Bacalar
最もマリナーらしい「コーチビルド」

1959年に合併して以来、ベントレーのビスポーク部門として様々な要望に応じたフルオーダーのモデルを作り続けてきたマリナーは、2020年に新拠点をクルー本社内に新設するとともに、熟練のデザイナー、職人の手で特別に作られるワンオフ、フューオフモデルを製造する「コーチビルド」。1929年型4 1/2リッター・ブロワーのコンティニュエーションをはじめ、貴重な過去作品の復刻、保存、技術の伝承を行う「クラシック」。そしてベンテイガ・アトリエ・エディションなど、レギュラー・モデルのラグジュアリー性をさらに高めた特別仕様やオプションを提供する「コレクション」という3本柱へと体制を変更した。
その中のひとつであり、最もマリナーらしい「コーチビルド」を象徴する1台として2020年に発表されたのが「バカラル」である。
完全2シーターバルケッタ

わずか12台の限定生産となるバカラルのベースになったのは、「コンチネンタルGTスピード」ではあるのだが、往年のバルケッタスポーツカーを想起させるリヤのテーパーカウルをもつ幌をもたない完全2シーターバルケッタボディは、マリナーのデザインチームによるもの。
キーレスエントリーシステムを使用するため、ドアハンドルのみコンチネンタルGTと共用しているものの、軽量アルミニウムが使用されたリヤ・クラムシェルとトップデッキ、カーボンファイバーが使用されたドア、フェンダーパネルなど、ほぼすべての部分がバカラルのためにデザインされた専用品となっている。
また最高出力659PS、最大トルク900Nmへとファインチューンされた6.0リッターW12 TSIエンジンを搭載するにあたり、リヤトレッドをコンチネンタルGT比で20mm拡大。ホイールも深みのある曲線が印象的な専用の22インチトライフィニッシュホイールが奢られている。
もちろん駆動方式は4WDで、前輪と後輪のトルク配分を可変制御するアクティブ全輪駆動システムを採用。通常走行時、可能な限り後輪駆動を優先し、路面状況や走行状況によって前輪にトルクを配分することで、よりダイナミックでスポーティーなドライバビリティを実現している。
拘りとクラフツマンシップが詰まったディテール

インテリアもバカラル専用にデザインされたもので、急角度のセンターコンソールからダッシュボード、ドアパネル、そして半密閉式のラゲッジルームへと流れるように続く、バルケッタスタイルを強調するラップアラウンド・デザインを採用している。またこのラゲッジスペース専用に140年近い歴史を誇るイタリアの高級レザーメーカー、スケドーニ製のトラベルケースが備わるのも、バカラルの特徴といえる。
またアルカンターラのインサートがあしらわれた専用のDスタイル(ボトムフラット)ステアリング、ローレット加工施されたステアリングホイールコントロール、メディアコントロール、クライメートコントロール、スピーカーグリル、「トーン・オン・トーン」と呼ばれる配色のセミグロスレザーと天然ウールが丁寧に縫い合わされたレザーなど、それ以外の部分にもマリナーならではの拘りとクラフツマンシップが詰まったディテールが散見される。
マリナーならではのビスポークモデル

もうひとつ、バカラルの特徴といえるのが、次なる100年を占うコンセプトモデルとして発表された「EXP100」で披露されたサステナブル技術の具現だ。
例えばボディの深みのあるメタリックペイントは、もみ殻の灰を原料に使用した籾殻灰塗料を使用。またインテリアにも英国産のウールのほか、ウッドパネルにはイングランドのイーストアングリア地方フェンランドで発見された1000年以上前の倒木「リバーウッド」が使用されている。
このようにバカラルは、長年経験と技術を磨いてきたマリナーならではの「真のビスポーク」が息づいているとともに、ベントレーが描いている「これからの高級車、スポーツカー像」も反映されているのである。

