保持と注視でなければ、ハンズフリー通話自体は違反対象にならない

ひとりで長距離のドライブをしている最中や日々の通勤途中などに、友人や家族から電話がかかってくる場面は珍しいことではない。
もちろん、運転中にスマートフォンを手に持って通話することが「ながら運転」として厳しく罰せられることは、多くのドライバーが知っている常識といえる。
しかし、スマホを置いたままスピーカーボタンだけをタップし、両手でしっかりとハンドルを握って前方を見ながら会話をするケースもあるだろう。
では、このようにスマホを手に持たず、いわゆる”ハンズフリー”で通話しながら運転する行為は、何かしらの交通違反に該当しないのだろうか。

結論から言えば、道路交通法においてハンズフリー通話そのものは明確な違反対象にはならない。
そもそも道路交通法で厳しく禁止されている「ながら運転」は、スマートフォンや携帯電話などを手に保持して通話する行為や、画面の画像を注視する行為である。
そのため、スマホをダッシュボードやホルダーに固定した状態で、画面を注視せずにスピーカー機能を通じて会話をするだけであれば、直ちに違反切符を切られることはないというわけだ。
つまり、運転中は両手でしっかりとハンドルを握ることが基本であり、機器を手に持たずに前方を向いて通話するスタイルであれば、携帯電話使用等違反の要件には当てはまらないとされている。

ただし、明確な交通違反にならないからといって、運転中の通話にまったく問題がないわけではない。
たとえスピーカー通話であっても、会話に夢中になって周囲への注意が散漫になり、赤信号を見落とすなどの交通事故を起こしてしまった場合は、安全運転義務違反に問われるおそれがある点には注意が必要だ。
実際に、道路交通法第70条が定める安全運転義務違反は、ドライバーが周囲の状況に応じた確実なハンドルやブレーキ操作などを怠り、他人に危害を及ぼすような運転をした場合に適用される。
したがって、もし安全運転違反であると見なされた場合は違反点数2点が加算されるほか、普通車であれば9000円の反則金が科せられることになる。

また、通話以外にも安全運転義務違反と見なされるおそれのある行為は日常の中に潜んでいる。
たとえば、ペダルの操作を誤りやすいヒールの高い靴での運転や、片手が塞がってハンドル操作が遅れるおそれのある、おにぎり等の軽食を食べながらの運転なども挙げられるとされる。
なお、手ぶらでの通話であっても脳の処理能力が会話に割かれることで、危険に対するドライバーの反応速度は低下することは言うまでもない。

だからこそ、運転への集中は絶対に切らさないことが大切なので、いくら合法であってもハンズフリー通話は推奨される行為とはいえない。
そのため、車を運転する際は目の前の道路状況に集中し、どうしても通話が必要な場合はPAや駐車場などの安全な場所に車をしっかりと停止させてからおこなうなど、余裕を持った安全運転を心がけることが大切だ。
