連載
今日は何の日?■レガシィ・ツーリングワゴンに対抗したアベニール

1990年(平成2)年5月11日、日産自動車は「スカイライン」や「ブルバード」のワゴンの後継となるステーションワゴン「アベニール」を発売した。スバル「レガシィ・ツーリングワゴン」に対抗したモデルだが、スポーティさよりも実用性や快適性を重視したワゴンだった。
ステーションワゴンブームを巻き起こしたレガシィ

1989年2月にデビューしたスバル「レガシィ」は、スバル伝統のシンメトリカルAWD(水平対向エンジン+4WD)を搭載し、4ドアセダンとツーリングワゴンが用意された。特にツーリングワゴンは、人も荷物も積めるスタイリッシュでスポーティな4WDのステーションワゴンとして大ヒットした。

搭載された水平対向4気筒エンジンは、最高出力110ps/15.2kgmを発揮する1.8L SOHC(EJ18)、150ps/17.5kgmの2.0L DOHC(EJ20)、220ps/27.5kgmの2.0L DOHCターボ(EJ20-T)の3機種を用意。トランスミッションは、4速ATおよび5速MTが設定された。

当時、RVブームが起こっていたこともあり、キャンプやサマー&ウインタースポーツの足として若者から絶大な支持を受けた。特に同年10月に追加された、扱いやすさと走りを両立させた200ps/26.5kgmの2.0Lターボを搭載した「ツーリングワゴンGT」は、レガシィ・ツーリングワゴン人気を不動にした。
これにより、他社からも続々とステーションワゴンが登場し、日本市場に空前のワゴンブームが到来することになった。
レガシィ・ツーリングワゴンに対抗したアベニール

レガシィの後を追うように、日産は翌2000年5月のこの日に「アベニール」を発売した。“スポーツカーの次ぎに来るもの”というキャッチコピーで、新たなジャンルのクルマであることを強調した。


スタイリングは、なだらかな背の高い実用性を重視したデザインで、精悍なフロントマスクやリアビューを特徴とし、室内空間については、余裕のヘッドスペースとショルダールームが確保され快適性を追求。さらに荷室については、リアサスペンション機構の工夫によってフラットな荷室フロアとし、最大限の荷室空間が実現された。
パワートレーンは、最高出力140ps/最大トルク18.2kgmの2.0L 直4 DOHC、110ps/15.3kgmの1.8L 直4 DOHCの2種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は当初FFのみだったが、半年後に2.0Lエンジンにフルタイム4WD(アテーサ)が採用された。


車両価格は、124.7万~182.0万円(1.8L車)/193.7万~202.0万円(2.0L車)に設定。当時の大卒初任給は17万円程度(現在は約23万円)だったので、現在の価値では約169万~246万円/262万~273万円に相当する。

アベニールは、レガシィ・ツーリングワゴンの対抗馬にはならなかったが、まずまずの人気で滑り出した。
ワゴンブームが過熱してカルディナなど各社からライバル登場

好調に滑り出したアベニールも1992年11月にトヨタ「カルディナ」が登場すると、一気に人気は減速。カルディナは、コロナをベースにしたラウンディッシュな面で構成された伸びやかなフォルムのお洒落で扱いやすいツーリングワゴンだった。
パワートレーンは、125ps/16.5kgmの1.8L、135ps/18.5kgmの2.0L 直4 DOHCエンジン、73ps/13.5kgmの2.0L 直4ディーゼルの3種と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意された。走りと実用性をうまくバランスさせたカルディナは人気モデルとなったが、それでも絶好調のレガシィ・ツーリングワゴンの人気には及ばなかった。
【各ステーションワゴンの居住性/荷室長比較チェック】





アベニールも負けじと、実用性重視からスポーティワゴンへのイメージチェンジを図り、1995年8月にボリューム感のあるスタイリングに変更して200ps/28.0kgmの2.0L 直4 DOHCターボを搭載した「GTターボ」をラインアップに追加、同時に車名も「アベニール・サリュー」と変更した。これによって一時人気を挽回したが、それでもレガシィとカルディナには及ばなかった。


この他にも、1990年代には他社からも続々とステーションワゴンが登場した。ホンダからは「アコードワゴン(1991年4月~)」、三菱「レグナム(1996年8月~)」、マツダ「アテンザ・スポーツワゴン(2002年5月~)」など。また日産からは、タイプは異なるが「ウイングロード(1996年5月)」、「ステージア(1996年10月~)」も追加された。

ステーションワゴンブームの勢いでそれぞれ人気を獲得したが、結局のところレガシィ・ツーリングワゴンの牙城を崩すクルマが現れることはなかった。
・・・・・・・
アベニールはレガシィ・ツーリングワゴンとの差別化を図ろうとしたのか、スポーティさよりも快適性や扱いやすさを重視した。途中から実用ワゴンからスポーティワゴンへと舵を切ったが、“時すでに遅し“でレガシィ・ツーリングワゴンには対抗できなかった。アベニールは1998年8月に2代目にモデルチェンジしたが、2005年10月に生産を終えた。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。






