絶妙な車体サイズと最高出力16㎰の余裕で高速道路も安定

今から20年以上前、1999年に発売されたアヴェニス150は、125㏄並のコンパクトなボディに16㎰を発揮する水冷エンジンを搭載した軽二輪スクーターだ。

フラットフロアタイプのスクーターとは違って、足元にサブフレームを持つアンダーボーンシャーシは、フロントカウル内にバッテリーを配置するなど、前後重量配分を考慮。12インチホイールを採用して高い走行安定性を実現していた。

販売中はあまり見かけることはなかった印象だけれど、長時間の巡航でも疲れにくく、かつ街中の機動力も犠牲にしない絶妙な大きさが便利だった。筆者の愛車の一台でもある。

ヴェニス150こそ、今旬のホンダPCX、ヤマハNMAXに代表される「150㏄スクーター」というジャンルを日本国内に指し示した始原のスクーターだと考えている。


150㏄クラスは、街中での高い機動力のほか「いざとなったら高速道路に乗れる」という、125㏄にない頼もしさが大きな魅力だ。これには、排気量を活かした余裕のあるパワーと、コンパクトながら高い走行安定性を持つシャーシが必要なのだが、アヴェニス150以前の150ccクラスのスクーターはその部分が弱かった。

アヴェニスの先代モデルといえばこちら。

1994年10月に発売した「ヴェクスター150」

専用新設計の150cc空冷4サイクル単気筒エンジンを搭載し最高出力は13ps。低速から高速まで安定した力強いパワーを発揮し、経済性にも優れていた。フラットフロアと前後10インチホイールという構成。

ビッグスクーターと二種スクの狭間で見えなかった独自の魅力

アヴェニス150の先代モデルにあたる「ヴェクスター150」は、10インチホイール&コンパクトな150㏄クラススクーターだった。前後10インチホイールを採用しているため街中での機敏さはピカイチ。しかし逆を言うと「125㏄に少しパワーを付加した」モデルという印象で、体重85㎏の筆者では、オーナー時代に高速道路左車線を80㎞/h+αで巡航するのがちょうど良く、長い上り坂では左車線を走行する大型トレーラーのプレッシャーに耐える強いハートが要求される(笑)。

対してアヴェニス150は、しっかりとした足周りと水冷エンジンのおかげで、高速道路の走行車線を安定して100km/h巡航が可能だった。その気になれば120km/h付近までメーターを持っていくこともでき、不安を感じることはなかった。

街中では絶妙に小回りが利く12インチホイールが好印象。見た目と裏腹に乗車姿勢には余裕あり。長時間走行でも尻が痛くなりにくかった。走りに関しては街中、高速とも不満のないマシンであった。シート下収納スペースにはフルフェイスヘルメットを入るスペースがあり実用性も高いのである。筆者はヘルメットをフック掛けとし、シート下にはレインウェアとウエス、グローブなどを入れていた。

現代の150㏄スクーターと比べてもそん色ない高いポテンシャルを持ちながら市場においてあまり支持されなかった理由のひとつに、時代のトレンドが挙げられるだろう。

アヴェニス150発売当時、250㏄クラスはビッグスクーター全盛期。しかもその下にはパワフルでモディファイも楽しい、2スト50㏄スクーターや、グランドアクシスやBWS100などの100㏄クラスの二種スクがあった。つまり、4ストの150㏄が注目される土壌がそこまで成長していなかったのだ。


アヴェニス販売から13年後の2012年。PCX150が登場し、150㏄クラスが一気に注目されることになるのはご存知のとおり。街中での利便性と高速走行の信頼性を両立した、先見あるアヴェニス150の中古価格は今まさに底値。エンジンが掛からないモノは敬遠したほうがいいものの、パフォーマンスを考えればコスパに優れた150㏄スクーターといえる。今一度この偉大な先駆者に光が当たることを切に望みたい。

1999年登場

スズキ

アヴェニス150

SPECIFICATIONS
■エンジン:
水冷4スト単気筒152㏄ 
■最高出力:16ps/9500rpm 
■車重:119㎏ 
■当時価格:39万9000円

著者紹介:佐藤大介  

ギョーカイ歴も長くマニアックな小排気量車が大好物。通勤はTMAX、週末のツーリングはヴェクスター150という、間違った? 使い方も得意だ。

※この記事は月刊モトチャンプ2022年12月号を基に加筆修正を行っています