道路運送車両法では、「十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする」と記載。つまり、大人1名=子供1.5人分に相当する。たとえば『乗車定員=4名』の軽自動車の場合、大人2名の乗車ならば、子供3名乗れる計算となるわけだ。ではチャイルドシートは3つ必要となるのか? そのあたりも解説していく。 REPORT:北 秀昭(KITA Hideaki)

法律では「大人1名=12歳以下の子供1.5人分」に相当

近くのコンビニで買い物していた時のこと。7〜8人乗りと思われる1ボックスカーの中から、乗車定員を上回る、野球のユニフォームを着た小学校低学年と思われるチビッ子たちが、次々に下車。 これを見た人の中には、「おいおい、乗車定員以上の人を乗せてるな。それって違反だぞ!」と思った人もいるはず。 しかしこの場合。子供たちの乗車定員を、下記の計算に則して守っていたならば、違反には問われない。普通自動車運転免許証を所持している人ならば、教習所で習ったことがあるはずだ。 なお、下記は年齢のみの記載。身長や体重については、記載されていない。

【道路運送車両法】乗車定員及び最大積載量について 第五十三条 2 前項の乗車定員は、十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする。

「大人1名=12歳以下の子供1.5人分」は妥当な数字か?日本人の“平均体重”で検証してみた

一口に「子供」といっても、6歳〜12歳の子供を体重で比べてみた場合、下記のように年齢によって大きな差がある。 ●日本人の平均体重(2015年のデータ・文部科学省調べ) ※男子/女子(kg) ・6歳 21.3/20.8 ・7歳 23.9/23.4 ・8歳 26.9/26.4 ・9歳 30.4/29.7 ・10歳 34.0/33.9 ・11歳 38.2/38.8 ・12歳 43.9/43.6 ◎20歳以上の平均体重 ※男子/女子(kg) ・20〜24歳 65.3/50.4 上記を前提にした場合、 20歳以上の男女(2名)の体重→65.3kg+50.4kg=115.7kg となり、計算上では、 11歳男子3名分→38.2kg×3名分=114.6kg に相当する。

「子供が乗車できる人数」の計算式

(車の最大乗車定員-乗車する大人の人数)×1.5=「12歳未満の子供が乗車できる人数」

▲道路運送車両法では、大人は子供の1.5倍という考え方。大人2名=子供3名に相当する。

道路運送車両法では、「十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする」と記載。ムムム、なんだかややこしいが、つまり、大人1人=12歳未満の子供1.5人に相当するということ。 →大人1名=子供1.5名 →大人2名=子供3名 という考え方だから…… (車の最大乗車定員ー乗車する大人の人数)×1.5=「12歳未満の子供が乗車できる人数(※小数点以下は切り捨て)」 が算出できる。 ≪例≫ ・乗車定員4名の軽自動車に、大人が2名乗る場合、 (4名ー2名)×1.5=3.0 となり、12歳未満の子供が乗車できる人数は、3名まで。

アナタの愛車は法律上、何人の子供が乗車できる?【大人&子供の乗車人数一覧表】

上記の計算式を元に、 ・最大乗車定員 ・大人の乗車人数 ・12歳未満の子供が乗車できる人数(緑字) を一覧表にしてみた(下記)。

◆これで一目瞭然! 最大乗車定員別の乗車イメージ

上記の「最大乗車定員」「大人の乗車人数」「12歳未満の子供が乗車できる人数(緑字)」に基づき、 ・乗車する子供は12歳未満 ・法律上、チャイルドシートを必要としない6歳以上の子供 ・安全性を考慮し、1名乗車用シートは子供も1名乗車 ・助手席に乗る子供は、チャイルドシートがなくても大丈夫と判断される、適切にシートベルトが着用できるとされる身長140cm以上 これらを条件に、各最大乗車定員の乗車風景をイメージしてみた。

乗車定員=4名

・最大乗車定員:4 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:◎

・最大乗車定員:4 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:◎

乗車定員=5名

・最大乗車定員:5 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:6 ・快適度:×

・最大乗車定員:5 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:△

・最大乗車定員:5 ・大人の乗車人数:3 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:△

乗車定員=6名

・最大乗車定員:6 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:7 ・快適度:×

・最大乗車定員:6 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:6 ・快適度:×

・最大乗車定員:6 ・大人の乗車人数:3 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:〇

・最大乗車定員:6 ・大人の乗車人数:4 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:〇

乗車定員=7名(中列2名・後列3名)

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:9 ・快適度:×

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:7 ・快適度:△

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:3 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:6 ・快適度:△

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:4 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:〇

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:5 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:〇

乗車定員=7名(中列3名・後列2名)

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:9 ・快適度:×

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:7 ・快適度:〇

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:3 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:6 ・快適度:〇

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:4 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:◎

・最大乗車定員:7 ・大人の乗車人数:5 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:◎

乗車定員=8名

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:1 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:10 ・快適度:△

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:2 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:9 ・快適度:△

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:3 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:7 ・快適度:〇

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:4 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:6 ・快適度:〇

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:5 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:4 ・快適度:〇

・最大乗車定員:8 ・大人の乗車人数:6 ・12歳未満の子供が乗車できる人数:3 ・快適度:〇

シートベルトが足りない……さて、どうする?

上記のイメージ図を見て、「おいおい。シートベルトはどうするんだ?」とツッコミを入れた人も多いだろう。「最大乗車定員」を超える人数の子供を乗せた場合、当然シートベルトが足りなくなる。 2008年6月、道路交通法第71条の3が改正。高速道路と一般道の両方で、後部座席のシートベルト着用が義務化。高速道路については、違反の対象となる(違反点数:1/反則金:なし)。 なお、下記の道路交通法では、

【道路交通法 第26条の3の2第2項第1号】 一 運転者席以外の座席の数を超える数の者を乗車させるためこれらの者のうちに座席ベルトを装着させることができない者がある場合において、当該座席ベルトを装着させることができない者を運転者席以外の乗車装置(運転者席の横の乗車装置を除く。)に乗車させるとき(法第五十七条第一項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)。 【道路交通法 第71条の3】 ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

と明記。つまり、やむおえない場合(シートベルトの数が足りない等々)のシートベルトの着用義務は免除される。 とはいえ、上記の道交法は、あくまでも法律上のお話。シートベルトを着用していない時の死亡事故は、着用している時よりも遥かに多いのが実情だ。 大切な子供たちの命を預かる保護者やドライバーは、もしもの時のためにも、すべての子供たちがシートベルトを着用できるよう配慮すべきだと筆者は考える。

6歳未満の子供には「チャイルドシート」の使用が義務付け

写真はCOMBI ジョイトリップ GH。

2000年に道路交通法が改正。6歳未満(0〜5歳)の子供を乗せて運転する際は、チャイルドシートの使用が義務付けられた。 もしも使用しなかった場合は、「幼児用補助装置使用義務違反(違反点数:1/反則金:なし)」に問われる。

【道路交通法 第七十一条の3項】 自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

なお、【道路交通法施行令第二十六条】では、子供の乗車に対する関連事項として、

【道路交通法施行令 第二十六条】 ただし書の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、次に掲げるとおりとする。 二  運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第五十七条第一項 本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)。

つまり、乗車定員が多すぎて(あくまでも法律で定められた定員であること)、「チャイルドシートを乗せきれない」という場合、シートベルトの着用と同じく、チャイルドシートの設置が免除される。 ただしこちらも、あくまで法律上のお話。子供の安全を確保するため、また保護者やドライバーの責任として、乗車定員よりもチャイルドシートの設置は、最優先すべきだろう。

まとめ・子供たちの安全を最優先に考えてあげよう♪

道路運送車両法において子供として規定されるのは、12歳未満。身長や体重は、一切関係ない。小柄な小学6年生であっても、身長180cmの長身でも、体重100kgの巨漢でも、年齢が12歳未満ならば、すべて“子供”として見なされる 結論から言えば、「十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする」という法律は、極めてグレーゾーンにあるといえよう。 子供たちの安全確保を考えた場合、たとえ法律に則した人数の乗車だとしても、「どう考えても危険だろ?」というシーンが容易に想像できる。 車は最大乗車定員内で走行すること。また、走行時はシートベルトを着用すること。そして、6歳未満または身長140cm未満の子供にはチャイルドシートを使用すること。利便性よりも、まずは子供たちの安全を優先してあげることが、何よりも大切だと思う。 なお、乗車定員を超えた人数を乗せて走行すると、道路交通法第57条の「定員外乗車違反」に問われることをお忘れなく! ・違反名:定員外乗車違反 ・違反点数:1点 ・反則金:原付5,000円、普通車・二輪車6,000円

【道路交通法 第五十七条】 車両(軽車両を除く。以下この項及び第五十八条の二から第五十八条の五までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第五十五条第一項ただし書の規定により、又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては、当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。

現場のプロたち(弁護士・タクシードライバー・警察官)の 見解をリサーチ

読者の方から下記のような質問を頂いた。

「神奈川県警のホームページ https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesf2012.htm#q5 にも同様のことが書いてありました。念のためと思い、●×警察署に、 『大人10人乗りの車に、大人2人、6歳の子供11人が乗る場合、チャイルドシートを全員分設置できない時には、大人2人はシートベルト、6歳の子供4人はチャイルドシート設置、残り7人はチャイルドシート無しで乗車してよいか?』と質問。回答は 『そもそも乗車定員以上に車に子供の数を乗せてはいけない。10人乗りの車に大人2人が乗るのであれば、6歳の子供が乗ることのできる人数は、8名までである』とのこと。 本文中の“法律的にはOK”という内容とは食い違った答えをもらいました……(編集部で一部修正)」

まずは今一度、現場のプロたちの見解を探ってみた。

「交通事故弁護士ナビ」より、弁護士のお話

交通事故でお悩みの人をサポートしてくれるサイト。同サイトの交通事故マガジンの記事『5人乗りってOKなの?意外と知られてない軽自動車の定員人数ルール(弁護士法人プラム綜合法律事務所・梅澤康二 弁護士が監修)』では、

・『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 = 『子供の乗車人数』 ・シートベルトとチャイルドシートは着用・装着ができない場合には義務が免除される ・法律上では搭乗者の3人以上が子供なら軽自動車の5人乗りは認められています。この計算式は軽自動車以外の自動車にも適用されるので、普通車を運転する場合にも当てはめることができます。ただし、搭乗者全員がシートベルト、チャイルドシートの着用・装着はできないので、事故発生時に負傷するリスクが高まる点には注意が必要です (「交通事故弁護士ナビ」より引用)

と解説している。 ※出典:交通事故弁護士ナビ/交通事故マガジンの記事『5人乗りってOKなの?意外と知られてない軽自動車の定員人数ルールhttps://jico-pro.com/magazine/14/

とあるタクシードライバーの考え方と方針は?

過日、筆者がタクシーを利用した際、『子供の乗車定員』の件について、50代後半と思しきドライバー(タクシー常務歴は約20年)に聞いてみたところ、 「確かに法律では、『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 = 『子供の乗車人数』。でも、私は後部座席のお客さんにも、必ずシートベルトを着用してもらいます。その理由は、昔、危険回避のため、運転中に急ブレーキを掛けた時、シートベルトをしていなかった後部座席に乗っていた小学生のお子さんが前に飛び出し、ケガをされたことがあるからです」 「同業のタクシードライバーによっては、お客様の要望や法律に基づいて、『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 =『子供の乗車人数』でお乗せする者もいるようですが……。私はお客様の安全を最優先し、必ず大人の乗車定員=シートベルトの数に基づいて業務を遂行しています」 とのこと。ちなみに筆者が後部座席に乗車時、このドライバーから、「シートベルトの着用をお願いします」と念押しされた。タクシーの場合は、ドライバーによって対応が異なる模様だ。

近所の交番の警察官の見解は?

筆者が近所の交番の警察官(推定30代前半)に、『子供の乗車定員』の件について聞いてみたところ、 「法律では『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 =『子供の乗車人数』かもしれませんが……(面倒臭い奴が来たなあ……という、やや困惑した様子)。実際、子供をチャイルドシートやシートベルトを使用せずに乗せると、急ブレーキを踏んだ時、走行中に衝突した時、後ろから衝突された時など、社外に放り出される可能性があるため、非常に危険です。法律的には違反にはならないかもしれないが、“子供の命を守るために”控えて欲しい」とのコメント頂いた。

警察庁のWEBサイトには……

筆者が警察庁のホームページを隈なくチェックしてみたところ、『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 =『子供の乗車人数』には言及していないが、「チャイルドシートを使用しない場合の危険性について」を詳しく解説していた。 WEBサイトによれば、チャイルドシート不使用者の致死率は、適正使用者の約13.4倍。たとえチャイルドシートを使用していても、車両への取付け固定が不十分であったり、正しく座らせなかった場合には、交通事故時にチャイルドシートがシートベルトから分離してしまったり、幼児がチャイルドシートから飛び出してしまうなど、チャイルドシート本来の機能が発揮できないことがあるので要注意と訴えている。 ※参照URL:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html

子供たちの安全を最優先に!これが大人の責任です

『車の定員人数』-『大人の人数』×1.5 =『子供の乗車人数』という道交法は、あくまでも法律上のお話。チャイルドシートやシートベルトを着用していない時の子供の死亡率は、警察庁の統計を見れば分かる通り、着用している時よりも遥かに多いのが実情だ。 弁護士は、「ただし、搭乗者全員がシートベルト、チャイルドシートの着用・装着はできないので、事故発生時に負傷するリスクが高まる点には注意が必要です」と警告。また、筆者がインタビューした警察官や、タクシードライバーも指摘していた通り、子供たちの命を預かる保護者やドライバーは、もしもの時のためにも、すべての子供たちがチャイルドシートやシートベルトを着用できるよう配慮すべきだろう。 冒頭の質問に戻るが、本文とは違う回答をした●×警察署の真意は、“かなりグレーゾーンにある”この法律の観点からではなく、死傷事故を事前に抑止したいという点にあったのではと思う。 “事故を未然に防ぐ”との大義名分を持つ警察という立場から、『“そもそも”乗車定員以上に、車に子供の数を乗せてはいけない〜』という回答をしたのではないかと筆者は推測する。