お便り タイヤが太いとカッコいいけど性能的にはどうなの?

投稿者:埼玉県/FAT 亮太さん

チェンの回答

カスタムに関するお悩み、今回はなかなか熱い質問だね。内容が濃くなりそうなので、じっくり答えていこうと思う。実はチェンの愛車、カワサキ・Dトラッカー250もノーマルよりかなり太いサイズのタイヤを履いている。ただ、太いタイヤを履かせるのって意外と大変。Dトラッカー250もノーマルより約30mmワイド化しているんだけど、そのままではチェーンやスイングアームにタイヤが当たってしまう。だからチェーンラインを外側へオフセット(移動)したり、スイングアームをえぐり加工したり……なかなか気合いの入った仕様になっているのだ。

「そこまでしてなんで太くするの?」と言われたら、答えはシンプル。太い方がカッコいいに決まってる!……とはいえ、タイヤを太くするメリットやデメリットが気になるのも事実。

バイクはノーマル状態でも、メーカーが色々な要素を計算してバランス良く設計している。そこから大きくサイズ変更すると、当然バランスも変わってくる。単純にタイヤが太くなると重量も増えるし、転がり抵抗も増えるので、加速や燃費には不利になるケースがほとんど。ハンドリングが重く感じたり、倒し込みが少しダルくなることもあるね。それでもチェンはいいんです……だって太い方がカッコいいから!

チェンのバイクも太タイヤです! 加工跡も紹介

Dトラッカー250(チェンの愛車)のリヤタイヤ周辺。約30mm太いタイヤを履いているため、チェーンラインのオフセットはワンオフのスプロケットで対応。タイヤの右側はスイングアーム内面に当たるので、接触部分をカットしてクリアランスを作って、そのままだと強度が落ちるためプレートを溶接している。

太いタイヤ=高性能ではない!?

では、タイヤが太いと本当にグリップ力は上がるのか? 実はここ、かなり誤解されやすいポイントだったりする。

昔、学校で「摩擦力=垂直抗力×摩擦係数」って習った気がしない? この公式だけで考えると、接地面積の広さは出てこないから、「タイヤが太くても細くても関係ないんじゃない?」と思えてしまう。ただ、実際のタイヤはそんなに単純じゃない。分かりやすく言うなら、“消しゴム”をイメージしてほしい。消しゴムの角で文字を消すと、小さい力でもスルスル滑りながら削れていくよね。でも面でグッと押し付けると、消しゴムは紙にしっかり食いついて滑りにくくなる。無理に動かそうとすると紙がヨレるくらいだ。タイヤもそれに近くて、大きなパワーや強い横方向の力を受け止めるには、ある程度の太さが必要になる。特にコーナリング中は、タイヤには横方向へ滑ろうとする力が強く掛かるし、コーナー立ち上がりではアクセルを開けるので、リヤタイヤへの負担も大きくなる。つまり、ハイパワーなビッグバイクほどリヤタイヤが太いのにはちゃんと理由があるというワケだ。

ただし、それ以上に極端なサイズアップをすると話は別。重さや抵抗が増えてしまい、性能面では逆効果になるケースも。だから、“太い=無条件で高性能”というワケではないんだよね。とはいえ、カスタムの世界は理論だけじゃない。見た目の迫力や「このスタイルが好き!」っていう気持ちも超大事。「履きたいタイヤが太いサイズしかなかった」なんて場合もあるよね。

チェンの結論?太い方がカッコいいに決まってる! 違法改造はご法度だけれど、カスタムの世界って自由と自己責任の世界だと思うんだよね。あまり細かいことは気にしないでカスタムを楽しもうぜ(笑)。

接触面積少

消しゴムの角で当てると、小さい力でもスルッと滑りやすい。接地面積が小さい状態のイメージだ。

接触面積大

面で押し付けると紙にしっかり食いつき、簡単には滑らなくなる。タイヤのグリップもこれに近い。

コーナリング時のイメージ

コーナリング中はタイヤに横方向の力が掛かるため、接地面積が広いほど大きな負荷を受け止めやすい。

加減速時のイメージ

加速や減速ではタイヤを路面へ押し付ける方向に荷重が掛かるため、比較的グリップを確保しやすい。

まとめ

●太い方がカッコいいに決まってる!
●細かいことは気にしない!

著者紹介 

チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。



※この記事は月刊モトチャンプ2023年8月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】