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今日は何の日?■VC-ターボをパリモーターショーで世界初公開することを発表

2016(平成28)年8月14日、日産自動車は同年9月29日から開催されるパリモーターショーで世界初の可変圧縮比機構を採用した「VC-ターボ」エンジンを展示することを発表した。可変圧縮比機構は、特殊なリンク機構で上死点(ピストンが最も高くなる位置)のピストン位置を変更することで実現された。
可変圧縮比にすれば、出力と燃費の両立が可能

エンジンの圧縮比は、高いほど熱効率が上がるので、基本的には燃費と出力が向上する。しかし、ガソリンエンジンでは圧縮比を上げると、高負荷運転でノッキングが発生するので、通常はノッキングしない範囲でできるだけ高い圧縮比(通常の無過給ガソリンエンジンでは、10~11程度)に設定することになる。
一方で、一般路での走行のような低負荷~中負荷の運転条件ではノッキングしにくいので、燃費のためには高負荷運転条件で設定した圧縮比よりも、高い圧縮比にするのが望ましい。このような運転条件によって最適圧縮比が異なる問題を解決するのが、可変圧縮比である。
すなわち、何らかの特殊な機構によって、低負荷~中負荷運転では圧縮比を高く、ノックが発生しやすい高負荷運転では圧縮比を低くするようなVCR(Variable Compression Ratio:可変圧縮比)エンジンができれば、燃費と出力の両立が可能となるのだ。

圧縮比を自動的に可変化する方法としては、特殊なリンク機構を使って、上死点(ピストンが最も上に到達)時の燃焼室容積を変更して燃焼室容積を変えるのが一般的である。日産のVCRもこの方法である。
VCRのアイデア自体は、1920年代に英国の技術者ハリー・リカルドによって提案されたとされ、以降多くの技術者がVCRの開発に取り組み、論文として発表されたり試作を繰り返してきたが、これまで実用化された量産エンジンの例はなく、エンジン技術者にとって永遠のテーマであり、また夢のエンジンとされてきた。
日産独自の複合リンク式による可変圧縮比
2016年8月のこの日、日産は9月のパリモーターショーにおいて、VCR技術を採用した2.0L 直4 DOHCターボエンジン「VC-ターボ」を世界初公開することを発表した。

公開された日産のVCR機構は、圧縮比の変更をピストンの上死点高さの変化で行なう。この機構を実現するのが、日産が独自に開発した複合リンク方式である。ピストンを支持し、クランクの回転運動をピストンの上下運動に変えるコンロッドの代わりに、3本のリンクをモーターによって巧妙に動かし、ピストンの上死点高さを連続的に変更するのだ。

また、日産では開発したVCRとターボチャージャーを組み合わせてVC-ターボ(可変圧縮比ターボ)と称した。ノッキングしない一般路走行などの低~中負荷運転では燃費を良くするため高圧縮比14に、ノッキングが発生しやすい高負荷運転ではノックが発生しないように低圧縮比8に設定。その間の領域の圧縮比は、8~14の間をシームレスに変化させるのだ。
一方で複雑なリンク機構なのでフリクションが増える、耐久的に不利などの課題が考えられるが、日産は20年以上の歳月をかけてこれらの課題を克服したとしている。
VC-ターボをSUV「インフィニティQX50」に搭載

日産が開発したVC-ターボは、2018年3月に北米向けインフィニティブランドのクロスオーバーSUVである2代目「インフィニティQX50」の2.0L 直4 DOHCターボエンジンに採用され、量産エンジンとして世界で初めてVCRが実用化された。
ターボエンジンは過給している分、燃焼温度が上がるのでノッキングしやすいため、一般的にはNA(無過給エンジン)に比べて圧縮比を下げる必要がある。これが、ターボエンジンがNAエンジンより燃費が悪い理由だが、ターボエンジンにVCR組み合わせることでより大きな効果が期待できるのだ。
QX50では、上記のように圧縮比を8~14に運転条件に応じて変化させることで、熱効率は40%を達成し、従来エンジンに比べて燃費が27%、出力が10%向上したと発表した。



そして2022年7月には、人気の4代目「エクストレイル」のハイブリッドe-POWERの発電用エンジンにVC-ターボを採用。エンジンは、1.5L 直3 DOHC VC-ターボエンジンで、最高出力144ps/最大トルク25.3kgを発揮し、圧縮比はQX50と同様8~14の間に変化させた。最新のエンジン技術と電動化技術を融合した、日産独自の新しいパワートレーンである。

さらに、米国生産の新型SUV「ムラーノ」にもVC-ターボが採用され、日本で輸入販売することになり、2026年6月から受注が始まった。
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多くのエンジン技術者が成し得なかった可変圧縮比の開発に成功した日産のVC-ターボ、日本の歴史に残るエンジンである。ただし、複雑なリンク機構によるコスト高は避けられず、コストパーフォーマンスをさらに改善することが、今後の普及に大きく関わってくると考えられる。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。








