コンプレッション低下が緊急事態の引き金?

ベース車としてSA22Cが主流の頃から、RSパンテーラの佐藤基樹代表はロータリーエンジンと向き合っている。プラグにガソリンがカブって濡れたときの儀式を、ずっとこなしてきている。

「プラグ交換は左前タイヤ外しから始まります」by RSパンテーラ 佐藤代表

つまりロータリーエンジン車に乗る以上、カブりはつきもの? 実際にRX-8の取り扱い説明書には『エンジンが掛からないときは』という項目があり、再始動の方法が記されている。明解な動画もwebに存在する。軽度なカブりから抜け出すための、デチョークと呼ばれる操作である。

ここで取り上げるのは、デチョーク後もエンジンが目覚めないケースだ。もっとも新車の頃ではなく、いまとなっては、そうなる理由がある。

同社の話では距離を乗った、中でも前期型はローターなどにカーボンが堆積している例が多い。シール類の摩耗も含め、こうした原因からエンジンのコンプレッション(圧縮圧力)が低下すると、純正ECUの制御も絡み、冷間時や始動時にプラグがカブりやすくなるという。

では、具体的なカブり対処法だ。エンジンから点火プラグを取る。クランク角センサーのカプラーを抜いてクランキングし、内部に溜まったガソリンをプラグホールから外部へ飛ばす。これがキモだ。

それから新品もしくはキレイにしたプラグを装着。外したパーツをもとどおりにする。詳細は手順を参照いただくとして、作業は時間が掛かる。安全面の確保も重要だ。だからRX-8と長くつき合うには、プロによる定期的な点検と、状況により、エンジンのオーバーホールが必要だ。

これからRX-8を所有したいという人には、RSパンテーラの中古車がオススメ。エンジンのリフレッシュを施したクルマが並ぶ。必要となるアドバイスを受けながら、RX-8でのカーライフを満喫できる。

プラグ交換の手順とクランキングの儀式

作業はリフトを使用するか、平坦かつ安全な場所で車体をリジッドラックに載せる必要がある。交換に用意した工具はラチェットハンドル、エクステンション(写真は合計約400㎜)、ユニバーサルジョイント、プラグソケット(21㎜)、クリップ剥がしなど。新品プラグもあると万全。


作業手順

①車両とエンジン付近が冷えたら、左前輪のタイヤを外す。初めにクリップで留まっているエンジンのサイドカバーを取る。

②フロントローター(左)、リアローター(右)のプラグにつながる計4本のプラグコードが現れる。このプラグコードはL側が青、T側が赤になる。

③プラグコードのキャップを抜く(若干、抜きにくい)。ラチェットレンチ、エクステンション、ユニバーサルジョイント、プラグソケットを組み合わせ、プラグを緩めて抜く。

④抜いた純正プラグ。左側の2本がトレーリング(RE9BT)、右の2本がリーディング(RE7CL)。

⑤⑥空いたプラグホールの前にウエスを置く。これでクランキング時のガソリンが飛ぶのを受ける。

⑦エンジン下部にあるクランク角センサーのカプラーを抜く。燃料系や点火系の信号が止まる。

⑧⑨アクセルを全開にして10秒~クランキングし、内部に溜まったガソリンをプラグホールから外部へ飛ばす。これがキモ。2回程度行う。3回以上やると、かなりバッテリーが弱るので注意。

終えたら逆の手順でもとに戻す。プラグは新品交換が理想。再使用ならキレイにする。気をつけるべきはプラグを斜めに挿入しないよう、初めは指で締める。きちんと入ったら本締めだ。そして、プラグコードはキャップをカチッと音がするまで端子に挿し込む。

プラグはLとT側の4本をチェック

プラグホール(車載時は左タイヤ側) 中央上の穴がT側、下がL側
吸排気側(車載時は右タイヤ側)

車載では右タイヤ側に吸排気ポート側(写真左)、左タイヤ側にプラグ側となる。プラグはひとつのローターハウジングに2本。1本は先行して混合気に火花を飛ばすリーディングL側。もう1本は追従し、残りの混合気に着火するトレーリングT側。ロータリーは回転するローターに燃焼室(リセス)があり、燃焼で火炎が行きわたるのに時間を要する。

ハイスピードセルモーターで勢いよくエンジンを回して始動する

始動時のカブり防止には、RSパンテーラのハイスピードセルモーターの導入も有効だ。純正より歯数が多く、コイルも大きい。

駆動する力が高回転かつ強く、始動時にローターが早く回り、エンジンの掛かりが促進される。スターターの回転スピードも重要なのだ。前期6速MT車用。FD3S RX-7やFC3S RX-7用もある。

始動時のエンジン制御にもカブリを引き起こす原因がある!?

RSパンテーラは前期のエンジン制御を調べ尽くし、辿り着いたのがECU内にセットされているパラメータのひとつ『始動時基本噴射量』。

ECUが検知した水温をもとに、始動時の基本噴射量を決定するベース値だが、マイナス10℃から50℃付近まで噴射時間は一律で同じ。

どうやら数値はエンジンのコンプレッションが新車基準になっており、コンプレッションが下がると、そのために始動時の噴射量が濃くなって、エンジンの掛かりに影響するとみる。RSパンテーラは独自の対策を編み出した。

オーバーホールして大切に乗り続ける走行30万kmのカスタマーカー

2004年式(平成16年)のタイプS 6速MT車。オーナーは新車から乗り続けているという。

遠方から訪れ、すでにRSパンテーラで今回を含めエンジンは2度、オーバーホールとチューニングを受けている。スペックは同社のレネシスハイチューンで、オプションメニューにあるエキセントリックシャフトのラッピングなども加えている。

高回転まできっちり使え、最高出力226ps、最大トルク22.8㎏-mが目安の仕様である。同時に29万km超の走行に応じた、ハブまわりなどのリフレッシュも施した。

NOS噴射でNAロータリーの限界に挑戦 RSパンテーラ デモカーRX-8紹介

RSパンテーラのレネシスハイチューンに仕上げられた13B-MSP。NAロータリーエンジンの限界追求に、NOSを噴射。235㎰の最高出力に、NOSの噴射で35㎰の上乗せを見込む。アクセル全開での噴射タイミングの条件は、このあと詰められた。

NOSはウエット噴射。サクションパイプに備えたノズルで燃料とガスを混合させ、エンジン側に向けて噴く。ポピュラーな方法だ。純正のインマニは樹脂製なので、そこもアルミ鋳物のショートタイプに変更して強化。


■佐藤商会・RSパンテーラ TEL0544-58-4837 http://rspantera.com/