最大航続距離は約700kmを達成。実航続距離も500kmを超える実力の持ち主

3代目になった日産リーフ(2025年発表)に乗った。2代目(2017年)は初代(2010年)の流れを受け継ぐデザインだったが、3代目は一新されて格段に先進的になった。電気自動車(BEV)かそうでないかに関係なく、カッコイイデザインだと個人的には思う。いや、BEVらしいポイントもあり、ルーフからリヤデッキにかけて17度のアングルを付けることが空力的に最善なのだという。空気抵抗を減らすことが航続距離の伸長につながるからだ。新型リーフは17度のアングルを守りながらパッケージングとスタイリングを組み立てたことになる。

ハッチバックだった従来モデルに対して、3代目となる新型はクロスオーバースタイルに大変貌を遂げた。

全長は4360mmで、先代より120mm短くなっている。欧州から全長を4400mm以内に収めるよう要望があった(縦列駐車のしやすさの観点から?)そうで、これに応えた格好。新世代のコンパクトな電動パワートレーン(モーター+インバーター+減速機)を採用することで、フロントオーバーハングを中心に寸法を削っている。

なだらかに下降するリヤウインドウの角度は、空気抵抗の低減を徹底的に追求した結果、17度に決定された。

空力とパッケージングを両立した室内空間

外形寸法は削っているし、ルーフ〜リヤデッキは空力を優先した形状になっているが、室内空間は犠牲にしていない。広々としているとまでは言わないまでも、4360mmの全長を考えれば妥当だ。とくに前席足もとの広々とした空間は見ものである。HVAC(空調ユニット)をモータールーム側に搭載することで実現した。

開放感のあるフラットなデザインが特徴のインパネ。従来は室内に張り出していた空調ユニットをモータールーム側に配置することで、足元は広々。それを強調するためにセンターコンソールの高さを抑えて、視覚的にも広々とした空間を演出する。

試乗車はメーカーオプションの調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)が付いていた(オーバーヘッドコンソールなどとセットで22万5500円)。シェードをなくすことで頭上空間にゆとりが生まれるし、液晶を利用したシェードからは障子や磨りガラス越しに明かりが降り注ぐようでやわらかく、茶室にでもいるような安らぎを覚える。

日産初採用の調光パノラミックガラスルーフは、赤外線を反射する特殊ガラスを採用しており、従来のガラスルーフと比較し、室内温度上昇を大幅に抑制する。
こちらが調光機能によって透過度を変更した状態。厚みのあるシェードを格納するスペースが不要なので、室内高を確保しやすいメリットがある。

1550mmの全高は国内の機械式立体駐車場の要件をクリアすべく守った数字だ。全幅は1810mmである。外から眺めて実際の寸法以上に大きく感じたのは、試乗車のボディカラーがホワイト(プリズムホワイト/スーパーブラック 2トーン)だったせいかもしれない。運転席に座っても実寸より大きめに感じ、細街路での取り回しに気を使ったのは、視界の作り方のせいだろうか。運転がより慎重になる(悪いことではない)と解釈すればいいだろうか。

先代リーフと仲良く充電中。見比べてみると、そのボディ形状の違いがよくわかる。

ラインアップは78kWhのバッテリー容量を持つB7系と、バッテリー容量55kWhのB5系に大別できる。B5はエントリーのS、ミッドのX、トップのGを用意。B7はミッドのXとトップのGというラインアップだ。B5の一充電走行距離は469〜521km、B7は685〜702kmである。プロパイロット2.0装着車は航続距離が8(B5)〜15(B7)km短くなる。

試乗車は最上級グレードのB7 Gでプロパイロット2.0装着車(プロパイロット2.0は40万9200円のオプション装備)だった。ミッドグレードのXに対し、アダプティブLEDヘッドランプや3Dホログラム付きのリヤコンビネーションランプが装備され、タイヤ&ホイールは1インチアップの19インチ。インテリアでは前席がパワーシートになり、BOSEのオーディオが付いて、回生ブレーキをコントロールするパドルが装備される。回生ブレーキパドルを使う派というか、BEVには付いていてほしいと願う派の筆者にとれば、Gを選択しろと言わんばかりの差別化と受け取れる。

ストレスのない走りと、隔世の感がある電費性能

さすがBEVの先駆者だけあり、ノウハウの蓄積と技術力に裏打ちされたモーターの制御は上手だ。最高出力は160kW(218ps)、最大トルクは355Nmである。車重は1920kgもあるが、走り出しの際も、巡航スピードに達するまでの加速も、高速道路の本線に流入する際も、軽々だ。発進時は唐突に力が出ることもなくスムーズ。力強い加速が欲しいときは力強く反応してくれる。その反応は唐突ではないし、遅れてイラッとすることもなく、ちょうどいい。だからストレスがないし、気持ちいい。

インバーター、モーター、減速機を一体化した3-in-1 パワートレイン。従来比で容量を10%削減しつつ、ユニットの高剛性化も実現。

それに、新型を開発するにあたってとくに気を使った部分でもあるようだが、シーンを問わず、静かである。コンクリートの壁に囲まれた地下室のような静けさではなく、ちょっとばかりざわざわとしたノイズがバックグラウンドにある静けさで、かえってリラックスできる。電動車にありがちな高周波のノイズは一切ない。Gグレードの特権で、減速側の車速がパドルでコントロールできるのはありがたい。

いっぽうで、e-Pedal Stepのボタンを押すとアクセルペダルの戻し側で減速できるようになる。パドルのないS、Xグレードではe-Pedal Stepを試してみるといいだろう。車庫入れなどのシーンでの使いやすさを重視し、完全停止はせず、停止間際はクリープに移行する。

走りの気持ち良さは電動パワートレーンの巧みな制御に加え、シャシーの剛性感の高さ、減衰の良さに負うところが大きいのだろう。スッキリしているし、シャキっとしている。操舵に対する応答は良く、大入力時のショックは角が丸められ、引っかかりもなくスムーズに、かつじんわりロールして過度に倒れこまず、定常走行時も加減速時も、大きな揺れも小さな揺れも少なくフラット感が高い。だから運転しやすいし、長時間の移動が疲れない。

フロントサスペンション:ストラット
リヤサスペンション:マルチリンク

4日間で386.2km走ったが、大容量バッテリーと電気エネルギーを上手に使う制御(と熱マネージメント)のおかげで、充電の心配をする必要はまったくなかった。平均電費は6.4km/kWhだった。計算上は満充電から残量が0%になるまで使って約500km走れる計算になる。出発した時点で充電のことを考える必要があった初代リーフ(バッテリー容量24kWh)の使い勝手を考えると、隔世の感がある。

充電性能を確かめたくて残量が47%の時点でサービスエリアに寄り、最大出力90kWの性能を持つ急速充電器で充電した。30分の充電時間で充電量は32.2kWhだった。バッテリー残量は85%まで回復した。200km超分は充電できたことになる。

新型日産リーフはよほどの長距離移動でない限り、「充電どうしよう」という不安とはおさらばできるBEVだ。先進的で、静かで、気持ち良くドライブできるクルマという印象である。

日産リーフ(B7 G) 主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4360×1810×1550(プロパイロット2.0装備車は1560)mm
ホイールベース:2690mm
室内長×室内幅×室内高:1970×1540×1160(ガラスルーフ装備車は1200)mm
車両重量:1920kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.3m
最低地上高:135mm

■パワートレーン
モーター種類:交流同期電動機
モーター定格出力:70kW
モーター最高出力:160kW/4400-11700rpm
モーター最大トルク:355Nm/0-4300rpm
総電力量:78kWh
総電圧:353V
一充電走行距離(WLTCモード):685km
交流電力量消費率(WLTCモード):133Wh/km

■シャシー系
サスペンション形式:Fストラット・Rマルチリンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:235/45R19

■価格
599万9400円