Ford Escort Mk1 RS
オリジナルのエスコートをゼロから再生産

1970年代、ラリーやツーリングカーで活躍した名車「フォード エスコート Mk1」が、オリジナルに忠実な新車として蘇った。ボアハム・モーターワークスはドナーカーをベースにしたレストモッドではなく、フォード本社から承認されたシャシーナンバーを持つ、コンティニュエーションカーとして、「フォード エスコート Mk1 RS」を完成させた。
ボアハム・モーターワークスの前身となったのは、英国エセックス州に置かれたフォードのモータースポーツ拠点「ボアハム」。1967年、ボアハムは新たに発売されたコンパクトセダン「エスコート」に注目し、より軽量で俊敏なモータースポーツ向けベース車両になる可能性を見出した。そのアイデアはボアハムで「エスコート ツインカム」として完成する。
それから半世紀以上を経た現在、ボアハム・モーターワークスはこの精神を受け継ぎ、「フォード エスコート Mk1 RS」を開発。フォード・モーター・カンパニーの正式ライセンスを受け、究極の一般公道向けスポーツモデルとして、150台を完全新規製造する。
すべてのカスタマーに専任のクライアントリエゾン(顧客担当者)が付き、さらにウェイン・バージェス率いるデザインチームと直接連携しながらプロジェクトを進めていく。最初の打ち合わせから最終的な納車に至るまで、一貫したサポート体制が提供され、顧客のビジョンや要望を細部に至るまで反映した1台を作り上げていくという。
カーボン採用で剛性レベルが50%も向上

プロジェクトはフォードのアーカイブスが保存していたオリジナルの設計図から始まった。設計図面をマスターデジタルモデルへと変換し、高精度ジグを用いて製造することで寸法精度と再現性を確保した。スチール製ボディ構造に加え、ボンネット、トランクリッド、内装基材にはカーボンファイバーを採用。重要部分の軽量化を図るとともに、ねじり剛性を当時のオリジナルボディ比で50%も向上させている。
ホイールベースはオリジナルのエスコートより30mm延長され、高速域での安定性、バランス、落ち着きの向上を測った。フロントには専用設計の4点支持式チューブラースチール製サブフレームを採用。CNCマンドレル曲げ加工とレーザーカットによって製作され、不要な重量を増やすことなく、強度、剛性、制御性を確保している。
専用開発の「R53」軽量ダンパーとスプリングは、モータースポーツ由来のサスペンション構造と組み合わされる。フロントはマクファーソンストラット、リヤは6リンク式ライブフローティングアクスルを採用。これにより荷重経路を分離、リヤアクスルの制御性を高めることで、より確実にパワーを路面へと伝達できるようになった。
ドライブにフォーカスしたコクピット

フォード エスコート Mk1 RSは、走り始めた瞬間からドライバーに特別な感覚をもたらすクルマとして開発。そのすべての反応は、895kgという“軽さ”によって生み出される。ステアリングは生き生きと動き、エンジンは鋭く高らかに咆哮、シャシーは常にドライバーの意思に応えようと躍動する。
あらゆる操作入力に対し、車両は即座に反応。電子デバイスを介したドライブモードは存在しない。トラクション制御アルゴリズムもない。ドライバーの意思をデジタル処理して解釈するシステムもない。ドライバーが感じるものがクルマの動きとなる。
エスコート Mk1 RSはノスタルジーに浸るためではなく、公道で走るために設計。現代のパフォーマンスカーが失いつつあるシンプルさと運転する喜びを取り戻し、それを精度・信頼性・明確な目的意識とともに提供する。明快さ、バランス、そして機械的グリップを中心に開発されたシャシーは、重量移動、トラクション、レスポンスをドライバー自身が直接コントロールできるように設計された。
コクピットは軽量化とドライバーの快適性をバランスさせ、ドライビングにフォーカスしたモダンなデザインを導入。スクリーンヒーターや、4つの吹き出し口を備えたエアコンディショナーなど、現代的な機能が違和感なくインテリアへと組み込まれている。
インテリアは、アルカンターラとリアルレザーが組み合わせられ、最高水準のクラフトマンシップに基づいて設計。3点式シートベルトが標準装備され、オプションで4点式ハーネスとビジュアルカーボン製リヤコンパートメント(ヘルメット搭載可能)も用意された。取り外し可能なドアバーを備えたフルロールケージが導入されており、車両の完全性を確保し、サーキット走行などにも対応する。
2種類のパワーユニットを展開

パワーユニットは2種類をラインナップ、ベース仕様はフューエル・インジェクションを導入した1845cc直列4気筒ツインカム搭載し、最高出力は185PS。4速MTと組み合わされ、ボアハムが製造した「エスコート Mk1 RS1600」のDOHCエンジンへのオマージュとして販売される。
よりパワフルな仕様を求めるカスタマーには、電子制御スロットルコントロールが導入された、2100cc直列4気筒ツインカム「TEN-K」エンジンを選ぶこともできる。専用チューンが施された鋳造ビレットエンジンは、最高回転数1万rpmを実現。単体重量は85kg以下に抑えられ、DOHCとチェーンカム駆動を採用し、自然吸気ながら最高出力330PSという驚異的なパワーを手にした。
ドグクラッチ式5速MTを介してリヤを駆動、鍛造スチール製コンロッドとビレット製クランクシャフトを採用したことで、サーキットにおいても驚異的なパフォーマンスを発揮。モータースポーツ仕様のコイルオーバープラグイグニッション、高度な燃料噴射とECUマネージメント、特注のチタン製エキゾーストシステムも搭載する。
「フォード エスコート Mk1 RS」を動画でチェック!

