ホンダ CR-ZはMTで操れる希少なハイブリッドスポーツ

ホンダ CR-Zのボディサイズは、全長4080mm×全幅1740mm×全高1395mm。流麗なボディデザインと、往年のホンダ CR-Xをオマージュしたウェッジシェイプのリヤスタイルが大きな特徴だ。

乗車定員は4名となる。ただし後席空間は非常に狭く、小柄な女性であっても大人が座るのは難しい。しかし、後席にはISOFIXが備わっておりチャイルドシートは利用可能だ。狭い後席や後退時の視認性といった欠点はあるが、2シータークーペとして割り切ればCR-Zの使い勝手は決して悪くない。

最大の特徴はパワートレインにある。最高出力114ps/最大トルク145Nm(初期型MTモデル)を発揮する1.5L 直列4気筒エンジンに、最高出力14ps/最大トルク78Nmのアシスト用モーターを組み合わせたCR-Zは、小排気量エンジンを感じさせない加速感が魅力だ。トランスミッションは6速MTもしくはCVTが組み合わされ、燃料はレギュラーガソリンであるため維持費も抑えやすい。

2012年9月に実施された1回目のマイナーチェンジでは、それまでのニッケル水素バッテリーからリチウムイオンバッテリーへと切り替わったうえ、モーターの最高出力が20psへと向上。ボタン操作ひとつで瞬時に力強い加速が得られる“プラススポーツ”システムが新たに追加された。

さらに2015年8月の2回目のマイナーチェンジでは、外観デザインの刷新に加え、電子制御パーキングブレーキやプッシュ式のエンジンスタートスイッチといった当時の先進装備が導入され、走行性能や安全性が大きく強化されている。

日常での扱いやすさを保ちながら、手軽にスポーティな走りと雰囲気を楽しめるCR-Zは、今でも根強いファンが多数存在するクルマだ。

高年式車は高価なうえタマ数も少なめ! MTはとくに高額

CR-Zの全体相場は、走行距離15万km超の過走行車から高年式の極上車まで、支払総額30万円から280万円程度と幅が広い。

流通台数は初期型の過走行車が大多数であり、低走行距離や高年式の個体はどんどん数が少なくなってきている。初期型も流通台数は減少傾向にあり、走行距離5万km以下の個体を求めるなら全国規模で探す必要に迫られるだろう。

購入条件を走行距離5万km以下に絞った場合の中古車価格はCVTモデルが70万円、MTモデルは100万円が現在の底値だ。全体の約4割を占めるMT車は人気が高く、走行距離10万〜20万kmの初期型であっても40万円以上の値が付けられ、状態次第では過走行車でも100万円を超える。

これが1回目のマイナーチェンジ以降のモデルになると、走行距離5万km以下のCVTモデルの底値は100万円、MTモデルは180万円。2回目のマイナーチェンジ以降のモデルになると底値はCVTモデルが180万円、MTモデルが250万円にまで上がる。

グレード別流通台数は、圧倒的に上級グレードの“α”が多い。一方で、ベースグレードである“β”は流通台数がαの1/10程度しかなく、その希少性からか条件の良い個体はαグレード以上の高価格で取引されている。生産期間中に数多く設定された豪華装備の特別仕様車は、年式と走行距離に応じた価格に10万円〜20万円程度を加えて見積もるとよいだろう。

例外的な存在が、無限が手がけた300台限定のコンプリートカー“CR-Z MUGEN RZ”だ。新車価格が449万4000円だったCR-Z MUGEN RZは、スーパーチャージャーや専用のエアロパーツ、専用サスペンションなどが奢られたメーカーチューンドモデルであり、過走行車であっても200万円以上の高値で取引されている。

バッテリーの交換費用を抑えたいなら初期型がおすすめ

CR-Zの中古車はハイブリッドバッテリーの種類と状態がネックとなる。バッテリー交換時にかかる多額の出費を抑えたいのであれば、中古車購入のセオリーに反して初期型が手堅い選択だ。

CR-Zは比較的新しいこともあって、中古車を購入しても致命的な故障に至るケースは少ない。ただし最大の懸念点となるのがハイブリッドバッテリーの劣化だ。

バッテリーの劣化が進むと燃費の落ち込みに直結し、劣化の程度によってはチェックランプが点灯して高額な修理費用が必要になる。

修理費用は搭載されるバッテリーの種類によって大きく変わり、ニッケル水素バッテリーとなる2012年9月のマイナーチェンジ前のモデルなら、リビルトバッテリー単品が10万円強で購入できるため、修理費用も十数万円から20万円程度で済む。

一方、2012年9月以降のモデルは新品リチウムイオンバッテリーの単体価格は約40万円だ。CR-Zはシステム冷却ファンなども故障しやすい傾向にあるため、改良モデルでシステム一式の交換が必要になった場合には、50万円以上の修理費用がかかる場合もある。

こうした事情から、手堅く乗るならバッテリー交換が必要になっても比較的安価に修理できる初期型がおすすめだ。ボディの状態が良好な初期型を安価に探し、バッテリー交換を前提として購入するのもよいかもしれない。

CR-Z特有のスポーティな雰囲気を短期間だけでも体験してみたいという場合は、過走行気味のMT車を安く手に入れて乗るのもよいだろう。現時点では部品供給に対する不安の声は上がっていないため、気に入ったなら修理して長く乗り続けることも可能だろう。

いずれの用途や目的でも、今後さらに中古車の流通台数が減っていくことは避けられないため、CR-Zが気になっているなら中古車価格と部品供給が安定している今のうちに購入の決断を下したいところだ。