スポーツの上達だけにテーマの設定が重要

速く走りたい! そしてクルマをもっとコントロールできるようになりたい!! このようにドラテクを向上させたい人にはサーキットでの練習が効果的であり、スポーツドラビングの経験を積むとよいでしょう。

しかし、漫然とスポーツ走行を重ねるだけでなく、効果的にスキルを上げていきたいものです。今回はドラテクレベルをより引き上げる「サーキット練習の心得」を十カ条にしました。

ひとつひとつはスポーツの上達において当たり前の内容になりますが、どれかひとつは必ず役立つものがあるでしょう。

スキルアップのための心得 十カ条

心得 其の一『1走行につき1目標』

同時に複数の目標を掲げて練習するより、ひとつの目標に絞って練習したほうが上達につながりやすいです。

ここだけの話ですが、自身でも練習の際に目標を書いた紙を助手席に貼って、直線では見て思い出すようにしていました。

走行前の予習の段階では目標を定めていても、いざ走行を始めると走ることに夢中になって目標を見失いがちです。走行中でもつねに意識できように、何らかの工夫をするとよいでしょう。

心得 其の二『指南役を見つける』

ドライビングを指導してくれるアドバイザーを見つけるとよいでしょう。仲間内で上手い人にアドバイスをもらうのもよいと思います。

車載映像やデータロガーを駆使してアドバイスをもらえればなおよいです。自己流で速い走り方を見つけ出すのは困難ですし、回り道になります。

心得 其の三『面倒を見てくれるショップを見つける』

車両の調子がよいのか悪いのかを判断してくれるショップを見つけるとよいでしょう。

上手く走れない原因が、ドライビングなのかクルマのセッティングなのかを見極めてもらうためにも、走ることに造詣が深いショップがよいです。

心得 其の四『無理をしないで腹8分目にする』

限界界ギリギリを攻めてタイムを出すことだけがサーキット走行の上達法ではありません。

練習とはいえコースアウトやスピンなどを繰り返すと変な恐怖心を抱いたり、クルマを傷めるかもしれません。「攻め過ぎ」よりは「攻め足りない」ぐらいにしましょう。そのほうが冷静に操作と挙動の連携を判断しやすく、後の走行にフィードバックしやすくなります。

心得 其の五『怖くないところで頑張る』

松井孝允 スポーツドライビングの基礎固め 第3回 ブレーキング上達のファーストステップ

「サーキットを走ってみたい!」スポーツドライビングをこれから始めようと考えている入門者に向けたドラテク講座の「超」基礎編を、レーシングドライバー松井孝允がレクチャー。 その『おさらい』となる内容はタイムが伸び悩む中級者にも有効だ。自身の壁の突破にも役立てていただきたい。 Photos/高橋 学 Text/鈴木 博 本記事はレブスピード 2019年5月号からの抜粋です

高速コーナーやランオフエリアの少ないコーナーはリスクが高く、攻めてタイムアップするのは誰でも恐怖感があります。

『リスクが高いところで攻める=怖いことをする』のではなく、『スピンをしても危なくないコーナー』から攻めて、怖いコーナーは十分にマージンを残して走るつもりでよいでしょう。

雨の日やタイヤが冷えている状況でも同様です。あまりにコンディションが悪いときなどは、走行を中止して撤退する勇気も大切になってきます。

心得 其の六『譲り合いが大切』

お互い気持ちよく走行するために、周囲の状況をよく確認しましょう。後方から車両が近づいてきた際でも急激な進路変更などはせずに、スムーズに譲るとジェントルです。

しかし、譲るにもテクニックが必要です。コーナリングに入ってから周囲の状況を確認するのは難しいもの。直線を走っているときに意識的に後方を見るように注意しましょう。

また、前車にコーナーで追いついてしまう場合も、自身の走りに集中できません。いずれの場合も前後の間隔を開けて、クリアラップを取りにいく意識を持ちましょう。

心得 其の七『コース外から走り方を観察』

人の走りをコースサイドから見るのは有益です。

ブレーキングポイントやライン、クリッピングポイントでのクルマの向きやロール量、立ち上がりでの舵角、直線でのシフトポイントなど、自身と違うクルマでも参考になるポイントは多いはずです。

ときには仲間に自身の走りを撮影してもらい、速い人と比較するのもありです。

心得 其の八 『速い人を追い掛ける』

先導車ありの習熟走行や追い掛け走行からドライビングを盗むコツ レブスピードR会 ドラテクの「傾向と対策」

レブスピードのドラテク通信添削『R会』で受講者から送られてきた車載映像をチェックしていた梅田 剛講師。前車を追い掛ける走行では、「前車の目線」で走る意識が上達に必要という。 Text/梅田 剛 本記事はレブスピード 2021年9月号からの抜粋です。

速い人はどのラインを走っているのか? どこからハンドルを切り始めてロールが始まっているのか? どこで離されるのか? 後を追って研究するとよいでしょう。車載動画に写っていれば、離されるポイントで、速い人とどう異なるのか、比較できます。

心得 其の九『いろんなサーキットを走る』

ひとつのサーキットだけに特化せず、いくつかのサーキットを走るとドラテクの引き出しが増えます。あまりに同じサーキットを走り過ぎると、「このコーナーはどこからブレーキ」「どこからハンドルを切る」など慣れで運転しがちです。ある程度のコースへの慣れは必要ですが、凝り固まった運転にならないためにも複数のサーキットを走るとよいでしょう。

心得 其の十『ローグリップなタイヤやノーマルサスで走ってみる』

ハイグリップタイヤは限界が高いですが、滑ってからの挙動が速く神経質な性格も持ち合わせます。ローグリップなタイヤは滑り出す速度は低いものの、滑ってからのコントロールが易しいケースも多いです。

タイムこそ遅いですが、コントロール能力を磨くためにも、グリップがあまり高くないタイヤで走るのもよい練習になります。

また、軟らかいノーマルサスで走るのも、ロールやピッチングがわかりやすく挙動も大きく出るため、コントロールの練習によいこともあります。

スポーツカーであればメーカーがセッティングしたノーマルサスはサーキット走行にも十分に耐えるものですし、丁寧なドライビングが要求されることで練習にはうってつけです。


講師
梅田 剛

受講者のドラテクの改善点を指摘するとともに、次の走行に向けての練習テーマを添削に盛り込んでいる梅田講師。ただし、人間は一度に多くの課題を克服するのは難しいもの。そこで上達のための十カ条を伝授する。