/キューティー高山さん
チェンの回答

あるよ! しかも意外と大事なメンテナンスなんだ。

エンジンオイルは定期的に交換していても、サスペンションオイルは一度も交換したことがないというライダーは結構多い。でもサスペンションの中で働くオイルも、エンジンオイルと同じように劣化する消耗品なんだ。

ご存知の方も多いかもしれないけど、まずサスペンションオイルの役割から説明したい。サスペンションにはスプリング(バネ)が入っているんだけど、実はバネだけだと一度縮んだあとに何度もビヨンビヨンと振動してしまう。そこで必要になるのがオイルの抵抗を利用した「減衰力」だ。オイルが流れる抵抗によってバネの動きを適切に抑え、タイヤを路面に押し付け続けているんだ。ここで勘の良い人なら気づいたと同じ。そう、オイルの粘度(硬さ)も重要なんだよね。

もしオイルが無かったらどうなるか?段差を乗り越えたあとも車体が揺れ続け、コーナリング中もタイヤが安定して接地してくれない。乗り心地が悪くなるだけでなく、安全性にも影響してしまう。サスペンションオイルは「乗り心地を良くするためのもの」ではなく、「タイヤを路面に押し付けるための重要な部品」だと考えたほうがいいね。

さらにサスペンションオイルは想像以上に過酷な環境で働いている。モトクロスのような激しい走行ではフロントフォーク内部のオイル温度が80℃以上、リヤショックでは100℃近くになることもある。しかも容量は数百cc程度しかなく、エンジンオイルに比べるとかなり少ない。つまり少ないオイルに大きな負担が集中しているわけだ。

そういえば昔、チェンが出場した真夏のレースでリヤショックの減衰力がほとんど効かなくなったことがあった。オイルを交換したら元に戻ったんだけど、その時のショックは素手で触れないくらい熱くなっていたんだ。やっぱり安定した性能を維持するには定期的な交換が必要なんだなと実感した出来事だったね。

交換が必要な理由はもう一つある。サスペンション内部にはブッシュやピストンロッドなど多くの摺動部品があり、使っているうちにわずかな摩耗が発生する。その金属粉や摩耗粉がオイルの中に蓄積していくんだ。特に新車時は部品の当たりがまだ出ていないため、比較的多くの金属粉が発生することもある。この金属粉が増えると、オイルの中に細かな研磨剤が混ざったような状態になる。すると今度は内部部品の摩耗をさらに進めてしまう悪循環が起きるんだ。チェン的には、できれば慣らし運転が終わったタイミングで一度フォークオイルを交換しておくと安心だと思う。

じゃあ実際どれくらいで交換するべきなのか。メーカーによって基準は違うけれど、街乗り中心なら2〜3年ごと、あるいは1万〜2万kmをひとつの目安にするといい。スポーツ走行や林道走行が多い人なら、もう少し短いサイクルで考えてもいいだろう。また、フロントフォークはオイル交換やオーバーホールが可能な車種が多いけれど、純正リヤショックには非分解式のものも少なくない。その場合はオイル交換ではなくショック本体の交換しかないかな。

サスペンションは見た目では劣化が分かりにくい。でも交換後は「こんなに動きが良かったの!?」と驚くことも多い。安定したハンドリングや乗り心地を維持したいなら、エンジンオイルだけじゃなくサスペンションオイルにも気を配ってあげよう。長く愛車に乗るためにも重要なメンテナンスだぞ!

まとめ

●安定した性能はもとより長く乗りたいなら定期的な交換は必須!

著者紹介 

チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2023年10月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】