ジャガーは現在、量産ビジネスにも終止符を打ち、電気自動車によるラグジュアリーブランドへの台頭に備えている。
その第1弾として、次世代フルエレクトリックGT「タイプ00」を開発中だが、ジャガーの元デザインディレクターが、そのために開発中止となったスポーツカーとセダンを明らかにした。

4ドアGTセダンを軸としたジャガーの電気自動車への急激な転換は、大きな物議を醸しているが、この事実を知れば、ジャガーのEV戦略をさらに批判する人もいるかもしない。
ジャガーの代名詞と言えば、「XJ」サルーンだが、後継モデルが完成間近のわずか数ヶ月前に突然方針転換し、プロジェクトを中止したという。XJは、電気自動車として開発される予定だったが、プラットフォームは市場の需要があれば6気筒エンジンにも対応できる柔軟性を備えており、開発が進められていれば、まさにそのチャンスであったはずだ。

さらに驚くことに、ジャガーの元デザインディレクター、イアン・カラム氏は、2019年に同社を退社する前に、セダンの新型「XF」とSUVの「F-Pace」もデザインしていたことを明かしたが、どちらもType 00の開発のために開発中止となっている。しかし、おそらく最も痛ましい事実は、F-Typeの後継モデルも開発中だったということだろう。


F-Typeは、2013年に発売された2ドアクーペ/コンバーチブルで、ポルシェ911やメルセデスAMG GTと比較されることが多い、流麗な高級モデルだ。2024年に販売が終了し、2025年からピュアEVとして生まれ変わる予定だった。

カラム氏は、退社時点で第2世代F-Typeの開発がどの程度進んでいたかについては言及しなかったが、彼は、初代F-Typeを、ジャガーの戦略が転換する前の最後の偉大なジャガー車の1台だと考えている。流麗なフロントエンジン2ドアスポーツカーが市場から姿を消しつつある今、グランドツーリングEVのためにF-Typeを犠牲にするのは、受け入れがたい事実だったようだ。

同氏は、新型EV「タイプ00」について、「大胆で、勇敢で、優れたデザイン要素を数多く備えているが、美しいとは言えない。ジャガーは美しくなければならない」と語っているほか、タイプ00は「レトロすぎる」とも指摘している。

ジャガーはタイプ00でベントレーやロールス・ロイスの真のライバルとしての地位を確立しようとしており、量産を追求する姿勢を捨て、15万ユーロ(約2600万円)をはるかに超え、17万ユーロ(約3000万円)クラスのモデルを少量生産するブランドへと生まれ変わる。
タイプ00は、3基のモーターで、フロントに350馬力のユニット、リアに2基搭載され、合計出力は950ps。ジャガーは、少なくとも合計1,000ps、トルクは約1,600Nm以上を約束している。また、トップギアによると、これは時速0~100キロ(0-62マイル)加速が約3.3秒、最高速度が時速250キロ(155マイル)に制限され、航続距離が約692キロ(430マイル)に相当するという。

たしかに、優れたスペックを持つ、最先端のEVになると思われる。しかし、ジャガーブランドを愛していたオールドファンにとって、それが最大の魅力となるかは定かではないだろう。
新生ジャガー計画は成功するのか、その答えは数年後には判明するはずだ。