120km/h区間が増加している背景とは?

2026年8月現在、新東名高速道路や東北自動車道の一部区間などで、最高速度を120km/hとする運用がおこなわれるなど、高速道路において最高速度が120km/hに引き上げられる区間が増加傾向にある。
そもそもなぜ120km/h区間が増えているかというと、高規格な道路設計にくわえて車の安全性能の進化、実証実験で重大事故の増加が見られなかったことなどが理由として挙げられる。
まず、対象区間は建設当初から設計速度120km/hを前提とした高規格な基準で造られており、直線が長くカーブや勾配も非常に緩やかなため、高い速度域でも安定した走行が可能となっている。

さらに、近年における自動車の安全性能が飛躍的に進化したことも大きな要因だ。
衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援システムといった先進安全装備の普及により、ドライバーの負担軽減と事故回避能力は向上している。
このように、道路環境の適合性や車両の安全性向上などが揃ったことが、120km/h化を推進する原動力となっているという。
ただし、大型トラックなど一部の車両は車種別の最高速度が適用されるため、混走する環境下では各々のルールを把握しておく必要がありそうだ。
「法定最低速度」がもたらす速度差にも注意

最高速度が引き上げられて移動の利便性が向上する一方で、高速道路の本線車道は道路交通法によって「法定最低速度」が50km/hと定められている点には注意が必要だ。
120km/h区間で過剰な低速走行をおこなうと、周囲との間に生じる巨大な速度差から追突や違反摘発を招くリスクが生じるため決して軽視することはできない。
たとえば、時速120kmの車両と最低速度に近い時速50kmの車両が同じ路線上に混在した場合、両者の速度差は最大で時速70kmにも達する。
その結果、後続車からすれば前方の低速車両がまるで停止しているかのように急接近してくる感覚に陥りやすく、ブレーキ操作がわずかでも遅れれば大事故に直結してしまうおそれがあるというわけだ。

くわえて、危険を回避するための急な車線変更が増えれば周囲の交通流全体に悪影響を及ぼし、思わぬ渋滞や事故の原因にもなりかねない。
なお、法令上も正当な理由なく最低速度を下回って走行した場合は最低速度違反に問われ、普通車の場合は違反点数1点にくわえて反則金6000円が科せられる。

このように、最高速度の緩和にともなって速度差が拡大しやすくなっているため、ドライバーには周囲の交通状況を的確に把握する能力が求められるといえるだろう。
最高速度の緩和にともない周囲の交通流を強く意識し、みだりに追い越し車線を走り続けないなどの基本を守りながら、十分な車間距離を確保したうえで最低速度を下回らない安全で円滑な運転を徹底することが大切だ。
