ハイブリッドは専用のセレクトレバーを備え、パーキングブレーキもホールド機能付きのスイッチタイプになった。そのスイッチは新たに設置されたセンターコンソールに配置される。質感と共に利便性も高められている印象だ。 REPORT●工藤 貴宏(KUDO Takahiro) ASSISTANT●藤木 由貴(HUJIKI Yuki)(身長160㎝) PHOTO●中野 幸次(NAKANO Koji)/神村 聖(KAMIMURA Satoshi) ※本稿は2017年10月発売の「新型ステップワゴンのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様が現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。
〈取材車のプロフィール〉 SPADA HYBRID G・EX

ボディカラー:フォレストグリーン・パール オプション:Honda インターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器、100V AC電源、リアエンターテインメントシステム、マルチビューカメラシステム、Hondaスマートパーキングアシストシステム、後退出庫サポート、ハンズフリースライドドア(販売店オプション) 注釈:※一部カットはSPADA・Cool Spiritを撮影しています。

〈HVモデルにセンターコンソールを設置〉ハイブリッド車専用アイテムとして用意されるセンターコンソールのトレーはバッグも置ける大型サイズ。「ウォークスルーもなんとかこなせる大きさで収納量も最大限に」と開発者は語る。

〈AC100V電源ソケットを用意〉家庭用電気製品が使えるAC100Vアウトレットは最大1500W。これは一般的な車載AC100V電源の10倍にもなる、電力消費量の多いコーヒーメーカーや電子レンジまで使える大容量だ。アウトドアだけでなく停電など非常時にも重宝するに違いない。ハイブリッド最上級グレードにメーカーオプション設定。
〈運転席まわり〉ハイブリッド専用となるセレクトレバーとパーキングブレーキ

水平に層を重ねたインパネ意匠の長所は開放感が高いことと収納部が多いこと。メーターを高く置いた独特のレイアウトは、前方視界が開けつつも自然にメーター表示が視界に入ること、焦点移動が少ないこと、そしてハンドルに遮られずに表示を確認できることが美点。奇抜に見えるが、運転すればその合理性がよくわかる。

フルデジタルメーターだが光の演出を最小限として、見やすさを徹底重視している。速度計の左側が回転計ではなくハイブリッドシステムの出力/回生を示す表示になっているのがガソリン車との違いだ。


ハンドルを握ったまま操作できるよう、多くのスイッチが備わる。左はオーディオ/ナビとハンズフリー通話。右側はスポークがクルーズコントロールと車線維持システムで、下がマルチディスプレイ切り替え用だ。

電動スライドドアのスイッチは「開け」「閉め」の操作をしっかり区別したシーソー式。緑は省燃費用ECONモードのボタン。

衝突軽減ブレーキなど走行安全デバイスのON/OFFスイッチは、ETCユニットともにインパネ右端に配置される。

スターターはステアリングホイールの左奥にありプッシュ式。ハイブリッド車では「起動スイッチ」となる。

マルチビューカメラシステムの表示を切り替えるスイッチはウインカーレバーの先端。これが実に使いやすい。

ハイブリッド車だけのアイテムのひとつがフィットハイブリッドなどでも見られる電子式セレクトレバー。操作後は自動的に中立位置に戻り、「P」へはボタンで入れる。

パーキングブレーキが電子制御式になっているのもガソリン車との違い。ホールド機能付きでスイッチはセンターコンソールに設置。

電子制御式パーキングブレーキになったので、左側にパーキングブレーキのペダルはない。アクセルは一般的な吊り下げタイプだ。
ガソリンエンジン車の運転席

基本はハイブリッド車と共通だが、左側に回転計を組み合わせる。上部のバーはエコ運転で色がグリーンに変化していく(ハイブリッド車にも採用)。

一般的なストレートゲート式。ハンドルから少し手を横に移動するだけで扱え、前後に動かす自然な操作感も好印象。

ガソリンエンジン車のスパーダと「Modulo X」にはパドルシフトを装備。パドルはステアリングスポーク裏に固定される。

アクセルやブレーキの配置はガソリンエンジン車もハイブリッド車と共通だが、足踏み式パーキングブレーキのペダルが見える。
〈居住性&乗降性〉2列目キャプテンシートを標準として快適なくつろぎ空間を演出


〈1列目〉低いフロアながら見晴らしのよさのために、着座位置を高めてアップライトに座らせる運転姿勢だ。背もたれの内部にSバネを使って頚椎の圧迫を緩和するなど座り心地は歴代最良で、今回のマイナーチェンジではヘッドレストのクッション性も高められた。

〈ハイブリッド車〉走行用バッテリー搭載スペースのために、1列目の床下が盛り上がっている。ここが唯一のガソリン車とのパッケージングの違いだ。

〈ガソリン車〉前席の下に空間が広くあり、ハイブリッド車では運転席と助手席の間にあるセンターコンソールボックスも非採用。


〈2列目〉ガソリンエンジン車に比べると室内高が20㎜低いハイブリッド車だが、これが1列目後部の床が盛り上がっている場所を計測ポイントとしているから。居住性に実質的な違いはない。2列目も1列目と同様にヘッドレストが改良されている。

7人乗りの2列目(キャプテンシート)には、背もたれの両脇にアームレストを装備。左右対称に腕を置けると落ち着き感が増す。

スライドドアの窓に組み込む巻き取り式のシェイド。日差しを遮るだけでなく授乳やおむつ替え時の目隠しにも役立つ。

取り付け部のステーにブッシュを組み込んでフロアの微振動がシートに伝わりにくくするなど、7人乗りシートは8人乗りよりも快適性にこだわった構造になっている。


〈3列目〉3列目の居住性に関しても、ハイブリッド車とガソリン車で違いはない。このクラスになると3列目に長時間乗車しても、不満がないどころか余裕すらある空間だ。シートは小さく畳むことを重視した設計だが、座面へのSバネの採用など乗り心地にも配慮。

3列目の中央席用シートベルトは天井に巻き取り部がある。使う時は天井から引き出すが、ウィークポイントは使用時にルームミラーの視界に入ってしまうこと。

後席への乗降時には、Bピラーの内側にあるグリップがありがたい。握って身体を支えることで乗り降りに身体へ掛かる負担がずいぶん違う。

2列目スライドレバーは、より自然に動かせるように工夫してマイナーチェンジ前は座面前方だった位置を横へ変更している。上がリクライニングで下がスライドだ。

〈1列目席〉

〈2列目席〉

〈3列目席〉

〈4列目席〉
乗降性は抜群に良い。その理由は多岐にわたるが、ポイントは床の低さと天井の高さだ。スライドドアは天地1260㎜×開口幅が760㎜と大開口で、乗り降りの際の姿勢の自由度は高い。赤ちゃんを抱いたままや傘を差しながら降りるシーンで一段と実感できるだろう。また横に開いたテールゲートを「乗り降りもできるドア」と考えているのも独特であり、驚くほど便利。
マルチインフォメーション・ディスプレイ

〈エネルギーフロ〉エンジン、モーター、そしてバッテリーのエネルギーの流れを可視化。どのような状態で走っているかとバッテリー残量が一目瞭然。

〈ECOドライブディスプレイ〉運転操作に応じて車両アイコンが動くため、中心からずれないように心がけることでスムーズかつ燃費のいい運転につながる。

〈ドア警告〉開いているドアなどが一目瞭然。そのほか、シートベルト着用警告からシステム異常まで車両の各種警告もこの画面に表示される。

〈燃費系〉バーグラフによる瞬間燃費と数値での平均燃費が表示される。画面を切り替えて航続可能距離(給油せずに走れる距離)も確認できる。

〈車両設定〉ドアロックやメーター表示から先進安全システムの設定まで、ディスプレイを使って行なう車両設定は多岐にわたる。
便利なオプション

〈2列目ベンチシート〉メーカーオプションとして2列目を3名掛けとしたベンチシートを設定。スライド量は7人乗りと同じだ。

〈ハンズフリースライドドア〉車体下にセンサーを組み込み、足を動かすだけで手を使わずにスライドドアを開閉可能。ドアのアンロックも同時に行なえる。ディーラーオプションで用意。
〈注目装備〉

〈後方確認ミラー〉ルームミラー近くの天井に、開閉式で湾曲したミラーを装着。運転中に振り向かずに後席(特に子供)の様子を確認するアイデアだ。

〈サイドビューサポートミラー〉死角となる助手席側前輪付近を確認するアイテムが、助手席側Aピラー付近に備えた鏡。ドアミラー裏にある鏡との反射を利用する。

〈広角サイドミラー〉ドアミラーは中心より下に青い水平線を引き、その下をわずかに湾曲させてミラーの視野を広げている。


〈Hondaスマートキーシステム〉キーは非接触式。箱型でポケットにも入れやすい小型キーで、電動スライドドア装着車はリモコン開閉するスイッチも内蔵する。
〈AV・ナビ〉高精細な画面にマルチビューカメラも設置

上級主要グレードには「Hondaインターナビ」をメーカーオプションで設定。画面は7インチで、スマートフォン感覚の操作ができる静電タッチ式だ。このシステムの最大の特徴は、専用の通信端末で通信料までも無料(ホンダ負担)で使える通信機能を内蔵していること。

通信機能の活用方法のひとつが詳細な渋滞情報や高度なルート案内。「時間と有料道路料金のバランスに優れたルート」も用意。

ステアリングのボタンで、ショートカットメニューを呼び出せる。接続したiPhoneの「Siri」を始動し音声操作できるのも賢い。

ナビを通じてロードサービスを呼び出す機能も搭載。もはやナビは道案内やオーディオに留まらない通信ツールに進化しているのだ。

車両との連携により詳細な燃費履歴も確認できる。また実際の運転操作に応じたアドバイスを受けられるなど機能はかなり充実。
マルチビューカメラをオプション設定


車両を真上から見下ろすようなアングルは駐車枠や周囲の車両との位置関係がわかりやすいほか、車両直近の安全確認にも貢献。同時にリヤ/フロントビューを映し、ハンドル切り角も表示するのが優しい。

車両直前の様子も確認可能。左右ほぼ180度が見わたせるアングルで丁字路の接近車両も確認できる。

左右前輪付近を映すアングルは、路肩へ寄せたり狭い場所を通る時に重宝。意図せぬ接触を防ぐ。

車庫入れや縦列駐車時のハンドル操作を自動化する機能も搭載。センサーを活用し、器用に駐車する。
充実したHDMIと電源環境

リヤエンターテインメントシステムの中心となる天井吊り下げ式の9インチワイドディスプレイ。インターナビ装着車に追加できるオプション。

DC12Vアウトレット、いわゆるシガーソケットもインパネセンターに用意している。これは全車に装備される。

インパネのセンター下部にはナビ画面にスマホ内などの映像を映すためのHDMI端子とふたつのUSB端子を用意。そのうちひとつは高速充電対応の1.5Aだ。

大容量のAC100V電源は「SPADA HYBRID G・EX HondaSENSING」だけの設定でオプション。ヘアドライヤーも使える。

リヤエンターテインメントシステム装着車は後席にもHDMI入力端子を用意。場所は3列目シートの助手席側だ。
〈空調〉前席左右はもちろん後席の空調も完備

エアコンは全車とも前席左右独立温度調整式だが、上級グレードでは後席にも独立したエアコンを備える3ゾーン式、ベーシックな仕様の後席はヒーター+クーラーとなる。ハイブリッド車のエアコンはエンジン停止時でもしっかり冷風を送れる電動式コンプレッサーだ。

後席天井にも空調のコントローラーが組み込まれ、リヤエアコン装着車は写真のように液晶+スイッチのパネルを組み込む。また天井のダイヤルはインテリアライトの明るさ調整だ。

❶ ルームミラー付近にあり運転中も手が届きやすいオーバーヘッドボックス。サングラスや運転用のメガネを入れておくのに便利だ。

❶ ルームミラー付近にあり運転中も手が届きやすいオーバーヘッドボックス。サングラスや運転用のメガネを入れておくのに便利だ。
〈室内の収納スペース〉ハイブリッド車はガソリン車と異なる収納を用意

❶ ルームミラー付近にあり運転中も手が届きやすいオーバーヘッドボックス。サングラスや運転用のメガネを入れておくのに便利だ。

❶ ルームミラー付近にあり運転中も手が届きやすいオーバーヘッドボックス。サングラスや運転用のメガネを入れておくのに便利だ。

❷ サンバイザーのカードホルダーはベルト式。ちなみに今回の改良から、この裏にあるバニティミラーに照明が追加された。

❸ インパネアッパーボックスの中央部。CD ケースとほぼ同じ大きさで、手が届きやすくリッド付きで中身が外から見えないのが美点。

❹ 運転席前のアッパーボックスは大容量が自慢。センターはボックスティッシュが入り、その右はスマホや小銭、左はカードが置ける。

❺ 助手席ドリンクホルダーは埋め込み型で飲み物だけでなく小物も置ける。背の高い容器ならエアコンの風を当てて飲み物を保冷できる。

❻ 助手席前のオープントレーも広く、ボックスティッシュが置けるサイズ。スマートフォンやデジカメをサッと置ける実用的スペースだ。

❼ グローブボックスはバケットタイプ。たっぷりとした容量があり、保湿系の大型ボックスティッシュがほぼピッタリ収まるサイズだ。

❽ インパネ中央部には引き出し式のドリンクホルダーを組み込む。ちなみにドリンクホルダーは車内に合計で18本分(!)用意している。

❾ 前席ドアアームレストのハンドル部分も小物を入れるポケットとして活用できる。キーを入れたり、小銭を置いたりと意外に重宝する。


❿ ドアポケットは上下段に分かれている。上段は手の届きやすい位置にドリンクホルダーがあること、下段は大容量なことがポイントだ。

⓫ 運転席の右にもインパネ埋め込みタイプのドリンクホルダーが備わる。照明も付いていて、助手席同様に小物入れとしても使える。


⓬ インパネ中央下部のポケットはハイブリッド車とガソリン車で形状が異なる。ここは引き出し式のテーブルまで用意するガソリン車のほうが充実している。引き出し式テーブルはビッグマックの箱が置けるサイズ。

⓭ ハイブリッド車だけに備わるセンターコンソールトレー。トレー部はボックスティッシュが置ける大きさにつくられている。

⓮ アームレストは実はフックになっている。コンビニやスーパーのレジ袋を吊り下げてゴミ袋にするのも便利な使い方だ。

⓯ スライドドアにもドリンクホルダーを用意する。フロントドアのドリンクホルダー同様にやや高い位置にして、手が届きやすい。



⓰ シートバックの収納も多彩。左からドリンクホルダー&フック付きのテーブル、アッパーポケット、そして一般的なシートバックポケットだ。テーブルやアッパーポケットは、子育てファミリーが使いやすいように工夫されている。


⓱ 3列目にもドリンクホルダーがあり、助手席側は2本、運転席側は3本置ける。内部は仕切りが完全に隣同士を隔てていない「メガネ式」。その理由は携帯ゲーム機やスマホも置けるようにするためだ。
〈ラゲッジルーム〉床下格納の3列目シートと わくわくゲートの使い勝手は◎

〈通常時〉高さ:1245mm 最小奥行き:460mm
低い床と高い天井を活かし、奥行きの割には容量を広く確保している。ボックス型ミニバンとして独特なのが3列目シートを格納する場所で、床下に沈めるのだ。3列目展開時にはその空間もラゲッジスペースとして活用できる。

〈3列目格納時〉最小幅:985mm 奥行き:1180〜1550mm
ライバルにはないポイントが、3列目を畳むとその存在が消える感覚。左右跳ね上げ式と違って畳んだシートが邪魔にならないから、日常的に3列目を畳んでおく人に最適だ。

〈2+3列目格納時〉最大奥行き:1700mm
2列目の格納は前方へのスライドと背もたれの前倒しのみ。この方式と奥行きは7人乗りでも8人乗りでも変わらないから、先代と違って乗車定員にかかわらず奥行きは同じ。

驚きの大開口部と低い床は実用的だが、その一方で開けたテールゲートの車両後方への張り出しはかなり大きく約1.2mある。とはいえ、このように開くのは大きな、もしくは多量の荷物を出し入れする際と、雨宿りをする時くらいだろう。普段は独自発想の横開きドアで事足りるのだから。

リヤゲートの左側を横開きできる、ステップワゴンの特徴のひとつであるわくわくゲート。狭い場所での荷物の積み下ろしはもちろん、乗降にも使えるのが大きな魅力だ。

先代モデルは左右一体でしか床下格納できなかった3列目だが、現行モデルは左右独立格納式。アシスト機能付きなので格納/展開も楽に行なえ、わくわくゲートからの出入りにも重宝する。

ミニバンとしては異例なのが、テールゲートを内部から開けるボタンが用意されていること。わくわくゲートから人が出入りするのをサポートする。

壁面のフックは買い物袋などが倒れたり滑って動くのを防ぐもので耐荷重3㎏。車体側は吊った袋の持ち手が外れにくいように工夫されている。

3列目格納は、ロックを解除した後に背もたれを前に倒し、全体を床下に沈める。足のロックが解除されると同時にシート前方が跳ね上がる機構が、改良されたストラップと合わせて、操作を楽にしてくれる。

3列目シートの背面には溝を埋めて床をフラットにする可動式フラップやカーペットも標準装備している。わくわくゲートから出入りする際の汚れに対する配慮でもある。

床下のシート収納スペース(畳んだシートを収める空間)は、3列目展開時には荷室として利用できる。深さ190㎜、前後490㎜(足の部分で430㎜)とかなりの大容量だ。

助手席側壁面にある小物を入れるポケット。張り出しがないのはわくわくゲートから出入りする際に足元を邪魔しないようにという気遣い。

モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.561 新型ステップワゴンのすべて ステップワゴンに待望のハイブリッドが追加。走りのグレードであるスパーダに設定されました。アコード/オデッセイに搭載されているモーターが走行の大部分を担うというスポーツハイブリッドi-MMDシステムを贅沢にもMクラスミニバンに投入しクラストップの低燃費25.0km/Lを実現しています。 また同時に、スパーダはフェイスまわりのデザインを大幅に刷新。LEDヘッドライトや大型のフロントグリルでグッと迫力あるスタイルに変身しています。本誌ではこのスパーダハイブリッドを中心に新型ステップワゴンの詳細を解説しています。
