コーナー手前から少しずつ舵角を入れるのは難問題?

サーキット初心者も上級者も陥りやすい『ハンドルの切り遅れ』とは? レブスピードR会 ドラテクの「傾向と対策」セレクション

レブスピードのドラテク通信添削R会に送られてくる車載映像には、大きな傾向がある それはハンドルの切り遅れが多く見受けられること。コーナーに入ってからステアリングを 切り始めるのは急ハンドルと同じだと梅田剛講師は指摘する Photo/奥隅圭之 Text/梅田 剛 本記事はレブスピード2020年9月号からの抜粋です

これまでの連載やR会の添削で、『コーナーの手前から少しずつハンドルを切ることでロールを開始させておき、クルマが曲がる姿勢の準備をしておくこと』が上達の秘訣だと伝えてきました。

ただし、受講者から「どうしても、コーナー手前のハンドル操作ができない」という質問をいただくこともあります。そこで、今回は「ハンドルを早くから切り始める」ためのQ&Aをお送りします。

Q.ハンドルを早めに切り始めると、イン側にコースアウトしてしまいそうです

A.切るタイミングが異なるのに、「切り方」が以前と同じだからです。「早めから切り始める」のは、急ハンドルを避けるためです。

程度の差はありますが、切り遅れている方は、コーナーに入ってから急激な舵角操作をしています。つまり、急ハンドルなのです。

早めに切り始めているのに、いままでと同じハンドルの切るスピード(急ハンドル)ですと、イン側に突進してしまいます。

この改善方法には、ハンドルの切り始めの初期の舵角操作をジワッとていねいに時間を掛けて行う必要があります。

逆にいえば、ジワッと切るために、早めから切り始める必要があるのです。少ない舵角でもロールを感じることが重要。舵角の量とスピードを、いままでとは変える意識を持ちましょう。

それでも、どうしても早めに切り始められません

原因をパターン別に考えてみました。

原因1:目線が近くてコーナーのRをきつく感じている

ブレーキング終了地点に目線が集中しており、コーナー進入直前でクリッピングポイント(CP)に移るパターンです。

それまで舵角操作はなく、ブレーキングのみ。そのコーナー直前の地点からではCPへの目線が近くて、コーナーがきつく感じてしまいます。 

目線の違いで、同じコーナーでもRの大きさが変わって見えます。コーナー手前から頭ごとCPに向けて見るとRが大きく感じ、CPまでに緩やかなカーブのイメージを描きやすいです。

そのため、ブレーキング中から頭の向きをCP方向に向ける習慣をつけましょう。目線はブレーキ終了地点に固定するのではなく、絶えず先に先に移動させていくことです。

原因2:急ハンドルの自覚がない

 挙動をロールやGの変化から感じる(身体で感じる)のではなく、目からの情報を主体にドライビングしている人に多い傾向です。

目からの情報に頼ると、荷重移動を感じ取ることが難しいため、急ハンドル自体に気がつきにくいのです。街乗りから身体で感じ取れるように意識して直していくことが重要です。

ヘアピンなどの低速コーナーで、切り始めから脱出まで舵角が一定となっている場合(CP以降にハンドルを戻せない場合)は、急ハンドルだったことが多いものです(1、2限目の特別補講をご参照ください)。

原因3:ブレーキング操作に余裕がない

 止めることに必死で、コーナーリングに意識を向けられないパターンです。スピードは直線のうちに完全に落としきる必要はなく、CPまでに落とすつもりでいると気持ちに余裕が出るかもしれません。

スピードの恐怖感が強い方は、通常よりも早いタイミングでブレーキを開始するとよいでしょう。また、そもそもブレーキ開始が遅れて、オーバースピードの場合も切り遅れ(急ハンドル)の原因となります。

他のスポーツでも事前にアクションを起こしている スキーの大回転をイメージしてみよう

原因4:シフトダウンに気が取られている

ハンドルを切り始めるタイミングとシフトダウンのタイミングが重なるケースはよくあります。

低回転まで落ちてからシフトダウンしている人は、単純にシフトダウンをもっと高回転(早いタイミングで)で行うだけで解決できることが多いものです。

車載カメラで、オーバーレブしない範囲の高回転域でシフトダウンできているか確認しましょう。また、シフトダウンしながらでも切り始められるとさらにタイムアップが期待できます。

原因5:ハンドルをゆっくり切ると曲がった感覚が薄いと感じる

 これは上級者向けです。いつ曲がり始めたかわからないようなスムーズな切り始め、つまり曲がった感覚が薄いと感じるのはよい傾向です。原因1の繰り返しになりますが、CPまでに曲げるイメージを持つとよいですね。

原因6:クルマがアンダーで、急ハンドル気味でないと曲がらない

ドリフト走行をするキッカケでは、あえて切り遅らせて急ハンドルを使います。同様にアンダー傾向で急な荷重移動を必要とするクルマでは、無意識のうちに切り遅らせていることがあります。 

アンダーステアと感じる場合は、試しにオーバーステア方向にセッティングを振ってみるとよいでしょう(リアタイヤの空気圧を極端に上げるなど)。

「成功体験する」ことができるようになるステップ

 何ごとも成功体験が上達のカギとなります。具体的なイメージが湧かないうちは、いくら考えても想像がつかない……、かもしれません。

逆に成功体験後は、早めにハンドルを切り始める操作は至って簡単なテクニックだとわかるでしょう。この成功体験をすると、以前の運転に違和感を感じるようになるはずです。 

この成功体験をするためには、「騙されたと思って実際にやってみる」ことです。まずは全開走行でなく、ゆっくりとしたペースで試してみましょう。全開走行で行う場合は、まずはいつもより早いタイミングでブレーキを開始して速度を抑えるとよいでしょう。 

始めのうちはタイムダウンするかもしれませんが、ここで重要なのはタイムを意識しないこと。慣れてきたら少しずつブレーキのタイミングを遅らせていきます。

早めにハンドルを切り始める=早めにブレーキリリース(ハンドルを切り始めるときはブレーキをリリースしますね)となることで進入速度が上がり、最終的にはタイムアップします。

さらに、成功体験には「客観的評価をしてみる」こと。自身が切り遅れているか確かめるため、車載映像を見返してみましょう。同じコース、同じようなクルマのプロの運転と比較するとわかりやすいでしょう。

お手本となる映像を繰り返し観て、切り始めのポイントの目星をつけておき、実際にやってみるのです。GPSによるデータロガーの比較も参考になります。


講師
梅田 剛

受講者のドラテクの改善点を指摘するとともに、次の走行に向けての練習テーマを添削に盛り込んでいる梅田講師。コーナー手前からハンドルを切れない受講者の傾向が、ハッキリ見えてきているという。


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