ミネラル分の結晶化がノズル詰まりの原因になる

山道や高速道路などを走っていると、前の車が巻き上げた泥や突然の虫の衝突によって、急激にフロントガラスが汚れてしまうことも珍しくない。
しかし、いざウォッシャーレバーを引いても空回りのモーター音しか聞こえず、タンクが空であることに気づいて焦った経験を持つドライバーも少なくないはずだ。
ウォッシャー液が空になれば、フロントガラスの汚れが落とせなくなると視界が悪化し、安全運転に大きな支障をきたしかねない。

ではそんなとき、応急処置としてコンビニや自販機などで販売されているミネラルウォーターをタンクに補充し、代用してもよいのだろうか。結論から言えば、ミネラルウォーターをウォッシャー液の代わりにするのは推奨されていない。
なぜなら、水に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル分が乾燥して結晶化し、噴射ノズルを詰まらせる原因になってしまうためだ。
エンジンルームの熱などで水分が蒸発すると、固まったミネラル成分が微細な経路にこびりつき、ノズルが詰まるおそれがある。するとウォッシャー液が正常に噴射されなくなるため、最悪の場合は部品の交換が必要になってしまうというわけだ。
なお、ウォッシャー液が正常に噴射されない状態のまま放置していると、クルマの保安基準を満たしていないとみなされる。実際の車検でも、ワイパーの動作と連動した噴射状態は必ずチェックされる。

フロントガラスの洗浄機能は安全な視界を確保するための必須装備であるため、噴射機構が壊れていたり液が空のままだったりすると、車検に通らなくなってしまう可能性が高いのだ。
よかれと思った応急処置が、かえって車両の故障や車検不適合を招く結果になりかねない点には注意が必要だろう。
カビの繁殖や冬場の凍結リスクにも注意!

また、ミネラルウォーターを避けるべき理由は、ノズルの詰まりだけではない。専用のウォッシャー液には防腐剤や洗浄成分が含まれているが、ただの水にはそれがないため、タンク内で藻やカビが繁殖しやすくなる。
とくにエンジンルーム内は温まりやすく、雑菌が繁殖するのに絶好の環境となってしまうため、そのまま放置すると、ウォッシャーを作動させた際に外気導入口などを通じて車内に嫌な腐敗臭を放つこともある。
緊急時にどうしても水を使わざるを得ない場合は、殺菌用の塩素が含まれている水道水の方が、カビの発生を抑えられる分だけよいかもしれない。
しかし、水は専用液に含まれているような不凍成分がなく、0度以下で凍ってしまう性質があるため、冬場や寒冷地ではタンクやホース内で凍結する場合もある。
これによってタンクがひび割れたり、モーターが故障したりすれば、より深刻なトラブルへと発展してしまうおそれもゼロではない点には留意しておきたい。

このように、ウォッシャー液の代わりに水を使用することは複数のリスクをともなうため、水を入れるのは、どうしても視界を確保しなければならない超緊急時の一時凌ぎに留めることが望ましいといえるだろう。
なお、もし一時的に水を入れた場合でも、後日そのまま放置するのは厳禁だ。システム全体の故障を未然に防ぐためにも、タンク内の水を使い切るか抜き取った上で早めに専用液に入れ替えることが重要になる。
